大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ

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第二章 ハウエバー系 第901辺境惑星 編

54. 決勝トーナメント、カレンVSジミー

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 予選は全て終わり、結局、おれと、イーグル辺境伯の血筋のカレン、カイ、カトリーヌ、それから一応、ジミーも決勝トーナメント進出する事となった。

 そして、すぐさま、決勝トーナメントのくじ引きが行われる。

 まあ、解ってたけど、俺とカイとカトリーヌは相手選手が棄権で不戦勝。

 カレンは、予定通りに、ジミーと戦う事となった。

「ご主人様、予定通りですね!」

 サヤが嬉しそうに、小声で耳元で喋り掛けてくる。

「お前のゴキブリ型ナノマシーンの仕業だろうがよ!」

「ですです!僕の仕業ですよ!良い仕事したでしょ!
 これでカレンさんが、ボコボコにジミーをやっつけてくれますよ!
 ご主人様は優し過ぎますから、ジミーを全く痛めつけれなかったですからね!」

「お前、俺に、あれ以上ジミーを痛めつけろって言うのかよ!
 ジミーの親のエリザベスさんも居るのに、母親の前で、ボコボコにするのは、流石に無理だろ!」

 そう、俺はマザコンなのだ。なので母親の前で、息子を痛めつけるような鬼畜な所業は絶対にしないと決めている。

「カレンさんなら、ヘッチャラでジミーをボコボコにしますよ!」

「まあ、カレンならな……いつも親戚のカイを修行と称して、ボコボコの半殺しにしてるからな……」

「僕は、ものすご~く、ジミーがボコボコにされるのが楽しみです!」

「お前って、想像以上に性格悪かったんだな……」

 俺は、あまりのサヤのジミー嫌いに、少しだけ辟易してしまう。

「別に、僕も、普通の人には、ここまで嫌がらせしませんよ!
 だけど、ジミーだけは絶対に許せないんです!これは、僕のDNAの奥底の記憶に刻まれてる事なので、仕方が無い事なんです!」

「AIが、DNAの記憶って……お前、AIの癖に前世か何かがあるのかよ?
 そしてお前に前世があったならば、ジミーの奴、お前の前世に一体何したんだ?」

 本当に、サヤは解らない。特に、俺がまだグレイ時代、地球の記憶を思い出したくらいの時から、何か変なのだ。

 俺の事を、ずっとマスター呼びしてた癖に、いつの間にか、ご主人様と呼び方変えてたり、僕っ子になってたり。

 まあ、その時は、いつものように喋り方を変えただけかと思ってたけど、それからずっと、サヤは喋り方を変えてない。
 本当に良く解らんが、DNAに刻まれた記憶を、俺のように思い出したからかもしれない。AIなのに……
 多分、暴走した最新鋭AIは、何でも有りなのだろう。

「まあそれは、おいおい解ってきますから!今は、ご主人様は、何も気にしなくて良いですからね!
 今日は、にっくきジミーが、カレンさんにボコボコにされるのを楽しみましょう!」

 サヤは、話を逸らす。

「ていうか、気になるし!」

「ハイハイ!もう、カレンさんとジミーの試合が始まりますよ!」

 なんか知らんが、俺は、サヤにはぐらかされ、そして、カレンとジミーの試合が始まったのである。

「アンタ、私に謝んなさい!」

 試合が始まった早々に、カレンが上から目線で言い放つ。

「ハッ?何言ってんだ?グラスホッパー準男爵家最強の男の、このジミー様が、何でお前なんかに謝んないといけないんだ?」

「ハッ?アンタ、本気に言ってんの?アンタの予選の戦いを最後のほう見てたけど、決勝トーナメントは、アンタの実力で、出て良いレベルじゃないんだけど?」

 カレンは、珍しく正論を言っている。
 カレンって、普段脳筋で、言葉より拳で解らせるタイプなのに。

「お前、俺の試合見てたんなら、俺の実力が解ってるどろうがよ!
 ただ、不意打ちで、ヨツバとかいうお前の金魚のフンに負けちまったけど、正々堂々戦ってれば、レアスキルの剣術Lv.2を持ってる俺様の方が遥かに強ーんだよ!」

「アンタ、それ本気で思ってんの?ただ、私は、エリザベス叔母様に、『熊の鉄槌』の正式復活を頼まなければならないから、アンタに優しくしてやってんのに……アンタ、本気に、本気で言ってんの?」

「何が本気だ?俺は、まだ、実力の半分も出してないぜ!」

 ジミーさん、アホ過ぎる。予選ではカレンも俺もカトリーヌもカイも、本気の10パーセントも出してないのだ。
 カレンと常軌を逸した修行をしてた俺達とは、根本的にレベルが違い過ぎるのである。

 そして、なんか困った様子のカレンが、イーグル辺境伯達と観戦してる、エリザベスさんの方を見る。

「大丈夫!カレンちゃん達の『熊の鉄槌』復活は認めてあげるわ!そして、レアスキルを得て、何か勘違いしてしまってる、ウチの息子を懲らしめてあげて!」

 まさかのエリザベスさんから、ジミーを倒して良いOKが出た。
 エリザベスさん的にも、ジミーの態度に思う所があったのだろう。

「フフフフフ、ファッハッハッハッ!やったわ!エリザベス叔母様から、『熊の鉄槌』復活の許可を得たわ!これで、『熊の鉄槌(仮)』から、(仮)が、やっと外せるのよ!
 そして、ジミー!アンタをやっと本気に、ケッチョンケッチョンのボコボコにしてあげれるわ!
 なんたって、エリザベス叔母様の許可がおりたんですもん。
 私、アンタみたいな口だけ男の事が、本当に虫唾が走るくらい嫌いなのよね。
 なんで、アンタみたいなのが、私の親戚なのよ!
 生まれた事を後悔するほど、ボコボコにしてあげるから覚悟しなさい!」

「ヤバい!ヤバいですよ!ご主人様!カレンさん、相当、ジミーに舐めた口を叩かれた事を根に持ってますよ!」

 サヤが、とても嬉しそうに話し掛けてくる。

「ああ。アイツ死んだな。きっと、いつものカイより、カレンにボコボコにされるぜ……」

 てな感じで、結局、完全自主規制レベルで、ジミーは、カレンにボコボコのボロ雑巾みたいにされたのであった。

 ん?どれくらいボロ雑巾だったかって?

 そんなの石畳でできた、床に頭からお尻ぐらいまでめり込んでるぐらい、ボコボコにされてたよ。

 しかも、着てた服は、全て、カレンが纏う炎で燃やされてスッポンポンになり、脱糞までしてたんだから。

 これには、流石に、エリザベスさんが飛びたしてきて、やり過ぎとカレンを叱ってたからね。

 これで、少しは、カレンも大人しくなるかもしれない。
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