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episode10
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「...遅い」
玄関のドアを開けて階下の景色をボーと眺めながら呟く。
現在の時刻は【am.6:30】。冬李の腕時計が狂っていない限り、時刻は合っている筈だ。
ドアにもたれ掛かりしゃがみ込む。元々寒がりだった冬李は、夏の猛暑でも快適に過ごせる様に作られた制服が少しばかり肌寒かった。
薄い生地の白のワイシャツに薄茶色の校章が入ったニットベスト、ズボンも同じく生地が薄く、緑のチェック柄だ。
指定の赤いネクタイは付けていない。抑制器のチョーカーの上からだと、流石に首元が窮屈だったからだ。
「...寒い」
ポケットから携帯を取り出してリズム良く画面をタップする。「昨日の森塚は自分の事をバカにしていただけなんだ」重いため息と共にそんな考えがよぎった。
「7時...。まだ来ない」
ぷくぅと頬を膨らませて、忙しく通るサラリーマンや学生を目で追っていく。
「...眠い」
*****
ユサユサと体が揺れる。
よく考えると、宙に浮いている気もする。
優しい揺れが心地いい。
冷たかった肌も今は暖かい。
『...李、冬李』
「ん、ぇ?もりつか?」
気が付くと、薄い壁、暗い室内のベッドの上にゴロンと寝転がっていた。
『もう寒くないか?...俺が来た時、外で寝てるし肌は冷たいしで...心配した』
「...アンタが遅いのが悪い」
『ごめん。...今日は学校行くのやめよう。俺もお前が起き上がらない様に見張ってる』
優しく頭を撫でられ、冬李の柔らかい猫っ毛が嬉しそうに揺れた。
「...今何時なの?」
『ん?大体7時半かな』
「...行く」
『え?』
森塚に背を向けたまま、小さく呟いた。
「学校。...間に合うんでしょ?」
玄関のドアを開けて階下の景色をボーと眺めながら呟く。
現在の時刻は【am.6:30】。冬李の腕時計が狂っていない限り、時刻は合っている筈だ。
ドアにもたれ掛かりしゃがみ込む。元々寒がりだった冬李は、夏の猛暑でも快適に過ごせる様に作られた制服が少しばかり肌寒かった。
薄い生地の白のワイシャツに薄茶色の校章が入ったニットベスト、ズボンも同じく生地が薄く、緑のチェック柄だ。
指定の赤いネクタイは付けていない。抑制器のチョーカーの上からだと、流石に首元が窮屈だったからだ。
「...寒い」
ポケットから携帯を取り出してリズム良く画面をタップする。「昨日の森塚は自分の事をバカにしていただけなんだ」重いため息と共にそんな考えがよぎった。
「7時...。まだ来ない」
ぷくぅと頬を膨らませて、忙しく通るサラリーマンや学生を目で追っていく。
「...眠い」
*****
ユサユサと体が揺れる。
よく考えると、宙に浮いている気もする。
優しい揺れが心地いい。
冷たかった肌も今は暖かい。
『...李、冬李』
「ん、ぇ?もりつか?」
気が付くと、薄い壁、暗い室内のベッドの上にゴロンと寝転がっていた。
『もう寒くないか?...俺が来た時、外で寝てるし肌は冷たいしで...心配した』
「...アンタが遅いのが悪い」
『ごめん。...今日は学校行くのやめよう。俺もお前が起き上がらない様に見張ってる』
優しく頭を撫でられ、冬李の柔らかい猫っ毛が嬉しそうに揺れた。
「...今何時なの?」
『ん?大体7時半かな』
「...行く」
『え?』
森塚に背を向けたまま、小さく呟いた。
「学校。...間に合うんでしょ?」
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