乙女ゲームの攻略対象者から悪役令息堕ちポジの俺は、魂の番と幸せになります

琉海

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50.セクハラ孔雀

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「あの子、本当にいっつもあぁなの?」

言外に幾つだよって言う嫌味を込めて言うと

「残念ながら…」

と、肩を落として答えた。

「ん?あれ?そういえばさ、ヒナってうちの国民だよね?なぜ隣国の蒼玉と番に?」
「あぁ…なんでも、蒼玉が幼い頃に外遊でうちの国に来た時に出会ったそうですわ。あの頃はまだ国交が断絶される前で、一応の交流はありましたから」
「へー…」
「それよりも…」
「ん?」
「私、彼女におねだりされて迷わず断る殿方を初めて見ました」

あぁー…、ね。
俺ってばその辺りはもう履修済みだからね。

「彼女自身もそれが当たり前って感じだったね」
「はい。どう考えても論理が破綻していることですら、彼女におねだりされると断りきれない人がほとんどです。とはいえ、年が離れた方ですとそんなこともございませんが近しい殿方の場合はほとんど無理ですわね」
「ふーん。まぁ、なんとなく理解はできるかな」
「やはり、孔雀様も彼女を魅力的だと思いますか?」
「うーん…可愛らしいとは思うよ。だけど、あれじゃただの子供だよ。紅玉が幼い頃ですらあんなに聞き分けのないことはなかったよ」
「ふふっ。幼少期と比べられてしまうなんて」
「そのくらい酷いよね?なんで蒼玉はあんな…」

つい口を滑らせてしまった。
とたん、レティシアの表情が曇る。

「あの2人は…特殊な縁で結ばれておりますの。それ故、蒼玉も無碍には扱えないのですわ」
「そうなんだ…」

え?
なにそれ。そんなルートなかったし知らないんだけど?


「お待たせしてしまい、大変申し訳ありません」

息は上がっていないけど、かなり急いで戻ってきたことが分かる表情で蒼玉が戻ってきた。

「孔雀様、この度は大変申し訳ございません。
番の不始末はこの私の不始末でもあります。咎めはいかようにも受けます」

戻ってきたと思ったら、俺の足元に膝をついて首を垂れた。
えぇー…マジでもうどうでもいいんだけどなぁ。

「本当にもういいってば」
「ですが…」

頑固だな!
まぁ、そんな推しも好きだけど。
てか、推しの後頭部を見下ろすなんて貴重な経験が出来て内心ウハウハ。
うわーーーうなじがせくしーーー!!!
鼻血でそう。

ふと視線を感じてハッとその出所をみると、レティシアがちょっと不審な表情でこちらを見ていた。

「コホンッ」

あっぶね。
多分、おれ、興奮して鼻の穴が膨らんでたわ。

「じゃあさ、こうしよ?蒼玉、俺と友達になって?」
「———は?」

思わず、といった感じで蒼玉が顔を上げて俺を見た。
その後、またハッとして慌てて頭を伏せた。

「いいよ。顔をあげてよ。話しづらい」

蒼玉が俺を見上げた。
あーーー俺の推し、マジで美しい。瞳の色が綺麗だな…青みがかった紫なんだな。
そういやさぁちゃんも同じ瞳の色だったな。
さぁちゃん元気かな…きっと生きてるって信じてる。

「瞳の色が…」

蒼玉の表情がハッとして強張った。斜め前に立つレティシアの雰囲気も固まった気配がする。

「綺麗だな…」

あまりの美しさに無意識に口から出ていたらしい。
何故か蒼玉が息を飲む気配がした。

「もう少しよく見ていい?」
「は…?」

俺は、推しに対して全然遠慮もなければ崇拝の気持ちもないらしい。
己の本能の赴くままに蒼玉の頬に手を添えてぐっと顔を近づけてその瞳の中を覗き込んだ。
「なっ…!」

なんて綺麗なんだろう。
陽の光が差し込んで、表面が少し透明でキラキラ輝いている。
心なしか紫が濃くなっていってるような…。

ほぅ…

無意識にため息をもらし、もっと見たいと思い、更に近づこうとした時、
蒼玉がバッと俺の手を振り払ってしゅばっと立ち上がった勢いで後ろに飛び退った。

「ハッ!」

俺、すっげーーーセクハラしてね?
我に返ってさぁっと青ざめた。

「ご、ごめん!俺ってばなんつーー失礼なことを!!!」
「い、いえ…ちょっと、驚いただけです」
「本当にすまない…」

自分が有利な状態で友達になって欲しいと交渉して(友達になるのに交渉はおかしいのは重々承知だ)いたところの大失態。

「すみません…ちょっとだけこの場を外してもよろしいでしょうか。まだお許しを得ていないのに外す無礼をお許しください」
「う、うん…」

あぁ…蒼玉の背中がものすごい勢いで小さくなっていく。

「孔雀様…ふふ!ふふふ!!」

戸惑ったような声でレティシアに名前を呼ばれて、振り向くと笑われた。

「なんか、俺、やっちまった」
「うふふふ。申し訳ございません。そんな死にそうな顔をしなくても蒼玉は大丈夫ですわ」
「セクハラしちゃった」
「ふふふふふ!!!」

めっちゃ楽しそうじゃん、レティシア。

「たまには、澄ましてクールぶってる蒼玉をいじってやればいいんですわ!」
「レ、レティシア?」
「いっつも澄ましている蒼玉のあんな…ふふふ!あんな表情が見れたのでちょっと気分が良いんですの」

立派な感性でございますねぇ~…
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