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婚約破棄はこうなってしまうのですわ
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あれから、10年ほどの年月が経ちましたわ。
わたくしは未だにヴィンクト公爵家の娘ですの。
そして、エリック様の婚約者のままですのよ。
え?10年も経ったのだから結婚はしていないのかって?
いいえ、しておりませんわ。
なんといってもまだヴィンクト公爵家とルーヴァラック公爵家は責任がどちらにあるのかを争っている最中ですもの。この結果が出るまではわたくしとエリックの婚約はなくなりませんし、なくならない以上他の方との婚約や婚姻もなりません。もちろんエリック様と婚姻を結び、なし崩しになんてことにはなりませんのよ。
あの後、夜会ではわたくし達の婚約破棄の件は話題の中心になっておりましたわ。そして、そうなってしまうと畢竟陛下達のお耳にも入ることになってしまいますわよね。
陛下方のお耳に入って仕舞えば、後から落とし所を、なぞということも出来なくなってしまいますわ。まあ、あのような場所で堂々と宣言なさってしまったのですもの、そんな中途半端なことはどちらにせよ出来なかったでしょうけども。
・・・婚約破棄というものはね、婚約解消がなんらかの問題があって出来ない時に行うもの。ですからもし行われた場合は、どちらに問題があるのかはっきりさせなくてはならないのですわ。そして、もし有責になれば賠償金や慰謝料の支払いが必要になるだけではなく婚約破棄をしなくてはならないほどの問題ありな家として嘲笑の対象となりますの。そうなるとどうなるかは想像つきますかしら?
双方が、相手側に責があると言い出しますわね。
歴史を振り返ってみても、婚約破棄が行われた場合ほとんどが泥沼の展開になって長い間争うことになりますの。そして、そうなると婚約の当事者達は婚約をなくすことも新たに婚約を結ぶことも、当事者同士で結婚することもままならず適齢期を過ぎてしまう。そんなことになってしまうのですわ。だから、その時点で双方適齢期を過ぎた瑕疵物件になってしまいますの。
争い続ける姿もみにくいですし、ですから普通は無理にでも婚約解消にするのですわ。
ルーヴァラック公爵も悪いのはエリックの方だと分かりつつも、我が家が悪いという意見を取り下げませんわ。メンツというものもありますが、10年もわたくしの時間を無駄にしてしまっているんですもの、慰謝料がとんでもないことになりますわ。
だからこそ、婚約破棄は泥沼化してしまうのですわ。
え?あのお二人ですか?
表向きは相変わらず恋人でいらっしゃいますわよ、なんといっても真実の愛で結ばれていると宣言したのですもの。
でも、そうですわね・・・、障害があるからこそ燃え上がる恋、というものもありますわよね。
まあ、お二人が結ばれることも別れることも叶いませんから今も障害があると言えばそうなのでしょうけれど。
ええ、結ばれることは先程説明した通りですけれども、別れる事も出来ませんわ。だってお二人は真実の愛を見つけたからあんな場所で婚約破棄を宣言されたんですもの。これでお二人が別れてしまったら責がルーヴァラック公爵家にあると言っているようなものでしょう?
ルーヴァラック公爵が意地でも別れさせませんわ。
さらには、子供をなすことも許されません。
一応は婚約しているのはわたくしですもの、これで子供ができればエリックがただの浮気者という扱いになってやはりルーヴァラック公爵家の有責になりますの。
真実の愛で結ばれた恋人、ですけれど、ね。
矛盾してますけれど、そんなものなのですわ。
ですので、ルーヴァラック公爵はお二人に複数人の侍従や侍女をつけて、逃げ出さないよう、他の方に目移りしないよう、監視しているらしいですわ。
あ、関係が深まらないように注意することはしていないらしいですわよ、お二人の関係がどうなっているのかよく分かりますわね。
・・・本当に、お二人も変な欲を出さずに大人しく婚約解消をしていればこんなことにはならなかったですのにねぇ。
やってしまった事もあって、エリック様は次期ルーヴァラック公爵から外されたそうです。それに次代を継ぐ事も当主としての責務ですから、いつ子をなせるかわからない方を据えるわけにも行きませんものねぇ。
ソフィア様も、決着が着くまではルーヴァラック公爵家の監視下で、公爵夫人になる未来もなく、花の盛りに愉しみもなくただただ生かされているだけ。まあ、贅沢は出来ずとも出される食事などは男爵家とは比べ物になりませんからある意味幸せかもしれませんわね。それが彼女の望むものかはわからないけれど。
ああ、そういえばソフィア様のご生家の男爵家はなくなりましたわ。
あの夜会の翌日にはソフィア様との縁をきり、騒ぎを起こした責任を取るという形で爵位の返上をなさいました。そしてソフィア様以外のご家族全員で国外に出られたそうですわ。
とても潔く、ある意味一番うまく逃げられましたわね。
わたくし、ですか?
ええ、そうですわね、不幸せではない、というくらいかしら?
あまり大きな声では言えませんが、正直なところメンツばかり気にして多くの責務が課される、貴族という生き方にうんざりしていたのですわ。
わたくしがその恩恵に預かっているのも分かっておりますから、その責務の意味も理解して、受け入れて、そうあろうとしていましたけれども。
どちらかというと、表舞台に立つ事なく、過ごす今の暮らしの方があっている気はしますわね。
ただ、これが幸せというものかどうかというと、すぐに答えられるほど幸せとは言い難いですわね。
・・・そういえばそろそろ、お時間ではなくって?
ええ、こちらこそいつもお話に付き合ってくださって感謝いたしますわ。
・・・いつか、決着が着いたら、ぜひ東方にあるあなたの故郷にも行ってみたいわ。
その頃にはきっと、わたくしも自由になっているでしょうから。
!!
