異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
213 / 529
第5章 再度、スノービーク〜

現れたのは

しおりを挟む

俺はずっと索敵魔法を出したままにしていたので、その魔物がどの方向から来るのかは分かっていた。

だからその方向をじっと見ていると、こちらに姿を見せる直前で魔物たちは移動をやめ、息を潜めている。

俺が緊張しながら一方向を見据えているからか、ライトさんは俺の見ている方を警戒しながらそばに寄ってきた。

「……なあ、あの方向からやってきているのか?」

ライトさんはとても小さな声で俺の耳元で囁く。

それに対して俺は頷いた。

敵対者が来たのか、それともセバスのような魔物が来たのか……。

俺がどちらの判断も出来ずにいると、急に魔物のほうに動きがあった。1頭以外が散開して囲みだしたのだ。

ライトさんも魔物が動いた時の音で囲まれ出したのに気づいたらしい。

「やばいぞっ!シエル、背中合わせで行くぞ!」

俺はライトさんの言葉に合意をすると、動かなかった1頭の方から目を離さないようにしつつ、ライトさんと背中を合わせる。

これならどこから来ても対処ができるからね。

すると相手の仲間が俺たちを囲み終わったのを合図に、動かなかった1頭がこちらに来るのが索敵魔法で分かった。


現れたのはやはりスノービークを襲ったような魔物だった。

あの時会話ができたのは馬頭の魔物のみ。

こちらに歩いてきたのは1つ目の頭に1つの角が生えている巨人だった。

「……こちらの言葉が理解できるなら、そこで止まれ!」

ライトさんがダメ元でそう叫ぶ。

魔物はライトさんの言う通り、その場で立ち止まった。

どうやら、やはり人の言葉を理解しているようだ。

「お前は何者だ?どこから来た?この森にはお前のような魔物はいないはずだ!」

ライトさんのその言葉に、1つ目の巨人は軽く笑った。

「なるほど、貴様はこの森に住まうエルフだな?」

「……それがどうかしたのか?」

「ならば貴様には用はない。我らが用があるのは、そこにいる銀髪の子供だ。」

1つ目の巨人はそう言うと、俺に向かって指を指した。

えっ、俺?

また、俺なの!?

俺が唖然として1つ目の巨人を見ると、そいつは真顔で俺を見た。

「貴様に用があるというのはだな、我らの国へ来てテネブル様の代わりに『神』をやってもらいたいのだ。もちろん、それは貴様と一緒にいる竜も、だ。我らは知っているのだ、貴様と竜が新しく誕生した神竜とそのパートナーであることを。で、あればテネブル様と同等……いや、それ以上の存在のはずだ。今の神聖法国には求心力となる『神』がおらん。このままでは国が崩壊してしまう恐れがある。貴様や神竜であれば見た目からも神々しい存在なのだから上手くやっていけるはずだ。どうだ、悪い話ではないと思わぬか?貴様はただ存在しているだけで人から敬われ、崇められるのだ。気分は良いぞ?」

1つ目の巨人はそんな事を言って俺を神聖法国へと誘った。

「……行くわけないじゃないか。そんなものに興味はないし、それに創造神は新しい神をあの国に遣わす予定だと聞いたぞ?それなのに俺がなってどうする?意味がない。」

すると1つ目の巨人は顔を顰め、嫌そうな顔をする。

「その『新しい神』とやらは我らと組むことはまずないだろう。逆に排除されてしまう。だが貴様ならまた話は違ってくる。」

「どういうことだ?」

俺が訝しげな顔でそう聞くと、ニヤニヤしながらさらに近づいてきた。

「……貴様なら魔法で操ることも可能だろうからなぁ。なにせ、周りを囲まれているっていうのに警戒もあまりせずにそうやって話しているくらいだ。甘いなぁ?」

1つ目の巨人がそういった瞬間、散開していた魔物たちから魔法が放たれた。

それは一直線に俺に向かって飛んでくる。

俺は側にいたライトさんを突き飛ばし、刀を抜く。

抜いた瞬間に刀に強めに魔力を流してコーティングをし、飛んできた魔法を次々に一刀両断していった。

最後の魔法を切って霧散させると、1つ目の巨人を見る。

奴は唖然とした顔で俺を見ていた。

「……まさか全ての魔法を切って霧散させるとは思わなかったぞ。思ったより手強いな。傷つけずに、というのは諦めたほうが良いようだ。」

「まぁ、お前達の神と戦ったくらいだからな。弱いと思わないほうが良い。」

俺はそう言うとライトさんに強力な結界を張る。

これでライトさんは安全だ。俺も遠慮なく戦える。

改めて刀に魔力を流してさらに刀を強化すると、1つ目の巨人に向かって構える。

相手はなにやら魔法を練っているようなので、そんな暇なんて与えてやるつもりはない。

相手が棒立ちの状態なので遠慮なく一気に近づき、首を狙う。

さすがに相手も対処のために魔法は中断しで避けつつ、武器を持った。

見た目からして棍棒かな?と思ったが、そこはやはり剣を使うようだ。

俺達はかなりの速さで剣の応酬をする。

だが徐々に相手のほうが押されてきたようだ。


その時、ライトさんの結界の方から爆発音がした。

そしてこちらにも魔法が飛んでくる。

俺は1つ目の巨人への攻撃の合間に魔法への対処もすることになって、一気にやることが増えてしまった。

なるほど、散開した魔物が攻撃を開始したわけだ。

とりあえずライトさんの方は結界があるから何とかなるとして、俺の方が少し不利になったな……。

暫くその状態で拮抗していると、急に周りからの魔法の数が減ってきた。


一体どうしたんだろう……?
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ

かむら
ファンタジー
旧題:生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜  剣持匠真は生来の不幸体質により、地球で命を落としてしまった。  その後、その不幸体質が神様によるミスだったことを告げられ、それの詫びも含めて匠真は異世界へと転生することとなった。  思ったよりも有能な能力ももらい、様々な人と出会い、匠真は今度こそ幸せになるために異世界での暮らしを始めるのであった。 ☆ゆるゆると話が進んでいきます。 主人公サイドの登場人物が死んだりなどの大きなシリアス展開はないのでご安心を。 ※感想などの応援はいつでもウェルカムです! いいねやエール機能での応援もめちゃくちゃ助かります! 逆に否定的な意見などはわざわざ送ったりするのは控えてください。 誤字報告もなるべくやさしーく教えてくださると助かります! #80くらいまでは執筆済みなので、その辺りまでは毎日投稿。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!! 神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!? これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

処理中です...