3 / 4
婚約破棄を宣言されましたわ
しおりを挟む
「リリアーヌ!お前との婚約を破棄する!!」
シーズン最後の王家主催の夜会でエリックが声高らかに宣言した。
あのソフィアの突撃の後、リリアーヌは約束通りに話を通した、現当主のヴィンクト公爵である父親に。
そしてすぐに仔細を記し、エリックの家ルーヴァラック公爵家の考えを問う手紙を送った。
その返事は、ルーヴァラック公爵家とは関係のない頭のおかしい女の戯言で、ルーヴァラック公爵家の意とは異なること。ルーヴァラック公爵家は婚約破棄どころか婚約の解消も望んでいない。というものだった。
その後、エリックの姿を社交の場で見ることが無くなったから、一応あちらの方で再教育など施しているのだろうとヴィンクト公爵と話したあとは穏やかに過ごせていた。
ちなみにソフィアもエリックの後ろ盾がなければリリアーヌが参加するような高位貴族の社交の場に入り込むことすら困難であるから、本当に平和な日々だった。
そして、シーズン終わりの夜会。
貴族であれば参加しないという選択ができない王家主催のものだから、エリックと顔を合わせることになるだろうとは思っていた。
たとえ、リリアーヌ宛にエスコートの連絡がなかったとしても。
その横にソフィアがエスコートされていても。
それにしても公衆の面前で婚約破棄を宣言するなどという頭のおかしいことをするとはさすがに予想できなかった。
表情には出さずとも、心の中では完全に絶句状態のリリアーヌや周りのもの達が何もできないうちにエリックの独演は続いていた。
「すまないリリアーヌ。私はソフィアという最愛の人を見つけてしまったのだ。真実の愛で結ばれた恋人を。君には申し訳ないが、自分の気持ちに嘘はつけないのだ。」
(あら、まあ)
本人達は気づいていないようだが、2人は随分と地雷を踏み抜いていて、リリアーヌはもはや呆れの境地に至ってしまっていた。
チラリとヴィンクト公爵に目をやると、同じような心境であるのがわかった。そしてルーヴァラック公爵は、と探そうとしたところでちょうど人波を掻き分け最前列にでてきた本人と目があった。全ての状況を理解出来ているわけではないだろうが、それでも耳に入った情報と、この状況を結びつけ、この後の展開に頭を悩ませていることだろう。
再度ヴィンクト公爵に視線をやると、ヴィンクト公爵と目が合い、コクンと小さく頷くのが見えた。この場は全てをリリアーヌに任せる、ということだろう。それは信頼であり、そしてもう後戻り出来ないところまできてしまっているから好きにせよ、というある意味投げやりなものだった。
「本当によろしいですのね、婚約破棄で。」
「ああ、構わない。君には本当にすまないことをしているのはわかっている。だが、真実の愛で結ばれたソフィアがいるのに、気持ちを偽って君と結婚することなど出来ないのだ。」
「ごめんなさい、リリアーヌさま。エリックにはあなたという婚約者がいることを知りながら、この気持ちを止めることが出来なかったの。」
エリックの芝居がかった言葉も馬鹿馬鹿しいと思えるものだが、ソフィアの先日とは全然違う何枚の猫を被っているのかと問いたくなるような甘ったれた声が耳に残る。
そんなソフィアに、最終通告のつもりで確認の言葉を投げる。
「ソフィア様も本当によろしいのね?婚約破棄で。」
ほんの一瞬、ソフィアの顔に浮かんだのは先日と同じ醜い笑み。
「ええ。」
瞬時に被り直した猫は立派なもので、これならあの時浮かんだ疑問は問題なくこなせるでしょうね、とリリアーヌは現実逃避のように思った。
「お二人の希望、いえ、ルーヴァラック公爵家の意向はヴィンクト公爵家が娘リリアーヌがヴィンクト公爵家を代表して確かに受け取らせていただきました。ですが、この場は陛下方が用意してくださった皆様のための場。この場を両家の問題で騒がせるのは皆様に失礼がすぎるというもの、場をあらためて話し合いましょう。お二人もそれでよろしくて?」
2人が気づいたかは知る由もないが、リリアーヌはしっかりと家同士の問題だと言い直した。
「ああ、もちろんそれでいい。騒がせてしまったな。」
「はい、それでいいです。」
ヴィンクト公爵家の意図をしっかりと汲み取り、頭を捻らせなんとか止めようとしたルーヴァラック公爵が対応策を導き出す前に2人が返事をしてしまった。
これで両公爵家の今後が決定してしまった。
