異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
334 / 529
第8章 国立学校編

学校初日 5

しおりを挟む

みんなで揃って修練場へとやってきた。

修練場は午前にも校内案内でやってきたが、中に入ることはなかったんだよね。


中はまるで体育館って感じの箱型の建物だ。

大きさは日本の体育館の2倍……3倍?はありそうだ。

床は土が剥き出しなので、何の魔法でも対応できそう。

そうだよね、考えてみれば剣術で使ったり、こうやって魔法の授業で使ったりするんだから、隣との間隔は広くないと危ないからね。

それに剣術も板張りの床より、こうやって土の方がしっかり踏めしめそう。


「さて、これから準備するから、君たちはちょっと待っていてね。シエルくんは一緒に来てくれないか。」

リーシェさんはそう言って俺を手招きする。

そして揃って修練場の端まで歩く。

「じゃあこれから皆の魔力の有無、魔法の実力なんかをみるためのものを作ろうと思うんだけど、手伝ってくれるかい?」

「これから作るんですか?」

「あ~……魔道具を作るっていうか、その魔道具を設置する物を作るっていう方が正しいかな?魔力量を測る魔道具はこれなんだけど、これを包んで守るものを作って欲しいんだ。」

リーシェさんはそう言って腰から下げている鞄から5センチ四方の黒い板を取り出した。

「これをこのくらいの高さに設置したいんだけど、土魔法で覆うやつを頼めるかい?実はこの魔道具、意外と脆くてね。回復魔法は問題ないんだが、攻撃魔法では衝撃が強すぎて壊れちゃうんだよ。かといって、しっかり守りすぎると測定がきちんとできないしね。調整は難しいだろうけど、君ならできるはずだ!」

リーシェさんは右手を自分の腰くらいの位置に持っていって高さを指示し、左手で俺に魔道具を渡してきた。

……初めて触る魔道具を『守るように設置してくれ』だなんて無茶が過ぎるよ!

俺がそう訴えると、リーシェさんは1つ頷いて「それもそうだね」と言って見本を見せてくれた。

リーシェさんが作った見本は、土魔法で地面からニョキニョキと盛り上がり、手に持った板を指定の高さで飲み込ませて固定する。

外からは板があることが全く分からない作りだ。

そっか、脆いなら頑丈にしないと!と思ったけど、別に石とかではなく、土でも良いんだね。

「これを大体この並びに等間隔で6個……あ、これがあるから、あと5個作ってくれるかな?よろしくね!」

リーシェさんはそう言うと同じ板を5枚渡してきた。

よし、やってみるかな!


俺は大体の目分量で見本と同じような形に設置していく。

それをクラスメイトは唖然と見ている。

……あれ?そんな驚くようなことかな?


設置し終わって、中央に帰ってきたリーシェさんの隣に行くと、どうやらリーシェさんは別の魔道具をテーブルの上に用意していたようだ。

……このテーブル、リーシェさんの鞄に入っていたのかな?

そのテーブルの上にはクッションがあり、その中央にはまるで水晶玉のような透明な球体があった。

……これ、何するんだろう?

「さあ、シエルくんも帰ってきたし、始めようか。」

そう言うと、水晶玉にポンと手を置く。

「君たちにはこの球に自分が持っている魔力をこめてみてほしい。少しの量でも、自分の魔力の質や量がはかれるからね。あまり魔力がない人は暗く、ある人は眩しいほどに光るんだ。あとは色によって得意な魔法が分かるよ。白なら神聖魔法、青なら水魔法、赤なら火魔法……って感じだね。さあ、やってみようか。あ、終わったら私の後ろに並んでいってね。」

リーシェさんはそう言うと、持っていたリストの名前を読み上げる。

一番最初に呼ばれた人はリーシェさんの目の前に行き、水晶玉に手を乗せて魔力を流した。

光り方はほどほどの明るさで、色は茶色だった。

「君は普通の魔力量で、得意な魔法は土魔法だね。」

「わかりました。ありがとうございました。」

最初の子は終わるとお礼を良い、リーシェさんの後ろに並ぶ。



そして次々とやっていき、残りは俺、クロード、ローラ、セインの4人だけになった。

次は俺かな?と思っていたら、セインが名前を呼ばれる。

あれ?俺……もしかして一番最後?

セインが「チッ、俺が最初かよ」と言いながら水晶玉の前に行く。

「そうだね、君は第一王子だからね。そこは順番にしてみたよ。」

そう言いながら、リーシェさんはにっこり笑う。

それに対してセインはふくれっ面をしている。

でもそんな顔をしていても、ちゃんと水晶玉に手を乗せて魔力を流す辺り、意外と素直なんだろうな。

セインが魔力を流すと、青色でクラスメイトよりは光っている。

それを見てセインは少しがっかりとした顔をした。

「君は水魔法に適性があるんだね。魔力は中くらいより少し上かな?なかなかの素質だと思うよ。」

リーシェさんのその言葉に、俯いていた顔を上げた。

「……そう思うか?」

「ええ。少なくてもうちの魔法師団に入れるほどの魔力の持ち主ですよ。」

「……そうか。」

セインはその一言を言うと、リーシェさんの後ろに並ぶ。

でもその時の表情は無表情に見えても、目がとても嬉しそうな感じだった。

「次はクロードくん。」

リーシェさんがクロードを呼ぶと、彼はスタスタと水晶玉の前に立ち、右手を乗せて魔力を流す。

すると黄色の光で先ほどよりも若干強めの明るさだった。

するとその光を見たリーシェさんは少し驚いた顔をした。

「君は珍しい魔法に適性があるんだね。光魔法に適性があるよ。それに、君も魔法師団に入ればすぐに中堅クラスの魔力はありそうだね。」

「……。」

クロードは何も言わずにリーシェさんの後ろでセインの隣へと並ぶ。

……なんか、気まずそうな顔をしているね?


「次はローラさん。」

リーシェさんがローラを呼ぶと「やっと順番が来たわ!」と言って水晶玉の前に行き、さっさと手を乗せて魔力を流した。

すると赤色だが、かなり暗めの明るさで光った。

それを見てローラは眉間に皺を寄せて「そんなわけないじゃない!私は神聖魔法に適正があるはずよ!」と言った。……え?それ、誰に聞いたの?

「まぁ……君の『一番適性のある魔法』が火魔法なだけで、神聖魔法も使えるかもしれないね?」

リーシェさんはローラに対して『大人の対応』で答えた。

するとそれに満足したのか、そのまま笑顔でセインたちのところへと行った。……意図が分からなかったんだね?


「最後にシエルくん……と言いたいけど、どうする?君もする?」

リーシェさんがいたずらっぽい顔で俺にそう言った。

……え?しなくて良いの?

俺は思わずリーシェさんの後ろにいるクラスメイトの顔を見回す。

皆は俺がどんな鑑定になるのかワクワクした顔でこちらを見ていた。……やるしかないよねぇ?

俺はリーシェさんの目の前に立ち、水晶玉の上に手を乗せた。

そして魔力をごく少量流すと、急に水晶玉が虹色に光りだす。

それもめっちゃ眩しくて目を開けていられないほどだ。



あまりの眩しさに目を瞑っていると、パリンッと何かが砕ける音がした途端に、水晶玉に乗せた手に衝撃があった。……え?えっ!?

俺はびっくりして目を開けると、そこには砕け散った水晶玉とニヤニヤしたリーシェさんがいた。

「やっぱりねぇ~。そんなことだろうと思ったよ。必ず砕けると思っていたから、だから最後に回したんだよね。」

どういうことか聞いてみると、『量』に関しては砕け散るだろうと予想し、『属性』はすべての種類を使えるということで虹色になるだろうと予想していたらしい。

それにしても、砕け散るのには本当に驚かされたよね!
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...