異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第6章 王都近くのダンジョン編

ルーシェさんのお父さんは頼りがいがあるね!

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この国の魔法師団長、もといルーシェさんのお父さんはニッコリとした表情を貼り付けた顔でゆっくりとこちらにやってくる。

……でも、内心は怒ってそうだなぁ。

「いやぁ~、良いもの見せてもらったよ。まさかうちの騎士団長がスノーホワイトに負けるとはね!鍛錬が足らないんじゃないのか?」

彼の服装は、相変わらず黒くて長い縁にたくさんの刺繍が入ったローブを羽織っている。

俺が着ているのはもしかすると魔法師団長の服装なのかもしれないね!

見た目はかなり背の高い、淡い金色の短髪で体のがっしりしているのも相変わらずだ。

魔法使いのはずなのに、体格だけは騎士団の人と遜色ない。

そんな彼の登場を見て、騎士団長は唇を噛む。

「……くっ!こんなに早く来るとはな!それに、俺はお前の同席を許可した覚えはないぞ!」

「同席を許可される必要はないな。ここにいるスコットくんが同席を望んだ時点で、それは国王からの許可になる。忘れたのか?」

「……。」

「あと、しっかりと俺の目の前でお前はスノーホワイトの1人と戦っていた。これは一体、どういうことだ?説明しなさい。」

騎士団長からの許可の話が出てからは、ずっと冷たい顔で騎士団長を見ている魔法師団長。

そんな彼の態度に、ミラー騎士団長は内心は煮えくり返るほどの怒りがあるのを抑えて、返答をする。

「……模擬試合だ。」

「苦しい言い訳だねぇ?戦っていた君は……スコットくん、だよね?初対面だけど、ルーシェから聞いていたからすぐ分かったよ。で、スコットくん、ミラー騎士団長の話は本当かね?」

呆れた顔で騎士団長を見ると、今度はスコットさんの顔を見てそう聞いてきた。

スコットさんは苦笑いをして「いえ、違います。」と答える。当然だよね!

「では、一体何があったんだね?」

「実はこのフロアの宝箱を取りに来たらそこにいる騎士に『騎士団長が呼んでるから来て欲しい』と言われてここへ来たんです。で、来た途端に『朝に結界張った魔法使いは誰だ?』という話になり、こちらとしては知られたくなかったので拒否をしたんです。そしたら急に怒り出して斬りかかってきまして。」

「……で、現在に至る、と。なるほどねぇ、その方が理解できるな。なにせこいつはプライドばかり高くて、すぐに怒りだして困るんだ。自分が騎士の中では一番偉いっていうのは役職で分かるんだけど、それが通じるのは王都だけ。地方に行けば『誰、それ?』だからね。それに冒険者ともなると、なおさらだろう。管轄外だ。」

スコットさんの返答にルーシェさんのお父さんはそう答えて肩を竦める。

「おっと、うっかりしていたよ。まだ自己紹介をしていなかったね。私はこの国の魔法師団長をしている『リーシェ』という。君たちに言わせれば『ルーシェのお父さん』や『ラーシェの息子』の方がわかりやすいかな?これからも3代まとめてよろしく頼むよ。」

リーシェさんはそう言って、いたずらっぽく笑った。

見た目ではキリッとした硬派?な性格かと思ったら、全然そんな事なくておちゃめな感じもする人だね!

「……さて、スノーホワイトには悪いけど、少し時間をもらって良いかな?こいつの事をなんとかしないとなんでね。」

リーシェさんはそう言うと、まだしゃがみ込んでいる騎士団長の方を向く。

「分かっていると思うけど、国王からは『スノーホワイトには手出し無用。出したら厳罰に処する』と言われていただろう?なぜこんな所に呼び出した?」

すると問われた騎士団長は顔を顰めて唸る。

「今朝方このダンジョンに来た時にものすごく強力な結界を張った奴がいたんだ。そいつが誰なのか知りたかったから聞いただけだ。」

「本当にそれだけなのかい?」

「……。」

「やっぱりねぇ。本当はそれを知ったら騎士団経由でこちらに送り込んで恩を売ろうと考えていたんだろう。残念だがその人物の目星はついているし、こちらとしては国王だけでなく親や息子にも『そっとしておいてやってくれ』と頼まれているから、元々引き入れる気はさらさらないんだ。」

厳しい目で騎士団長を見ながら、そう言い切ったリーシェさん。

そうなんだ、ラーシェ3たちだけでなく、国王もそんな事を……。

この国の王はちゃんと民のことを考えてくれる人なんだね。

「でも……本人が望むなら、魔法師団に入団しても良いんだよ?」

リーシェさんは笑いながらそう言って、騎士団長にわからないように俺にこっそりとウインクした。

それを見てリッキーは盛大にため息をついて肩を竦めるので、まぁ……そう言ってはいても、本当に誘う気はないんだろう。



「……まぁ、そんな冗談はさておき……ミラー騎士団長、君のやったことは国王にきちんと報告させてもらおうか。」

それを聞いた騎士団長は目に見えて狼狽えだした。

「それだけは勘弁してくれ!頼む、同じこの国の防衛を司る長の仲間だろ!?今回は見逃してくれ!」

するとリーシェさんは眉間にしわを寄せて目を瞑ると、1つため息をつく。

「……しょうかないなぁ。交換条件を飲めるなら、見逃してやっても良い。」

「分かった、飲む!飲むから!!なっ!?」

その返答を聞いて、リーシェさんはしょうがないという顔をした。

「交換条件というのは、このダンジョンに来ている『勇者』のことだ。あいつをなんとかしろ。力もないのにここにいるのは目障りだ。」

「えっ、勇者がこのダンジョンに来ているのか!?あいつ、大丈夫なのか?」

「だからお前に頼んでいるんだ。下の5階層の休憩所で結界の中で大量の魔物に囲まれながら震えているのを発見してな。結界の中には『人』は素通りできるんだが、魔物は侵入できないみたいだから、お前も普通に結界の中に入ることができるから。あ、周りの魔物は我々の部隊が排除しているから早めに行ってやれ。」

「分かった、今すぐ向かう。それでは俺達は一旦、勇者を連れてここを出れば良いんだな?」

「ああ。戻ってきたら予定通りに、また15階層から20階層までの担当をよろしく。俺たちの部隊は予定通りにそこから上を担当する。5階層にいる俺の部隊には転移魔法陣を使ってここまで来るように言っておいてくれ。」

「了解した。」


リーシェさんとミラー騎士団長はそう話し合うと、すぐにミラー騎士団長は部隊を呼び集めて『勇者』達がいる5階層の休憩所へと向かった。

そっか、彼らにはやっぱり結界を張っておいて良かったね!
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