シーズン最後の王家主催の夜会でエリックが声高らかに宣言した。
あのソフィアの突撃の後、リリアーヌは約束通りに話を通した、現当主のヴィンクト公爵である父親に。
そしてすぐに仔細を記し、エリックの家ルーヴァラック公爵家の考えを問う手紙を送った。
その返事は、ルーヴァラック公爵家とは関係のない頭のおかしい女の戯言で、ルーヴァラック公爵家の意とは異なること。ルーヴァラック公爵家は婚約破棄どころか婚約の解消も望んでいない。というものだった。
その後、エリックの姿を社交の場で見ることが無くなったから、一応あちらの方で再教育など施しているのだろうとヴィンクト公爵と話したあとは穏やかに過ごせていた。
ちなみにソフィアもエリックの後ろ盾がなければリリアーヌが参加するような高位貴族の社交の場に入り込むことすら困難であるから、本当に平和な日々だった。
そして、シーズン終わりの夜会。
貴族であれば参加しないという選択ができない王家主催のものだから、エリックと顔を合わせることになるだろうとは思っていた。
たとえ、リリアーヌ宛にエスコートの連絡がなかったとしても。
その横にソフィアがエスコートされていても。
それにしても公衆の面前で婚約破棄を宣言するなどという頭のおかしいことをするとはさすがに予想できなかった。
表情には出さずとも、心の中では完全に絶句状態のリリアーヌや周りのもの達が何もできないうちにエリックの独演は続いていた。
「すまないリリアーヌ。私はソフィアという最愛の人を見つけてしまったのだ。真実の愛で結ばれた恋人を。君には申し訳ないが、自分の気持ちに嘘はつけないのだ。」
(あら、まあ)
本人達は気づいていないようだが、2人は随分と地雷を踏み抜いていて、リリアーヌはもはや呆れの境地に至ってしまっていた。
チラリとヴィンクト公爵に目をやると、同じような心境であるのがわかった。そしてルーヴァラック公爵は、と探そうとしたところでちょうど人波を掻き分け最前列にでてきた本人と目があった。全ての状況を理解出来ているわけではないだろうが、それでも耳に入った情報と、この状況を結びつけ、この後の展開に頭を悩ませていることだろう。
再度ヴィンクト公爵に視線をやると、ヴィンクト公爵と目が合い、コクンと小さく頷くのが見えた。この場は全てをリリアーヌに任せる、ということだろう。それは信頼であり、そしてもう後戻り出来ないところまできてしまっているから好きにせよ、というある意味投げやりなものだった。
「本当によろしいですのね、婚約破棄で。」
「ああ、構わない。君には本当にすまないことをしているのはわかっている。だが、真実の愛で結ばれたソフィアがいるのに、気持ちを偽って君と結婚することなど出来ないのだ。」
「ごめんなさい、リリアーヌさま。エリックにはあなたという婚約者がいることを知りながら、この気持ちを止めることが出来なかったの。」
エリックの芝居がかった言葉も馬鹿馬鹿しいと思えるものだが、ソフィアの先日とは全然違う何枚の猫を被っているのかと問いたくなるような甘ったれた声が耳に残る。
そんなソフィアに、最終通告のつもりで確認の言葉を投げる。
「ソフィア様も本当によろしいのね?婚約破棄で。」
ほんの一瞬、ソフィアの顔に浮かんだのは先日と同じ醜い笑み。
「ええ。」
瞬時に被り直した猫は立派なもので、これならあの時浮かんだ疑問は問題なくこなせるでしょうね、とリリアーヌは現実逃避のように思った。
「お二人の希望、いえ、ルーヴァラック公爵家の意向はヴィンクト公爵家が娘リリアーヌがヴィンクト公爵家を代表して確かに受け取らせていただきました。ですが、この場は陛下方が用意してくださった皆様のための場。この場を両家の問題で騒がせるのは皆様に失礼がすぎるというもの、場をあらためて話し合いましょう。お二人もそれでよろしくて?」
2人が気づいたかは知る由もないが、リリアーヌはしっかりと家同士の問題だと言い直した。
「ああ、もちろんそれでいい。騒がせてしまったな。」
「はい、それでいいです。」
ヴィンクト公爵家の意図をしっかりと汲み取り、頭を捻らせなんとか止めようとしたルーヴァラック公爵が対応策を導き出す前に2人が返事をしてしまった。
これで両公爵家の今後が決定してしまった。
488
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されるまで結婚を待つ必要がありますか?
