339 / 529
第8章 国立学校編
生まれ変わった鞄
しおりを挟む「にぃに、落ち着いて?簡単だよ、魔道具作るのと同じく魔力を流して捏ねて成形するだけ。実はこの鞄、素材が特殊でね。神界にいる神が着る衣の素材と同じなんだ。だから相当魔力必要だけど、にぃになら一晩寝れば回復するほどの量だよ。やってみる?」
ユーリはなんてことのない様に、そう言った。
……え?神界に存在する生地なの?
しかもそんなのを魔力込めて捏ねるの?
布が別な物になるの?
俺は少し混乱しかけたが、大きく1つ深呼吸をする。
落ち着け、シエル。
神界なんだから、何でもありなんだ、うん。
そう思ってしまえば、気が楽だぞ!
俺は自分で自分にそう言い聞かせる。
そして落ち着いた俺はユーリに「それをするにあたっての注意事項はあるか?」と聞く。
すると『特にない』と返答が。
ならば今すぐに変えてしまうか。
俺は鞄に手を翳し、自分の魔力を流す。
するとスノービークの結界を作った時と同じくらいの速度で魔力が持っていかれそうになった。
俺は慌てて持っていかれる速度を調整する。
「にぃに、大丈夫だよ。魔力が空っぽになる事はないから。安心して吸われるままに渡して良いよ。そうやって調整するといつまでも時間かかってしまって夜、寝れなくなるよ?」
ユーリが苦笑いをしてそう言う。
なるほど、ユーリが大丈夫って言うなら信じよう。
俺は調整していた量を元に戻す。
うぉっ!この吸われ方はちょっと気持ち悪いな。
俺は顔を顰めながら、吸われるままに放置する。
「大丈夫か、シエル?」
リッキーが心配そうにそう言う。
他の皆も心配そうに俺を見ている。
「大丈夫だよ、ユーリが『大丈夫』って言うんだから、大丈夫さ。ただ、吸われる量が半端ないから気持ち悪いだけだよ。」
俺は苦笑いをしてそう言う。
「何せ神のいる場所の物質だからな。そりゃあ相当魔力持っていかれるよな。」
リッキーはそう言って苦笑いをする。
そう、相当な勢いで吸われてる。
掃除機で吸われるより強い吸引力な気がする。
それからしばらく吸われるままに放置していると、徐々に吸われる勢いが弱くなり、30分後くらいには完全に吸われなくなった。
「じゃあにぃに、それを捏ねて好きな形にして?」
ユーリが俺にそう言って、次の工程にいけと促す。
俺は頷くと、魔石を捏ねるみたいに恐る恐るだがまずは揉んでみた。
すると鞄の形がぐにゃりと崩れ、まるで粘土を捏ねてるような感じになる。……すんごい不思議なんだけど!?
すっかり粘土状になってしまった『元』鞄。
……体積が全く違うんだけど?
元の体積を100とすると、今の体積は25じゃないだろうか?かなりの変化だ。
でもこれだけ小さくなると案外幅広にすればブレスレットもいけるかもしれない。
どうせ俺から離せないならアクセサリーのほうが良いだろう。
俺は早速俺の腕に合わせて幅広のブレスレットを作る。
……でもこれ、中の物取り出す時はどうするんだろう?
とりあえず形が完成すると、ユーリが「魔道具を作るように何らかの魔法も追加でつけることができるよ?」と言われた。
なるほど……でもこの鞄、元々『破損防止』、『盗難防止』、『所有者認識』機能があるから、あと付けるとしたら……サイズ調整?
俺はルーシェさんの所で習った『サイズ変化』の魔法をつける。
すると魔法を追加で付け終わった途端に、一瞬だが部屋に目も開けられなくなるほどの光が迸る。
光がやむと、ゆっくり目を開け、鞄からブレスレットになった魔道具を見る。
それは淡く青白い光を帯びた銀色のブレスレットになっていた。
元は茶色だったんだけど、色も変わっちゃったねぇ……。
「さぁにぃに、使ってみてよ!使い方は腕に装着すれば頭に出てくるらしいよ?」
ユーリが笑顔でそんな事を言う。……誰が言ってるんだ?
俺は一つ大きく息を吸うと、ブレスレットを身につける。
すると着けた瞬間に、言われたように頭に音声が流れ、目の前にブレスレットの中身が一覧表みたいに現れた。
それは他のメンバーには見えないらしく、俺しか見ることができないようだ。
俺は早速、一覧表の『おにぎり』をタップし、中からおにぎりを出してみる。……どうせなら人数分出すか。
すると床に光の塊が現れたと思うと、皿に載ったおにぎり6個に変化する。
……なるほど、手で取り出さなくてもよくなったわけだね?
その少しだけ便利になった収納魔道具のブレスレットだが……ブレスレットと呼ぶにはちょっと幅広い。
どちらかというと盾代わりの『腕カバー』のような大きさだ。
作った時は10cmほどの幅だったのだが、どういう訳か身に付けると肘まで覆うように変化したのだ。
おかしいなぁ……?
そんなふうに作った覚えはないんだけど?
俺は首を傾げながら考えるが、身に覚えのないものはどうしょうもない。
「にぃに、そのブレスレット?の事なんだけど、ニィニじゃなくて『あの人』が変えたんだって。」
ユーリがそんな事を言ってきたが……あの人ってどの人だよ!いや、知らなくていいけど!
「それにしてもシエル、かなり身軽になったな。これなら常に身につけていても服の下なら分からないし、例え明日のような実技の授業で見えたとしても防具としか思われない。」
「そうだよな。……じゃあ明日学校に行ったら俺たちの方から先生たちに報告しておくよ。『収納の鞄』を『収納のブレスレット』に変更したって。先生の中にはやっぱり鞄を常に提げているのはどうか?って言ってたやつもいたから、ちょうど良かったな。」
スコットさんとリッキーがそんな事を言う。
そっかぁ~……やっぱり気にしてる先生もいたんだね?
「それより魔力の方はどうなの?枯渇してはいなさそうだけど……?」
エミリーさんが心配そうに俺にそう聞いてきた。
俺は「全然大丈夫」と答えたが、俺の総量でいうと残り4分の1ほど残っているので生活活動には問題はない。少しだけ眠いけど。
それからや俺達はメイドさんが夕飯に呼びに来るまでいろいろ相談したりして、その日はゆっくり休ませてもらうことになった。
268
あなたにおすすめの小説
オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい
広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」
「え?」
「は?」
「いせかい……?」
異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。
ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。
そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!?
異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。
時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。
目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』
半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。
そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。
伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。
信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。
少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。
====
※お気に入り、感想がありましたら励みになります
※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。
※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります
※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる