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第四章:夏の終わり
44.当事者は傍観者
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「ねえ櫻子さん、苗字がわからないから馴れ馴れしく感じたらごめんだけど、そろそろ泣き止んでもいいんじゃない? 今までため込んでた分を吐き出せたなら大分スッキリしたでしょ?」
「…… ぐすっ―― そりゃ少しは…… アナタはミクって言ったっけ? いったい何なのよ。突然現れてさ。今までこんな気持ちになったことなかったのに」
「こんな気持ちって? 私が憎いってこと? それともこよみの――」
「ちょっと!? そんなこと言いださないでよ! いったいアナタって何なのよ、まったく…… いいわ、言ってやろうじゃないの。アタシだって負けたいわけじゃないんだから。それにアナタはこの辺の子じゃないんでしょ? こっちは幼馴染なんだから後で泣いても知らないからね」
「そこは不安なんだけどどうにもできないし、こよみを信じるしかないかな。もしも櫻子さんが今まで自分の感情をごまかしてきてなかったら、私とこういう関係にはなってなかったでしょうし」
「だから軽々しく言わないでよね。アタシだってわざわざ嫌われるようにしたいわけじゃなかったんだから。それよりさ? 自分とこういう関係ってどういう関係なの? まさか小学生のくせにもう付き合ってるとか言うの? まだ出会ったばかりなのにそんなのずるいじゃん!」
「こういうのは年月じゃないと思うの。だからきっと自分の感情には素直になった方がいいのよ。後悔先に立たずだもん」櫻子を見下ろしているミクがなんだか悪者に思えてくるが言ってることは正論だろう。
『なあ健二、オレらは一体なにを見せられてるんだ? 暦のせいだってのは間違いないけど今更どうにかできる雰囲気でもないじゃん。おい暦、一体どう始末つけるつもりなんだよ』
『そんなの僕に言われたって知らないよ。この二人がなんで神妙に話をしてるのかわからないし。まさかみんなの言ってたことが当たってるってことなのか?』
『これ見てもまだ外れてると思うレキの神経を俺は疑うね。ここまで来るともう鈍感とか無関心どころじゃねえよ。当人たちからすればわざとそうしてるって思われてんじゃねえの?』
『わざとってなにをさ。僕が櫻子に冷たくすることが? 最初にそうしてきたのはアッチじゃんか。健二だってそれは知ってるだろ?』
『そりゃ知ってるけど、気付いたから遠ざけようとしてるって見方もできる。それに俺と涼太以外はそこまで深い話しないじゃんか。特に女子絡みはさ』
『まったくこんなだからモテない男子連中から必要以上に妬まれるんだよ。まあ一部の女子からも相当嫌われてるけどな、あはは』せっかくひそひそとないしょ話をしていたのに、涼太が笑い声をあげたことでミクと櫻子に気付かれてしまった。
「ちょっと男子!? そうやって聞き耳立ててるなんて下品じゃないの。せっかくだからみんなでお話しましょ。櫻子さんがこよみに大事な話があるみたいだしね」
「ミク! アンタってばアタシに恥をかかせようとしてるんでしょ! その余裕の態度が気に入らないわ。本気になったら家が近所のアタシのが絶対有利なんだから!」
「年月だけじゃなく距離も関係ないってことを思い知らせてあげるわ! 悔しかったらまずは自分を知ってもらいなさいよ。その勇気があるのなら、だけどね」
なんだか急に不穏な空気に変わってきた。まさか本当に取っ組み合いを始めるんじゃなかろうかと僕は不安を強くする、だが櫻子が僕をにらみつけたことで、この後の展開が荒れそうなことだけは予想がついた。
意を決したように拳を固く握りしめた櫻子は勢いよく立ちあがった。そしてミクへ向かって行きバトルスタート、とはならずに僕の目の前に仁王立ちしながら口を開く。
「レキ? ―― あのね…… アタシ、アンタのことが好きなの! ホントにずっとずーっと前からだよ? 多分保育園の頃からなんだからね! バカっ!」
「バカってどういうことだよ…… それに今まで散々ひどい態度取ってたくせに、今になってなんで急にそんなこと言ったのさ。僕にはもうミクって決めた女子がいるんだよ? 夏休み中だって何度も会ってるんだからそれくらいわかるだろ?」
「なんでわかんなきゃいけないのよ。知らないよそんなの。このミクって子よりもアタシのほうがずっと前からレキのこと知ってるんだし、好きになったのだってアタシのが先でしょ? だからこっちを選べって言ってんじゃないの。ただこのまま我慢してても仕方ないから言えるうちに言っときたかっただけなの!」
そう言えば櫻子は私立の中学へ行くらしいから、中学からは初めて別々の学校になるってことになる。それまで二歳からずっと一緒だったことを考えれば、いくら僕でも寂しい気持ちが湧きあがってこないこともなくもない。
「でもそう言われたって僕にはその気持ちに応えることはできないし、そのつもりもないよ。それがわかっててなんで今更って思っちゃうけどな。私立行ったらもっと他にいい相手が見つかるだろうから、その前にケリをつけるって言えばそうなのかもだけどさ」
「それはそうかもしれないけど…… そんなこと言ったらレキだってミク、さんだって同じことじゃないの。これから大人になるまでずっと好きでいるなんて相当難しいことでしょ? しかもその後だって人生は何十年も続くんだよ? そこまでの相手を子供のうちに決められるはずないよ」
「決めるんじゃないさ。もう決まってるんだよ。少なくとも僕はそう感じてるんだからね。高校生になるまであと三年ちょっとだろ? そしたらミクがおばあちゃんちからこっちの高校に通えるかもしれないし、ダメなら僕が長野の高校へ行くさ」
「長野って宇宙にあったのか―― あ、ああすまん、ちょっと緊迫した状況に耐えきれなくなっちゃってさ…… どうぞ続けて?」涼太が茶々を入れたくなる気持ちもわからないではない。
「親戚もいないのにそんな遠くの高校に一人で行かれるわけないでしょ。バッカじゃないの? アナタもアナタよ。こんなバカと一生の約束を小学生のうちにするなんてどうかしてるわ。悪意があるようには見えないから同類ってことなのかもね」
するとミクはにこりと笑いながら全肯定するように櫻子へ向かって一言――
「そうね、私にとってこよみは好きな男子ってだけじゃなくてヒーローみたいなものだもん。だからずっと一緒にいたいって思ったし、こよみだってそう思ってくれて嬉しいんだよね。だから大丈夫、きっと裏切られたりはしないよ。だからこれからはせいぜい優しくしてもらったらいいわ」
「なにそれ、勝ち誇ったみたいなこと言って気分悪い。第一私が優しくされたら見えない遠くでヤキモチ焼くんじゃないの? その余裕の態度がいつまで続くのか楽しみだわ」
「ふふ、アナタにだけ特別な態度されるよりもずっといいわよ。そうなったら櫻子さんだってその他大勢の幼馴染Aになってしまうのよ? 私はそうじゃなくてちゃんとこよみにとって特別な一人の『卯中ミク』だもん」
「詭弁ね。私は今まで十一年くらいの付き合いがあるんだから。ほんの三週間程度のアンタなんかとは絆の深さが違うよ! ホントは悔しいだろうし不安なくせに強がっちゃってさ、自分も同じだけ過ごしてみなさいっての」
「そんなのこれからいくらでも積み重ねていくわよ! 自分は好きな男子と離れて私立へ行くこと選ぶくせに良く言うわ。それだけでもう三年は無駄にするってことじゃないの。そのまま高校も別になるだろうし、その頃には私だってこっちで同じ高校へ通うんだから十一年分なんてあっという間だわ!」
女同士の争いが終わりを見せずいつまでも続きそうな中、僕ら男子組はいい加減疲れて地べたへ座り込み、傍観者としてただ眺めることしかできなかった。
「…… ぐすっ―― そりゃ少しは…… アナタはミクって言ったっけ? いったい何なのよ。突然現れてさ。今までこんな気持ちになったことなかったのに」
「こんな気持ちって? 私が憎いってこと? それともこよみの――」
「ちょっと!? そんなこと言いださないでよ! いったいアナタって何なのよ、まったく…… いいわ、言ってやろうじゃないの。アタシだって負けたいわけじゃないんだから。それにアナタはこの辺の子じゃないんでしょ? こっちは幼馴染なんだから後で泣いても知らないからね」
「そこは不安なんだけどどうにもできないし、こよみを信じるしかないかな。もしも櫻子さんが今まで自分の感情をごまかしてきてなかったら、私とこういう関係にはなってなかったでしょうし」
「だから軽々しく言わないでよね。アタシだってわざわざ嫌われるようにしたいわけじゃなかったんだから。それよりさ? 自分とこういう関係ってどういう関係なの? まさか小学生のくせにもう付き合ってるとか言うの? まだ出会ったばかりなのにそんなのずるいじゃん!」
「こういうのは年月じゃないと思うの。だからきっと自分の感情には素直になった方がいいのよ。後悔先に立たずだもん」櫻子を見下ろしているミクがなんだか悪者に思えてくるが言ってることは正論だろう。
『なあ健二、オレらは一体なにを見せられてるんだ? 暦のせいだってのは間違いないけど今更どうにかできる雰囲気でもないじゃん。おい暦、一体どう始末つけるつもりなんだよ』
『そんなの僕に言われたって知らないよ。この二人がなんで神妙に話をしてるのかわからないし。まさかみんなの言ってたことが当たってるってことなのか?』
『これ見てもまだ外れてると思うレキの神経を俺は疑うね。ここまで来るともう鈍感とか無関心どころじゃねえよ。当人たちからすればわざとそうしてるって思われてんじゃねえの?』
『わざとってなにをさ。僕が櫻子に冷たくすることが? 最初にそうしてきたのはアッチじゃんか。健二だってそれは知ってるだろ?』
『そりゃ知ってるけど、気付いたから遠ざけようとしてるって見方もできる。それに俺と涼太以外はそこまで深い話しないじゃんか。特に女子絡みはさ』