碧井 汐桜香
恋愛
ある日異世界転生したことに気づいた悪役令嬢ルリア。
大好きな王太子サタリン様との婚約が破棄されるなんて、我慢できません。だって、わたくしの方がサタリン様のことを、ヒロインよりも幸せにして差し上げられますもの!と、息巻く。
結婚を遅める原因となっていた父を脅し……おねだりし、ヒロイン出現前に結婚を終えて仕舞えばいい。
そう思い、実行に移すことに。
そのフラグをへし折りまくっていることに気づかなかったあなたの負け
藤田あおい
恋愛
卒業パーティーで、婚約破棄を言い渡されたアリエッタ。
しかし、そこにアリエッタの幼馴染の男が現れる。
アリエッタの婚約者の殿下を奪った少女は、慌てた様子で、「フラグは立っているのに、なんで?」と叫ぶ。
どうやら、この世界は恋愛小説の世界らしい。
しかし、アリエッタの中には、その小説を知っている前世の私の人格がいた。
その前世の私の助言によって、フラグをへし折られていることを知らない男爵令嬢は、本命ルート入りを失敗してしまったのだった。
婚約破棄された悪役令嬢はヒロインの激昂を目の当たりにする
蛇娥リコ
恋愛
婚約発表するはずの舞踏会で婚約破棄された悪役令嬢は冤罪で非難される。
婚約破棄したばかりの目の前で、プロポーズを始めた王子に呆れて立ち去ろうとした悪役令嬢だったが、ヒロインは怒鳴り声を上げた。
一回書いてみたかった悪役令嬢婚約破棄もの。
婚約破棄を言い渡された側なのに、俺たち...やり直せないか...だと?やり直せません。残念でした〜
神々廻
恋愛
私は才色兼備と謳われ、完璧な令嬢....そう言われていた。
しかし、初恋の婚約者からは婚約破棄を言い渡される
そして、数年後に貴族の通う学園で"元"婚約者と再会したら.....
「俺たち....やり直せないか?」
お前から振った癖になに言ってんの?やり直せる訳無いだろ
悪役令嬢の私が転校生をイジメたといわれて断罪されそうです
白雨あめ
恋愛
「君との婚約を破棄する! この学園から去れ!」
国の第一王子であるシルヴァの婚約者である伯爵令嬢アリン。彼女は転校生をイジメたという理由から、突然王子に婚約破棄を告げられてしまう。
目の前が真っ暗になり、立ち尽くす彼女の傍に歩み寄ってきたのは王子の側近、公爵令息クリスだった。
※2話完結。
断罪するならご一緒に
宇水涼麻
恋愛
卒業パーティーの席で、バーバラは王子から婚約破棄を言い渡された。
その理由と、それに伴う罰をじっくりと聞いてみたら、どうやらその罰に見合うものが他にいるようだ。
王家の下した罰なのだから、その方々に受けてもらわねばならない。
バーバラは、責任感を持って説明を始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる