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第8章 国立学校編
2人の健康診断
しおりを挟む放課後、王族3人組と俺の4人で教務員室へと向かう。
すれ違う人は俺たちをチラチラと見ては何かを話しているようだ。……何だろう?
俺が不思議そうな顔で見ているのに気づいたクロードは、苦笑いをして耳打ちをしてくる。
「みんな後ろの2人の噂を知っているから、よくこんな感じで見られるんだよ。」
なるほど、やっぱり2人の傲慢さは広まっているんだね?
「でもな、よく考えてみると昔はこんな感じじゃなかったんだよ。いつの間にか……といってもそんなに前じゃないが、急に発言がおかしくなった感じはするんだ。」
隣を歩いているクロードが、少し離れて後ろをついてくる2人を気にしながらそう話す。
……なんだかどこかで見たような話だね?
「それに……君と一緒にいるようになってからセインたちの言動が少し和らいでいるような気がするんだけど、君は気づいている?」
「……え?」
「やっぱり気づいてなかったか。俺は大体いつも一緒にいるから気づけたのかもしれないけど、君と会ってから2人は少しずつだけど変わっていっている。なんていうのかな……以前は誰かれ構わず突っかかっていっていたのがなくなったり、あからさまな蔑みを向けることが少なくなったよ。他にも変わっているんだろうけど……それだけでも、2人が変わっていっているって言えないかい?」
なんだか遠くの方を見るような目で前方を見つめ、クロードは薄く笑いながらそう言う。
……まぁ良い影響を与えているなら、一緒にいて良かったと思わなくもないよね。
俺達4人が教務員室に到着すると、ちょうどドアが開いて中からリッキーが出てきた。
「おっ、ちょうどシエルが来たな!……っていうか、他の3人はどうしたんだ?」
リッキーが俺を見て喜んだのも束の間、訝しげな顔で他の3人を見る。……今、心を読んでるな?
「まぁ、ちょうどリーシェさんとスコットが話しているところだから、もうすぐあいつらも出てくるからちょっと待ってなよ。」
リッキーがそう言って教務員室をチラッと見てから、こちらに視線をよこす。
そんな待たずにリーシェさんを含めた4人が室内から出てきた。
「……おや、みんなお揃いでどうしたんですか?」
リーシェさんは王族3人組を見て目をパチクリとする。
そんなリーシェさんに俺は3人と今日話したことを伝え、『健康診断』をしてもらえるよう頼んだ。
「『健康診断』、ねぇ……。いや、やってもいいけど、ここじゃあちょっとねぇ?場所を何処かに移さないと駄目だと思うんだ。」
なるほど、確かに。
その後みんなで話し合った結果、リーシェさんの家で『健康診断』をすることになった。
皆でリーシェさんの屋敷へとやってくると、出迎えに出てきた執事さんが俺たちを見て驚いた。
「これはまた大勢のお客様をお連れになったんですね。こんなに人数がいらっしゃるなら、前もって連絡をいただけると助かるのですが?」
執事さんはリーシェさんを見て、そうチクリと苦言を呈す。
リーシェさんは素直に「申し訳なかった、今度から連絡を送るよ」と謝り、俺たちを連れて応接間へと移動した。
「さて……シエルくん、まずは何があるかわからないからこの部屋に防音と進入禁止の結界を張ってもらえるかな?それから『健康診断』を始めようか。」
リーシェさんはそう言うと、俺に結界を張るよう促してくる。うんうん、確かに必要だよね!
俺が指定の通りに結界を張ると、リーシェさんは頷き、セインとローラに近くに来るように言う。
2人が渋々ながらも言われた通りに近づくと、まずはセインに目の前の椅子に座るように言った。
2人がまるで医者と患者のように対面で椅子に座ると、リーシェさんはセインの両手首をつかんだ。
「いいかい、これから君の身体の中に微量の私の魔力を流すからね。それが身体の中を巡ることで身体の中の悪い所を調べていくんだ。私の魔力を流すことで暫くは身体がカーッと熱くなるかもしれないけど、驚かなくて良いからね?」
リーシェさんはそう言って、『健康診断』の手順を伝えて不安を取り除こうとした。
セインもそれを聞いて、緊張で強張っていた表情を少し和らげる。
「じゃあ始めるから、体の力を抜いていてね。」
リーシェさんはそう言うと、目を瞑って集中する。
セインは一瞬ビクッとしたがすぐに慣れたらしく、体の力を抜いた。
しばらくそうやっていた後、リーシェさんは目を開けた。
それからセインとローラが場所を交代し、同じ事をされた。
2人の『健康診断』を終えると、リーシェさんは皆とソファーの所へと移動する。
皆が座ったのを見計らって、リーシェさんは口を開いた。
「さて2人の『健康診断』だけど……結果は『黒』だったよ、シエルくん。やはり君の思った通り、2人には『隷属の魔法』がかけられていた。」
リーシェさんは俺の目をしっかり見据えてそう答えると、当の2人の方を見る。
王族3人組はリーシェさんの言葉に驚きを隠せないようだった。
「……えっ?今……『隷属の魔法』って言った……か?」
「ええ、言いましたよ。」
「本当に、そんなものにかかっていた……のか?」
「はい。2人とも強烈ではないですが、魔法にかかっていたようです。」
リーシェさんの言葉に更なるショックを受けたセイン。
ローラは眉間に皺を寄せて考えていたようだが、結局いつかかったのかとかは想像がつかなかったようだ。
それにしてもあの神父、一体何を考えているんだろうか……?
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