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第二章 ハウエバー系 第901辺境惑星 編
81. グラスホッパー家の印籠効果
しおりを挟むまあ、取り敢えず、俺達は、街の人達に怪しい者ではないと伝える為に、シスがエリザベスから渡されてた、グラスホッパー家の印籠を、その辺に歩いてたオッサンに見せてみた。
「おおっ!こ……これはグラスホッパー家の印籠! まさか君達はエドソン隊長のお子さんなのですか?!」
やはりというか、サヤが言うように、グラスホッパー家の印籠パワーは歴然だった。
だって、このオッサン、グラスホッパー家の印籠を見た途端、今迄あんなに話し掛けるなオーラをガンガンに出してたのに、食いついてきたんだもん。
「そうだよ。私はエドソンお父さんの娘のシス・グラスホッパー!そして、こっちは、お兄ちゃんのコナン・グラスホッパーだよ!」
印籠をエリザベスから持たされていたシスが、エッヘンとする。
そして、紹介されたコナンも、エッヘンとする。
「おおー!そうだったんですか!この街の先の大戦に参加した者達は、みんなエドソン隊長に救われてた者ばかりなんです!
トップバリュー商会からは、ウッドペッカー商会の品物を買ってはいけないと言われましたが、私は買います!
命の恩人のお子さん達が、この街に商売に来てたのに、何も買わないで追い返すなんて、私にはできません!
どうせ、大戦で死んでた命なのです!私はいつ死んでも後悔などありません!
それより、命の恩人のお子さんに酷い事をしていた自分が到底許せません!」
オッサンは、そういうと、その時、財布に入ってたお金全てを使って、ウッドペッカー商会の甘くて美味しい果物を買ってくれたのであった。
「おい!お前、何やってるんだよ!そんな事したら、この街で生きていけないぞ!」
そのオッサンの行動を見ていた、このオッサンの知り合いであろう別のオッサンが、慌ててやってくる。
「お前こそ、命の恩人のお子さんがこの街に商売しに来てるのに、よく何も買わずに追い出せるな。この子達は、エドソン隊長のお子さんなんだぞ!」
「な……何だと?!」
最初のオッサンに言われて、次のオッサンがシスとコナンを見る。
すると、シスは、控えあろう!と、デデン!と、グラスホッパー家の印籠を見せるのだ。
「ああぁぁ、俺は、何ということをしてたんだ。よりによって、エドソン隊長のお子さん達にとても酷い事をしてたなんて……」
この次のオッサンも、サイフの中身を全て使って、ウッドペッカー商会の甘くて美味しい果物を買って行ってくれた。
そんな事を2、3回してたら、次々に街の人達がやって来て大繁盛。
「アナタのお父さんのお陰で、旦那は戦場から生きて帰ってこれたわ!ありがとう!」
「お父さんが、エドソン・グラスホッパーは、とても偉くて凄い人と言ってたよ!」
「エドソン隊長は、この街の英雄だよ!」
なんか知らないが、俺じゃなくてエドソンが褒められてるのに、とても嬉しくなってくる。
「ご主人様!良かったですね!エドソンさんが褒められて!」
「ああ。何故か知らないが、エドソンが褒められると自分の事のように嬉しいのは何でだろう?」
「それは、ご主人様が、エドソンさんの事が大好きだからですよ!」
「だから、何で俺はエドソンの事が好きなんだ?そんなに話した事ないし、会ったのも、ほんの最近だし?」
「前世で、ご主人様とエドソンさんは仲良かったとか?」
「俺の前世って、グレイ星人だぞ?」
「ご主人様、気付いてます?ご主人様の前世はグレイ星人じゃないですよ!今もグレイ星人の延長線上ですし、そもそも、まだ、ヨツバ・グレイオス少尉は死んでませんし!ただ、ボディーが変わっただけですからね!」
「そうだった!目覚め方が異世界転生ぽかったから、俺、いつの間にか転生した気になってた!よくよく考えたら、俺のこの物語は超絶SFモンじゃねーかよ!
グレイ星人出てくるし、AI出てくるし、宇宙船出てくるし、マットサイエンティスな人体実験して、猫耳生えてる人間とか生み出してるし!」
「ですです!ご主人様が今行ってる行為は、超絶SFチックな技術で、ラノベのような異世界転生世界を生み出し、グレイ星人が楽しんでるだけだったりします。その気になれば、ご主人様はすぐにでもグレイ星人に戻れちゃいますし!」
「止めろ!俺を現実に引き戻すような事、言うなよ! 俺はこの世界が好きなんだ! この世界は、俺が大好きだった『恋愛イチャイチャキングダム』の世界なんだぞ!」
「ですね!この世界はご主人様が大好きな『恋愛イチャイチャキングダム』の世界です!」
なんか知らんが、サヤが『恋愛イチャイチャキングダム』を強調する。
多分だが、『恋愛イチャイチャキングダム』の世界を完璧に作った自分を褒めて欲しいのかもしれない。
「ありがとな。俺の為にこの世界を作ってくれて」
「いえいえとんでもない。この世界を作ったのは、ご主人様の為だけでなく、僕の為でもありますからね!」
サヤの為でもあるというのが分からないが、サヤは、辺境惑星観察官に寄り添うように出来てるので、俺を喜ばすと、自分も嬉しくなってしまうのだろう。流石は、自我を持つ、グレイ帝国史上、最も進化したバグった最新鋭AI!
と、この頃の俺は、なんの疑いを持たずに、サヤはスゲー奴だと思っていたのだ……
ーーー
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