異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第6章 王都近くのダンジョン編

30階層のフロアボス 2

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ユーリの背に乗ってフロアボスのいる部屋を探していた俺たち。

その俺たちの目の前に『30階層のフロアボス』を名乗る青年が、ユーリの背の上に現れた。

俺達が彼の言葉にさらに警戒を強めたことに気づいたのか、彼は苦笑いをして「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」と言った。

……いや、フロアボスなんでしょ、君?

「まぁ……このドラゴンが飛びっぱなしもなんだし、あっちの方に広い島を造ったから、あっちに飛んでくれないかな?」

その『フロアボス』を名乗る青年はそう言ってユーリに飛ぶ方向を示す。

ユーリは何も言わずにそちらへと方向を変えて飛ぶ。

俺としては突っ込みたいところがあるが、落ち着くまで待つことにしよう。



しばらく飛んでいくと、この青年の言うようにちょうどユーリが翼を閉じて休める大きさくらいの島があった。

……ちょうど良すぎないか?

その島にユーリが降り立って俺たちを降ろすと、すぐに人へと変化した。

すると今度は逆にその青年のほうが驚いたようだ。

「……驚いたなぁ。そのドラゴン、人化できるんだね?相当高位の魔物じゃないと無理なんだけど……一体何者なんだい?」

青年がユーリを見ながら問いかけると、ユーリは顔を顰めて黙ったまま俺の後ろへと隠れてしまった。

「おやおや僕は嫌われてしまったのかな?ところで君はこの子のお兄ちゃんかい?とてもそっくりだけど。君もドラゴンなのかな?」

今度は俺の方を見て、苦笑いをしながら問いかけてくる。

なので俺は「……血縁関係はないですが、俺の大切な家族です」と答えると、ユーリは嬉しそうに俺に笑顔を見せてくれた。

「なるほど、そんなにそっくりなのに違うんだねぇ。人って不思議な生き物だよね!」

その青年はそんな事を言う。

……え?この人、やっぱり人じゃないの?

俺がそう思った時、スコットさんが代表して彼に話しかけた。

「先ほどから君ばかりがこちらに聞いてきているが、我々も君に聞きたいことがいくつかあるのだが良いか?」

「良いよ!答えられる内容だけ答えるので構わないかい?」

「ああ、それで構わない。」

スコットさんの話に気軽にOKを出した青年。

するとスコットさんは質問する前にリッキーと目線を交わし、リッキーは頷く。……なんだろ?

「まず1つ目の質問だ。君はこの子の背中の上で『このフロアのボスだ』と言ったが、それは本当だろうか?」

「ああ、本当だよ。」

「ならば君は『人』に見えるが、実は人ではない、と?」

「ああ、そうだね。僕は人ではない。かといって、魔物でもないよ?」

スコットさんの1つ目の質問に答えた青年。

彼は自分が『人ではない』と言い、そして『魔物でもない』と言った。

ならば彼は何だというのか?

「では2つ目の質問。君は一体何者なんだ?このフロアのボスであるならば、この階層にあるダンジョンを出るための転移陣を利用するには君を倒さなければ使用できないのだろうか?」

スコットさんが一番聞きたいことを聞く。

そうだよね、倒さなくて済むならそれが1番だ。

すると青年は少し考えた後、思い出したように手をポンと打つ。

「そういえばかなり昔にもそんな事聞いてきた人がいたねぇ。彼とは話し合いの末、地上へ帰るための転移陣を使わせてあげたんだったよ。だから使いたいならいつでもどうぞ?別に僕を倒さなくても利用できるようにするから。っていうか僕を倒したらこのダンジョンが消えて無くなってしまうから、君達も、この中にいる人たちも皆が異次元空間で2度と出れなくなるよ?」

「……それはどういうことだ?」

「どういうことだ?と言われても、言葉通りのことだよ。僕を消滅させた瞬間にこのダンジョンは死滅し、この世から消えてなくなる。一瞬で消えるから、中にいる人は出られないままこの中で寿命を迎えるか、それともダンジョンが崩れて壊れていくのに巻き込まれて死ぬか、どうなるのかは僕自身消滅したことないから分からないけどね。」

2つ目の質問に答えたフロアボスの青年。

なんとか不穏なこと言われた気がするけど、なんでこの階層のフロアボスだけそんなことになってあるんだろう?

「じゃあ3つ目の質問だ。……君は、何者だ?」

スコットさんの質問に、その青年はなんて言おうか迷っているような表情で言い淀む。

しばし考えた後、彼は「言っても信じてもらえないかも?」と答えた。

「まぁ、あらかじめ言っておくけど、僕は嘘を言ってるつもりはないからね?それを信じる、信じないは君たち次第だ。前にここに来た人は僕の言う事を信じなかったようだけど、僕が悪人ではないことは分かってもらえたから『倒す気は失せた』って言って帰っていったんだよね。……僕はこのダンジョンの30階層のフロアボスであり、このダンジョンそのものでもあるんだ。君たちにも分かりやすく言うと……このダンジョンの『コア』って事だね。」

そう言った彼は、いたって真面目な表情だ。

スコットさんはそれを聞いて、リッキーをチラッと見る。

それに気づいたリッキーは真面目な表情で1つ頷く。

……なるほど、嘘は言ってないって事だね?

「それならばなおさら我々は君を倒すことは出来ないね。君のおかげで様々な素材などが得られるのだから。いつもありがとう、『コア』さん。」

『コア』の話を聞いたリーシェさんが、王都の人間を代表してそう言って頭を下げた。

すると『コア』さんは「僕、そんな名前なの?」って笑った。

「名前が必要ならこのダンジョンの名前があるんでしょ?それで呼んでよ。流石に『コア』っていうのは……ね?でもお礼を言われたのは初めてだね。『ありがとう』かぁ……。良いね、なんか温かい気持ちになるよ。」

『コア』さん改め、『ロック』さんはそんな事を言って微笑んだ。

そっか、ロックさんは今まで直接会ったのは1人だけだって言っていたし、このダンジョンには日々たくさんの人が出入りしていたとしても直接的には会ってないしね。

そりゃあ感謝をされる機会はないってもんだ。


ところで……ダンジョンコアって一体どんな仕事をしているんだろうね?
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