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第8章 国立学校編
第1王妃と神父の本当の関係は?
しおりを挟む「ところでシエルが話したかったことって何だったんだ?」
セインがふと思い出したかのように、俺に話を振った。
そうそう、すっかり忘れていたよ。
だけど……セインにとっては実の母親の事だから、ちょっと話しづらいな……。
そんな俺の素振りを見て、何かを感じ取ったセイン。
「気にせずに話せよ?」と言ってはくれたが……。
「お前が話しづらいなら、俺が代わりに話してやるよ。セイン王子、君にはちょっとショックな事かも知れないが、それでも良いんだな?」
俺の代わりにリッキーが話してくれることになったのだが……それでも心が痛むのは変わらないよね……。
「いいから話せ。」
「じゃあ、遠慮なく話すぞっと……そうそう、前もって言っておく事がある。これはこれから話すことに関係するんだ。……簡単には信じられないだろうが、俺は人の心を読むことができるんだ。信じられないなら君たちの心の中を読んでやろうか?」
リッキーはそう言ってニヤリと笑う。
セインは全く信じてなかったようで、「いいだろう、読んでみろよ。」と言ってフフン!と笑った。
それからしばらく3人の事を見ていたリッキーだが、少し首を傾げた。……ん?とうした?
「セイン王子は『読めるわけない』と思いながらも『光が上から降り注ぐイメージ』を頭に思い描いている。クロード王子はどうやら俺の言ったことを信用しているようで『大丈夫です、信用してますよ』と言っているんだが……ローラ姫、君は一体何を考えているんだ?それを俺に言わせる気なのかい?」
何とも言えない顔をして、リッキーはそう言った。
3人共に驚いたようだが、ローラ姫は驚くだけじゃなく顔を真っ赤にしている。……一体何を考えていたの?
「いっ……言わなくて良いわよっ!あなたが本当に心が読めると思ってなかったから、気を抜いていただけよ!」
「……なら良いけど。シエルが嫌がることは絶対に阻止するから覚えておきな。」
「……っ!」
ローラ姫は何か言いたげな感じだったが、結局リッキーも彼女も言わなかったよ。
「さて、リッキーが心を読めるのが理解できたところで、何があったのか教えてやってくれるかい?」
場の空気を一新するように、リーシェさんは手をポンと打ってから話しだした。
それを聞いて、リッキーも改めて話し始める。
「セイン王子の母親である第1王妃の事なんだが……この前の祭りの時に俺は第1王妃と神父の心を読んだんだ。」
リッキーはあえてそこで一旦区切り、3人の顔を見た。
「……で、何が分かったかというと、王妃の頭の中には隣りに立っている神父のことしか頭になく、部屋に残してきた子供のことはほとんど考えてなかった。そして神父の方はというと、祭りの初めの方でシエルとコイツの弟のユーリの2人に『隷属の魔法』をかけたらしいが弾かれたのを根に持っていたからなのか、狂気的な感じで2人をどうしても従わせることしか頭になかったんだ。で……これを踏まえてのシエルの『あの話』発言なんだよ。」
リッキーがあの祭りでの出来事をかいつまんで話をする。
3人はそれを聞いて顔を顰めていた。
そりゃあそうだろう、国王の妻である王妃が別の男性のことで頭がいっぱいだなんて、とんでもないことだと思う。
ただ、問題はそこじゃない。
「リーシェさんは言いましたよね?王妃の二番目の子供は神父の子だって。それはどこから得た情報ですか?」
だってそうだろう?
俺の鑑定では『王妃の子供は幼なじみの貴族との間にできた子供』と言われたが、先ほどのリーシェさんの口ぶりから考えると神父は『幼なじみ』よりは『知り合い』というほどの関係だったそうなのだから。矛盾しているのだ。
なんとなく先ほどの俺との会話で自分も違和感を感じていたのか、当時のことを思い出そうとしている。
……あれ?てっきり鑑定で得た情報なのかと思っていたよ。
「……確かあの時、王妃から『神父が先ほど部屋にやってきてこの子を診て行ったのですが、それでは良くならなかったので魔法のエキスパートのリーシェにも診てもらいたい』と呼ばれたんです。何故に神父が?とは思いましたが、王妃の話だとどうやら彼は神聖魔法の使い手だというお話だったので、その関係で呼ばれたのだと思いました。」
リーシェさんは一旦そこで話を区切り、俺の顔を見た。
「そして私が先ほど3人にしたように『健康診断』として私の魔力を流した時、その子の中にあの神父と同じ様な魔力がありましたので、てっきり2人に親子関係があるのだと思っていましたが……シエルくんの鑑定結果では『幼なじみの貴族』がその子の父親なんですよね?」
リーシェさんは俺の顔を見ながら、真面目な顔でそう聞いてきた。
「ええ、俺の王妃への鑑定結果ではその子の父親は『幼なじみの貴族』とだけで、名前や素性は一切出ていませんでした。だからリーシェさんが『神父の子』と言った時に違和感無く受け入れたのですが、もし神父が『幼なじみ』ではなくもっと軽い『知り合い』だった場合、父親でない可能性が出てくると思いませんか?」
俺のその可能性の話を聞いて、リーシェさんは頷いた。
リーシェさんの話だと、王妃から神父の話が初めて出たのは神父があの教会に赴任してきてからすぐの頃だったらしい。
それは2番目の子供が産まれて1、2年くらいの話だそうな。
そしていつの間にかあの神父は王妃と仲良くなり、『幼なじみだ』と世間で噂されるようになったのだとか。
「なるほど……それでは神父が幼なじみだとは断定できないな。」
スコットさんもずっと話を聞いていたが、結局はその結論にたどり着く。
「……なぁ、その第1王妃なんだが、まさか『隷属の魔法』にかかっていたりしないか?」
リッキーが俯いていた顔を上げて、そう言った。
……実は俺もその可能性はおおいにある、と思っている。
ユーリの話ではあの祭り、皆に『隷属の魔法』をかけていたらしいし、毎年祭りを楽しみにしている人達は祭りに来てはその魔法を重ねがけされているようなものだ。
ましてあの王妃は日頃あの神父と会ってもいるだろうし、とっくにその手に落ちている可能性は高そうだ。
だが……どうやってそれを調べることができるんだろう?
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