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episode6
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太陽が青い空の頂上に登っている。時計を見ると、昼の一時。
同級生達が学校で丁度お昼ご飯を食べている時に、冬李はラブホ街を家に向かって歩いていた。
昼間にホテルを出た理由もそこにある。朝や夜にホテルを出れば、ラブホ街とは言え、同級生達に会う確率があったからだ。
それだけは避けたかった。
「..お腹空いたぁー...。でも店入ると疑われるしなぁ」
冬李が頭の上に少しの空間を開けて、手で空を切る。中学生に間違えられてもおかしくない、身長と顔をしていたからだ。
目の前のファストフード店から視線をそらす。
『え...?』
「...あ」
さみしい鳴き声をあげた自分のお腹に手を当てて顔を上げると、向かいの大通りからこちらの道に曲がってくる集団を見つけた。
「噂をすれば...」なんて良く言ったものだが、こればかりは驚いた。
冬李の大きく宝石の様な目が驚きで更に大きくなる。
数メートル先で同じく目を大きくさせている集団は、さっき言っていた同級生達なのだ。
なぜ私服で学校外を歩いているのか?どうしてこんなホテル街に?聞きたい事は山ほどあったが、さっきまで知りもしない男とラブホに居た冬李が、そんな事聞ける筈も無かった。
気不味い空気を破ったのは冬李の方だった。
「あ...えっと...今日、学校は?」
質問の選択を間違えたようだ。目の前の殆どの人間の眉間にシワがよる。
冬李は高校二年のクラス替えから学校に行っていなかった。
所謂登校拒否。
理由は目の前の集団、特に中心にいる森塚は冬李にとって一番タチの悪い男だった。
同級生達が学校で丁度お昼ご飯を食べている時に、冬李はラブホ街を家に向かって歩いていた。
昼間にホテルを出た理由もそこにある。朝や夜にホテルを出れば、ラブホ街とは言え、同級生達に会う確率があったからだ。
それだけは避けたかった。
「..お腹空いたぁー...。でも店入ると疑われるしなぁ」
冬李が頭の上に少しの空間を開けて、手で空を切る。中学生に間違えられてもおかしくない、身長と顔をしていたからだ。
目の前のファストフード店から視線をそらす。
『え...?』
「...あ」
さみしい鳴き声をあげた自分のお腹に手を当てて顔を上げると、向かいの大通りからこちらの道に曲がってくる集団を見つけた。
「噂をすれば...」なんて良く言ったものだが、こればかりは驚いた。
冬李の大きく宝石の様な目が驚きで更に大きくなる。
数メートル先で同じく目を大きくさせている集団は、さっき言っていた同級生達なのだ。
なぜ私服で学校外を歩いているのか?どうしてこんなホテル街に?聞きたい事は山ほどあったが、さっきまで知りもしない男とラブホに居た冬李が、そんな事聞ける筈も無かった。
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「あ...えっと...今日、学校は?」
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