乙女ゲームの攻略対象者から悪役令息堕ちポジの俺は、魂の番と幸せになります

琉海

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49.悪役令息孔雀爆誕?

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 俺にはニンマリとしか見えない笑顔を向けてきたから、密かに警戒を強めた。

「孔雀様ぁ~ヒナ、光魔法が使えるんですぅ。
 魔獣を駆除するのに役立ちますよ!一緒に混ざってもいいですかぁ?
 それに、蒼玉に何かあったら心配だし…連れてってください♡」
「こら!ヒナ!」
「ヒナさん!失礼ですよ!!離れなさい!!」

 蒼玉達が慌てて静止する声をマルっと無視して交渉相手を俺に変えてきた。
 レティシアじゃ絶対に無理だと理解しているからだろう。
 あと、こいつは男はみんな自分に味方をするって信じている。

 ふっ…

 もう俺は以前の俺じゃないんだよ。
 推しと友人との貴重な時間、邪魔させない!!!!!

 俺を見てトテトテと走ってきたかと思うと、左腕に自分の腕を巻き付けて上目遣いでこちらを見上げてきた。これがゲーム内だったらキュルルン⭐︎とSEが鳴っただろうと思うくらい、見事なあざとさだった。

 あー、なるほどね。
 俺、チョロいって思われてんのね。
 まぁ、確かに可愛いよ。お世辞抜きにめっちゃ美少女だし、なんか甘くていい匂いするしな。
 これでお胸があったらさらにドキマギするだろう。
 ほとんどの男は。

 でも、なぁーーー残念ながらもう一ミリもときめかないんだよな。
 むしろ食傷気味っつーかお腹いっぱい。
 目の端で心配そうに俺らの様子を伺うレティシアと、眉間にクッキリとふっかぁ~い皺を寄せた蒼玉がこちらを遠巻きに見ている。
 最初は咎めていた彼らも今はもう黙って成り行きを見守っている。

「すまないな。蒼玉が言うようにそれは無理だ」
「はっっっ?!」

 おい、素が出てんぞ。
 結構ドスのきいた低音の声が出てんぞ。

「それに、君とチームを組んだメンバーはどうするんだい?
 こちらは蒼玉という素晴らしいメンバーがいるから心強いし、私自身もそこそこ使えるという自負がある。
 だが、君のメンバーはどうだ?君が抜けると困るんじゃないかな?」
「…は?孔雀が魔法をそこそこ使えるって?嘘でしょ?見栄張ってるだけでしょ」
「おい!ヒナ!なんて失礼なことを言うんだ!」
「え?だって…孔雀が魔法使えるなんて聞いてない!」
「そりゃ言ってないし、我々は入学してまだそんなに時間が経っていないからな。
 それにクラスだって違うのだから当然だろう?」
「……」

 正論を言われて憎々しげに俺を見るヒナ。
 それを見ながら違和感がどんどん膨らむのを感じる。
 やっぱり、こいつおかしい。
 俺の知っているヒロインじゃない。
 バグか?

 ふぅとため息をついて気持ちをリセットする。

 そしてじっとヒナを見つめた後にっこりと甘く微笑んだ。
 途端、ヒナの表情がパァっと明るくなる。
 レティシアが落胆したように俯き、蒼玉はさらに苦虫を噛んだような顔をしている。

「まずは腕を外してくれるかな?
 あと、恋人の目の前で他の男にこんなに密着してはいけないよ。
 それと…」

 俺は敢えて言葉を切ってもう一度しっかりと見つめた後に、さらに笑みを深めた。

「お前は誰の許可を得て私に話しかけ、触れているんだ?」
「ーーーーーへ?」
「幾ら学園内では身分は平等と謳われていても、最低限の節度を持って然るべきだろう?本来ならば今、お前の腕をここで斬って捨ててもお前は文句を言えない立場だぞ?
 恋人である蒼玉も連帯責任を問われるだろう。
 お前も貴族の端くれであればそこを弁えよ」

 何を言われたのか理解できないという顔をしてまだ俺の腕に巻きついたままだ。
 これまで身分など関係なく無邪気を装って傍若無人に振る舞っても許されてきたからだろう。

 貴族とはいえ子爵令嬢であるヒナが俺の許可もなく勝手に話し始め、あまつさえ体に触れてきた。幾ら王家に疎まれている元第二王子とはいえ、そこは腐っても元王族であり現侯爵令息である。
 誇張なしにその腕、または首を切り落とされても文句は言えない。

「ーーー蒼玉」
「ハッ!」

 未だ何が起きたのか分からず混乱の最中にいるヒナを一瞥して鋭く蒼玉の名を呼ぶと我に返った蒼玉がすっ飛んできて俺の足元で頭をたれ、膝をついた。
 膝をつく前にヒナの回収も忘れない。
 無理矢理ヒナにも膝をつかせた。

「今回は見逃そう。だが、次はないと心えよ。私だけに限らず、他の爵位の者への振る舞いも見直すよう教育をしろ」
「ハッ!大変申し訳ございませんーーーヒナ、お前も謝るんだ」
「……え?」

 混乱するヒナをじっと見つめたまま俺は何も言わずにいた。

「は?はぁ~~~~~?何これ。何してんの蒼玉!でもって何いっちゃってんの孔雀の分際で!」
「ヒナ!!!!いい加減にしろ!孔雀様に謝れ」

 ぶつぶつ言ってっけど丸聞こえだからな。
 てかお前、マジで教育し直さないとどっかで死ぬぞ。
 それともヒロイン補正とかが入って大丈夫なんだろうか。

 なんとかヒナを謝らせ(めっちゃくちゃ不本意な顔してたが)彼女のチームの元へと送り届けてくると2人は去って行った。


 んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ………
 ……
 …

 やっちゃっTA⭐︎

 え?
 俺、悪役令息ポジになってね?
 ヤバくね?

 いや、正しいことしか言ってないし、正しい行いであることは間違いなんだけどさ。前世でそれをやっていたレティシアは見事に悪役令嬢だったわけだし?
 どれだけ正しかろうと物語的にはねじ曲がって悪役になるのが悪役の損な役回りってやつでさ。

「く…孔雀様…大変申し訳ございませんでした。どうあっても蒼玉は私の従者でもあります…この度の孔雀様への無礼は私の責任でもございます」
「え゛っ!?ちょ、ちょちょちょちょ…ちょっと待ってよ。頭を上げて?」
「いえ、でも…」

 レティシアってばこのまま土下座しそうな勢いなんだけど!
 この世界観に土下座って存在しないけどね!

「いいからいいから。処罰に関しては本気で言ったわけではないし、彼女に注意できる環境ってみたところなさそうだから彼女自身のためにも、恋人の蒼玉のためにも誰かが言わないとなってだけだし!」
「孔雀様…ありがとうございます。こう言ってはとても失礼ではありますが、助かりました。誰も彼女の暴走を止められなくて…」
「あー…そんな感じだよね。彼女の取り巻きたちも嗜める雰囲気なさそうだし」
「はい…お恥ずかしい限りです」
「でもさ、蒼玉は恋人であるけどこの国の人間じゃないしね。悪いのはこの国の貴族でありながら彼女の言動を止められない取り巻き達だよ」
「そう言っていただけると…」
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