ええ、絶対の約束よ!
わたくしは未だにヴィンクト公爵家の娘ですの。
そして、エリック様の婚約者のままですのよ。
え?10年も経ったのだから結婚はしていないのかって?
いいえ、しておりませんわ。
なんといってもまだヴィンクト公爵家とルーヴァラック公爵家は責任がどちらにあるのかを争っている最中ですもの。この結果が出るまではわたくしとエリックの婚約はなくなりませんし、なくならない以上他の方との婚約や婚姻もなりません。もちろんエリック様と婚姻を結び、なし崩しになんてことにはなりませんのよ。
あの後、夜会ではわたくし達の婚約破棄の件は話題の中心になっておりましたわ。そして、そうなってしまうと畢竟陛下達のお耳にも入ることになってしまいますわよね。
陛下方のお耳に入って仕舞えば、後から落とし所を、なぞということも出来なくなってしまいますわ。まあ、あのような場所で堂々と宣言なさってしまったのですもの、そんな中途半端なことはどちらにせよ出来なかったでしょうけども。
・・・婚約破棄というものはね、婚約解消がなんらかの問題があって出来ない時に行うもの。ですからもし行われた場合は、どちらに問題があるのかはっきりさせなくてはならないのですわ。そして、もし有責になれば賠償金や慰謝料の支払いが必要になるだけではなく婚約破棄をしなくてはならないほどの問題ありな家として嘲笑の対象となりますの。そうなるとどうなるかは想像つきますかしら?
双方が、相手側に責があると言い出しますわね。
歴史を振り返ってみても、婚約破棄が行われた場合ほとんどが泥沼の展開になって長い間争うことになりますの。そして、そうなると婚約の当事者達は婚約をなくすことも新たに婚約を結ぶことも、当事者同士で結婚することもままならず適齢期を過ぎてしまう。そんなことになってしまうのですわ。だから、その時点で双方適齢期を過ぎた瑕疵物件になってしまいますの。
争い続ける姿もみにくいですし、ですから普通は無理にでも婚約解消にするのですわ。
ルーヴァラック公爵も悪いのはエリックの方だと分かりつつも、我が家が悪いという意見を取り下げませんわ。メンツというものもありますが、10年もわたくしの時間を無駄にしてしまっているんですもの、慰謝料がとんでもないことになりますわ。
だからこそ、婚約破棄は泥沼化してしまうのですわ。
え?あのお二人ですか?
表向きは相変わらず恋人でいらっしゃいますわよ、なんといっても真実の愛で結ばれていると宣言したのですもの。
でも、そうですわね・・・、障害があるからこそ燃え上がる恋、というものもありますわよね。
まあ、お二人が結ばれることも別れることも叶いませんから今も障害があると言えばそうなのでしょうけれど。
ええ、結ばれることは先程説明した通りですけれども、別れる事も出来ませんわ。だってお二人は真実の愛を見つけたからあんな場所で婚約破棄を宣言されたんですもの。これでお二人が別れてしまったら責がルーヴァラック公爵家にあると言っているようなものでしょう?
ルーヴァラック公爵が意地でも別れさせませんわ。
さらには、子供をなすことも許されません。
一応は婚約しているのはわたくしですもの、これで子供ができればエリックがただの浮気者という扱いになってやはりルーヴァラック公爵家の有責になりますの。
真実の愛で結ばれた恋人、ですけれど、ね。
矛盾してますけれど、そんなものなのですわ。
ですので、ルーヴァラック公爵はお二人に複数人の侍従や侍女をつけて、逃げ出さないよう、他の方に目移りしないよう、監視しているらしいですわ。
あ、関係が深まらないように注意することはしていないらしいですわよ、お二人の関係がどうなっているのかよく分かりますわね。
・・・本当に、お二人も変な欲を出さずに大人しく婚約解消をしていればこんなことにはならなかったですのにねぇ。
やってしまった事もあって、エリック様は次期ルーヴァラック公爵から外されたそうです。それに次代を継ぐ事も当主としての責務ですから、いつ子をなせるかわからない方を据えるわけにも行きませんものねぇ。
ソフィア様も、決着が着くまではルーヴァラック公爵家の監視下で、公爵夫人になる未来もなく、花の盛りに愉しみもなくただただ生かされているだけ。まあ、贅沢は出来ずとも出される食事などは男爵家とは比べ物になりませんからある意味幸せかもしれませんわね。それが彼女の望むものかはわからないけれど。
ああ、そういえばソフィア様のご生家の男爵家はなくなりましたわ。
あの夜会の翌日にはソフィア様との縁をきり、騒ぎを起こした責任を取るという形で爵位の返上をなさいました。そしてソフィア様以外のご家族全員で国外に出られたそうですわ。
とても潔く、ある意味一番うまく逃げられましたわね。
わたくし、ですか?
ええ、そうですわね、不幸せではない、というくらいかしら?
あまり大きな声では言えませんが、正直なところメンツばかり気にして多くの責務が課される、貴族という生き方にうんざりしていたのですわ。
わたくしがその恩恵に預かっているのも分かっておりますから、その責務の意味も理解して、受け入れて、そうあろうとしていましたけれども。
どちらかというと、表舞台に立つ事なく、過ごす今の暮らしの方があっている気はしますわね。
ただ、これが幸せというものかどうかというと、すぐに答えられるほど幸せとは言い難いですわね。
・・・そういえばそろそろ、お時間ではなくって?
ええ、こちらこそいつもお話に付き合ってくださって感謝いたしますわ。
・・・いつか、決着が着いたら、ぜひ東方にあるあなたの故郷にも行ってみたいわ。
その頃にはきっと、わたくしも自由になっているでしょうから。
!!
ええ、絶対の約束よ!
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