異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第6章 王都近くのダンジョン編

聖剣の精霊、ライトニング参上!

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「それはそうと……ライトニングに言っておきたいんだけど、俺はみんなと世界中を旅したいから勇者にはなりたくないんだ。だから悪いけど聖剣の主にはなれない。そこは理解してもらえる?」

俺は周りを飛び回っている精霊に向かってそう伝えた。

するとライトニングはピタッと静止し、俺の目線の高さで目の前に来た。

『それは聖剣の中にいる時に他の奴からも聞いてるよ~。だから聖剣から抜け出して君について行きたいんじゃんか!僕も聖剣の中は狭いし~、嫌なんだよねぇ~。』

ライトニングはそんな事を言って肩を竦める。

えっ?でも……君は聖剣が本体じゃないの?

俺は思い切って聞いてみた。

「君って聖剣が本体じゃないの?」

『違うよ~。僕はこの世界の創造神からこの剣に封じ込められていた精霊なんよぉ~。ちょっと神界でイタズラしちゃったら怒られてね。その罰として封じ込められたんだけどぉ~、いつまで封じられていればいいのか分からないんだよねぇ~。もう1000年近く?長いと思わね?ねっ?ねっ?思うよね?そろそろ解除して欲しいわけぇ~。だからあそこに寝ている神竜にお願いして欲しいのよ。君なら楽勝でしょ?神竜のパートナーなんだからさぁ~。頼むよぉ~。ねっ?』

「……。」

軽いなぁ……。ホント、軽い。

この分では自分が怒られたことも反省してないんじゃないだろうか?

俺がそんな気持ちを込めてライトニングをジト目で見ると、彼はまるで「テヘッ!」とでも言いそうな顔で俺を見返す。

実は勇者とお似合いなんじゃなかろうか……。

そんなライトニングを見て、周りにいた人達は揃ってため息をつく。そりゃそうだよねぇ。

そんな俺達を見てきょとんとするライトニング。

首を傾げながら『どうした?』と聞いてきたが、「何でもないよ」と答えておいたよ。



「……まさか聖剣の精霊殿がこんな者だったとは思わなかったな。」

思わずといった感じで、騎士団長がそんな事を言った。

多分それはみんな思っていることだろう。

「ところで彼が言うように『聖剣から抜け出て誰かについていく』というのは勇者認定としてはどうなる?聖剣自体は元の場所に戻せば良いから見た目に関しては大丈夫なんだろうけど。どう思う、ミラー。」

リーシェさんは騎士団長に向かってそう聞いた。

彼は眉毛を寄せて考え込んでいる。

悩ましいことだよね、『聖剣』という物自体は残っているから、なおさら。

かといって元の場所に戻したとして、今までとは違って引き抜けばすぐ抜けるんじゃなかろうか?

俺がそう指摘すると、リーシェさんが「その点は大丈夫だ」と請け負ってくれたので、何かしらの方法があるんだろう。



「……まずは国王に報告をして、判断を仰ぐのが最善だと思う。」

しばらく考えていたミラー騎士団長はそうリーシェさんに答えた。

「それでも良いんだけど、それだと『スノーホワイト』にも国王の前まで来て、説明してもらわなければならないだろう?」

「それぐらいしてもらわなければならないだろう。勇者認定も兼ねられるしな。」

「だから、彼は勇者になんてなりたくないって言っているんだ。そこを前提に考えてくれ。」

騎士団長とリーシェさんがなにやら揉めているが……俺が原因だ。

でも俺は勇者になんてなりたくないし、俺の存在も本当は知られたくなかった。面倒だからね。

「あのぉ~、俺、勇者にならなきゃならないくらいならこの精霊は聖剣に戻すことを望みます。そして俺は二度と関わりあいになりたくありませんから。」

俺が自分の気持ちを率直に伝えると、ミラー騎士団長は苦い顔をしてしまった。

えっ、もしかしてこのまま丸め込めるとでも思っていたのだろうか?

「シエルの言う通りだ。精霊には悪いが、俺達は国に所属する気は全くない。」

スコットさんもそう言って俺の味方をする。

「……ほらね?だから言わんこっちゃない。彼らを上手いこと国に繋げられると考えたんだろうが、そう上手く行くわけないから。それに、あまりしつこくすると、さっき勇者に言っていたような事になるのも頭に入れておくといい。」

「……。だが、国王に報告するのは構わないだろう?」

「そうだね、それは妥当だ。だから報告は我々だけで行うことにして、スノーホワイト達は一緒に来なくていいことにしよう。いいな?」

リーシェさんがミラー騎士団長にそう言うと、彼は渋々了承した。



「……さて、人の方はこれで良いのだけど、精霊様のほうが、ねぇ?さっきの会話でシエルくんが『剣に戻せば良い』発言をしたもんだから、ショックを受けてるねぇ。」

リーシェさんの言葉に、一同はライトニングを見た。

すると精霊は涙を堪えた顔で俺を見つめている。

う~ん、そんな顔で見られてもなぁ……。

『……なぁ、僕また聖剣の中に戻らなきゃならないの?』

ライトニングは涙声で俺にそう言う。

……うっ、こ…断りづらい。

どうしたら良いのか判断に困っていると、スコットさんが代わりに答えてくれた。

「君には申し訳ないが、シエルは勇者にはなりたくないんだ。もし国王が『君がシエルについて行くというならば勇者に認定しなければならない』と判断したならば、連れて行くことは不可能だ。だが、それとは逆の判断、つまり『君がシエルについて行っても勇者認定しない』と判断したならば、その時は連れて行ってもいいよ。だから君のことは少し保留にさせてもらえないだろうか?」

『どうしても今は判断できないんだ?』

スコットさんがライトニングにそう言うと、上目遣いで俺を見上げて聞いてくる。

俺は思わず目を逸らしてしまった。

ご、ごめん、俺には答えられないんだ……!

すると今度はリーシェさんがライトニングと目を合わせて微笑んだ。

「大丈夫、頑張って説得してくるから。それまでまた聖剣に戻っていてくれるかな?」

すると、かなりしょんぼりはしていたが納得はしたようで、リーシェさんに『頑張って説得してちょ~だい!』と言うと自ら聖剣へと戻っていった。



……なんだか俺たちの旅に彼が参加すると、かなり賑やかな旅になるんだろうなぁ。

俺自身では、それは大変だなと思いつつ、少しだけ楽しみだったりした。
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