『まったくこんなだからモテない男子連中から必要以上に妬まれるんだよ。まあ一部の女子からも相当嫌われてるけどな、あはは』せっかくひそひそとないしょ話をしていたのに、涼太が笑い声をあげたことでミクと櫻子に気付かれてしまった。
「ちょっと男子!? そうやって聞き耳立ててるなんて下品じゃないの。せっかくだからみんなでお話しましょ。櫻子さんがこよみに大事な話があるみたいだしね」
「ミク! アンタってばアタシに恥をかかせようとしてるんでしょ! その余裕の態度が気に入らないわ。本気になったら家が近所のアタシのが絶対有利なんだから!」
「年月だけじゃなく距離も関係ないってことを思い知らせてあげるわ! 悔しかったらまずは自分を知ってもらいなさいよ。その勇気があるのなら、だけどね」
なんだか急に不穏な空気に変わってきた。まさか本当に取っ組み合いを始めるんじゃなかろうかと僕は不安を強くする、だが櫻子が僕をにらみつけたことで、この後の展開が荒れそうなことだけは予想がついた。
意を決したように拳を固く握りしめた櫻子は勢いよく立ちあがった。そしてミクへ向かって行きバトルスタート、とはならずに僕の目の前に仁王立ちしながら口を開く。
「レキ? ―― あのね…… アタシ、アンタのことが好きなの! ホントにずっとずーっと前からだよ? 多分保育園の頃からなんだからね! バカっ!」
「バカってどういうことだよ…… それに今まで散々ひどい態度取ってたくせに、今になってなんで急にそんなこと言ったのさ。僕にはもうミクって決めた女子がいるんだよ? 夏休み中だって何度も会ってるんだからそれくらいわかるだろ?」
「なんでわかんなきゃいけないのよ。知らないよそんなの。このミクって子よりもアタシのほうがずっと前からレキのこと知ってるんだし、好きになったのだってアタシのが先でしょ? だからこっちを選べって言ってんじゃないの。ただこのまま我慢してても仕方ないから言えるうちに言っときたかっただけなの!」
そう言えば櫻子は私立の中学へ行くらしいから、中学からは初めて別々の学校になるってことになる。それまで二歳からずっと一緒だったことを考えれば、いくら僕でも寂しい気持ちが湧きあがってこないこともなくもない。
「でもそう言われたって僕にはその気持ちに応えることはできないし、そのつもりもないよ。それがわかっててなんで今更って思っちゃうけどな。私立行ったらもっと他にいい相手が見つかるだろうから、その前にケリをつけるって言えばそうなのかもだけどさ」
「それはそうかもしれないけど…… そんなこと言ったらレキだってミク、さんだって同じことじゃないの。これから大人になるまでずっと好きでいるなんて相当難しいことでしょ? しかもその後だって人生は何十年も続くんだよ? そこまでの相手を子供のうちに決められるはずないよ」
「決めるんじゃないさ。もう決まってるんだよ。少なくとも僕はそう感じてるんだからね。高校生になるまであと三年ちょっとだろ? そしたらミクがおばあちゃんちからこっちの高校に通えるかもしれないし、ダメなら僕が長野の高校へ行くさ」
「長野って宇宙にあったのか―― あ、ああすまん、ちょっと緊迫した状況に耐えきれなくなっちゃってさ…… どうぞ続けて?」涼太が茶々を入れたくなる気持ちもわからないではない。
「親戚もいないのにそんな遠くの高校に一人で行かれるわけないでしょ。バッカじゃないの? アナタもアナタよ。こんなバカと一生の約束を小学生のうちにするなんてどうかしてるわ。悪意があるようには見えないから同類ってことなのかもね」
するとミクはにこりと笑いながら全肯定するように櫻子へ向かって一言――
「そうね、私にとってこよみは好きな男子ってだけじゃなくてヒーローみたいなものだもん。だからずっと一緒にいたいって思ったし、こよみだってそう思ってくれて嬉しいんだよね。だから大丈夫、きっと裏切られたりはしないよ。だからこれからはせいぜい優しくしてもらったらいいわ」
「なにそれ、勝ち誇ったみたいなこと言って気分悪い。第一私が優しくされたら見えない遠くでヤキモチ焼くんじゃないの? その余裕の態度がいつまで続くのか楽しみだわ」
「ふふ、アナタにだけ特別な態度されるよりもずっといいわよ。そうなったら櫻子さんだってその他大勢の幼馴染Aになってしまうのよ? 私はそうじゃなくてちゃんとこよみにとって特別な一人の『卯中ミク』だもん」
「詭弁ね。私は今まで十一年くらいの付き合いがあるんだから。ほんの三週間程度のアンタなんかとは絆の深さが違うよ! ホントは悔しいだろうし不安なくせに強がっちゃってさ、自分も同じだけ過ごしてみなさいっての」
「そんなのこれからいくらでも積み重ねていくわよ! 自分は好きな男子と離れて私立へ行くこと選ぶくせに良く言うわ。それだけでもう三年は無駄にするってことじゃないの。そのまま高校も別になるだろうし、その頃には私だってこっちで同じ高校へ通うんだから十一年分なんてあっという間だわ!」
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