209 / 529
第5章 再度、スノービーク〜
世界樹に会いに行こう
しおりを挟む世界樹がこの世界にあることをライトさんに教えてもらい、世界樹が幻惑魔法を使って傍に害ある者を寄せつけないということは分かった。
だけど、どうやって幻惑魔法を強めるんだ?
『世界樹にも意思がある』ってことだけど……まさか?
「さっき世界樹にも意思があるって言ってましたけど、それと幻惑魔法ぬこらへを強めるのって関係あります?」
俺はちょっと聞きづらそうにライトさんに話しかけた。
なんか企業秘密みたいなものなんじゃないか、と思ったんだよね。
そんな俺を見てライトさんは笑いながら俺の頭を撫でた。
「そんな気にしなくて良いよ。世界樹のことを話した時点で君のことは信用しているんだから。それにユーリ様のパートナーであるシエルくんはある意味、世界樹の主みたいなものなんだよ。」
……えっ?世界樹の主?どういうこと?
ひふ瑠菜
俺がよく分かってないことに気づいたライトさんは苦笑いをする。
「ユーリ様はいわば『創造神の分身』なんだ。そのパートナーってことは、その存在と対等な存在、ってことなわけ。そこまで分かった?」
ライトさんの言葉に俺は頷く。
「世界樹はこの世界を見守る存在で、神がこの世にもたらした『最後の奇跡』でもある。さっき世界樹の葉や雫は薬の材料になるって言ったろ?その薬は万病に効くんだ。人では治せないような病も、その薬を1回飲むことによって完治するほどだ。だから世界樹は別名『神の大樹』と言われる。」
なるほど、それは凄いね!
それなら確かに葉や雫を取りに人が殺到するよね。
「本来その葉や雫は世界樹が自分の意志で渡さないと効果は出ないんだが、それを知らない奴らが大昔にいっぱい殺到して葉を次々と取っていったそうだ。そのせいで昔は誰でも見ることの出来た世界樹が、幻惑魔法を使って自分に害のある者をそばに寄せ付けなくしたんだ。」
やっぱりそうなるよね……。
「で、シエルくんの先ほどの質問に対する答えだけど……世界樹とは会話ができるからね。世界樹に今の状況を話して、協力を頼もうと思うんだ。まぁ、状況が落ち着いてきたらまた今と同じくらいに幻惑魔法の威力を落としても良いとは思うがな。まぁ、なにはともあれ、話しに行かないことには始まらない。シエルも一緒に行ってみるか?」
えっ、行っていいの!?
行っていいなら、遠慮なくついてくよ?
俺がそう言うと、ライトさんは笑って「その代わり、ラーシェさんの家の前まで転移してな?」と言われた。
それくらいでいいなら、こっちは全然OKだよ!
話がまとまったので、ライトさんとマッシさんには俺にしっかりとつかまってもらう。
それからラーシェさんの家の前に転移した。
家の前から裏庭に回ろうと歩いていると、突然辺りが光だした。どうやらラーシェさんが転移してきたようだ。
「みんな揃ってどこへ行くのじゃ?」
「この前からこの里に周辺に高ランクの魔物が出るようになっていたんで、世界樹のところへ行って幻惑魔法を使っ強めてもらえないか打診しようかと思うんです。」
ラーシェさんの質問にライトさんが答えると、「ならばわしもついていくかな。」と言って俺の横に並んだ。
4人で広くて何もない裏庭を横切り、森の方へと一直線に進む。
森の中に入ると、なんだか急に清々しい空気になったような気がした。
ここが世界樹のある森なんだな。
それから森の中を少し進むと、何もない円形の広場に着いた。
「さて、シエルくんには世界樹が見えないだろうから、少し待ってな?魔法かけてやるから目を開けるなよ?」
ライトさんはそう言うと、俺の目の前に立って目を塞いでくる。
そして呪文を唱えると、俺の目の付近がほんのり温かくなった。
「もう目を開けて良いぞ?」
俺が目を開けると、目の前にはものすごく太い幹を持った4属性竜の長達のいる山程の高かさの樹が聳え立っていた。
あまりにも背が高いので、見上げる首が痛くなってきた。
「す……すごいですね!なんてでかいんだ……。」
俺が思わずそう呟くと、ライトさんは鼻高々とでも言いそうな顔で俺を見てきた。
「そうだろう~?俺たち隠れ里のエルフの自慢なんだぜ?」
「……まぁ、この姿を見られるのはこの里のエルフのみだから、自慢も何もない気がするがの?」
「良いじゃないですか、ラーシェさん!自分の中では、ってことですよ!なぁマッシ、お前もそう思うだろ?」
ライトさんがマッシさんにも同意を求めたが、マッシさんは何も言わずに肩を竦めただけだった。……どっちだ?
その時、急に頭の中に聞いたことのない声が響いた。
その声は、男性のような……それでいて女性のような声だった。
『エルフの子らよ。今日はどうしたのだ?』
どうやらその声はみんなの頭にも聞こえていたらしく、揃って世界樹を見ていた。どうやらこの声が、世界樹の声らしい。
「実はほんの最近になって、急に竜の棲む山の方から高ランクの魔物が里の方へとやってくるようになったんです。今までであれば世界樹の幻惑魔法のおかげで里までこれなかったのですが、山の上の方にいる魔物はさすがに今の幻惑魔法では効かないようで……。もっと強い魔法をかけられないものでしょうか?」
ライトさんが世界樹に向かってそう願い出た。
すると、またもや頭の中に声が直接響く。
『なるほど、山の方には新しい神竜が引き継ぎのためにいるのですね?それでは魔物が住処を離れて里の方へとおりてくるわけですね。良いでしょう、この調子であればあと数日はかかりそうなので、しばらくの間は今よりも強い幻惑魔法をかけましょう。その代わり、あなたたちエルフも気をつけるのですよ?見回りや狩りのために里の外へ出てしまうと、下手をすると里へ帰ってくることができなくなりますから。』
「それはまずいですなぁ。数日なので見回りはしなければ良しとしても、食料に関しては死活問題になるでしょうな。」
そっか、幻惑魔法が強くなればそれに対抗できる能力がなければエルフの中にも外出できない者がでてくるのか。
でも食べ物に関しては、保存食や時間停止のマジックバッグがなければたとえ数日間であってもきついはずだ。
それは大変だな……。
俺に何か手助けできることはないだろうか?
380
あなたにおすすめの小説
オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい
広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」
「え?」
「は?」
「いせかい……?」
異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。
ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。
そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!?
異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。
時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。
目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』
半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。
そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。
伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。
信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。
少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。
====
※お気に入り、感想がありましたら励みになります
※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。
※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります
※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる