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6 密会
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その日、私は急遽予定をキャンセルして早めに公爵邸へと帰宅していた。
久しぶりに参加した夫人たちのお茶会は息が詰まりそうだった。
当然だが、あの場にいる全員が私のことを良く思っているわけではない。
社交界で話題になるほど美しいわけでもなく、大した能力も無い伯爵令嬢だった私が名門公爵家に嫁いだのだから思うところはあるだろう。
『バインベルク公爵様が夫だなんて、夫人は世界一の幸せ者ですわね』
『まぁ……ありがとうございます……』
『生まれる前からあんな素敵な方との婚約が決まっていただなんて、羨ましい限りですわ』
『そうですわね……』
”生まれる前から決まっていた”
まるで私と彼が釣り合っていないと遠回しに言われているみたいだ。
『ですが、あんなにも素敵な旦那様だと、不安になることも多いのでは?』
『それは一体どういう……』
『――浮気の心配です』
『……彼はそのようなことをする人ではありません』
本当に?
本当にしないって言える?
自分にだけ聞こえる声で誰かが囁いた。
『たしかに、公爵様の愛人になりたいと思う女性は多いはずだわ』
『彼を狙っていた令嬢は多くいましたし……』
釣り合っていない、浮気されるかもしれない。
これまで何度も言われてきたことだった。
そのたびにただの妬みだと思っていたし、特に気にしたことはなかった。
――それなのに、何故か今日はその言葉たちが重くのしかかった。
「……」
(やっぱり、アランとしっかり話し合わないと……)
早く帰ってきた理由は、夫人たちの話を聞いてこのままではいけないと思ったからだ。
彼の気持ちが誰にあろうと、私たちに離婚という選択肢など最初から無い。
この先生まれてくるであろう私たちの子供のためにも、絶対に彼との関係を改善しなければならない。
(私から寄り添えば、きっとまた以前のように優しい彼に戻ってくれるわ……)
――何より、私は彼を信じている。
「お、奥様……!?」
「……?」
邸へ戻るなり、使用人たちが焦ったような顔で私を見た。
(……何かしら?)
不思議に思いながら彼らをじっと見つめた。
何かを隠しているかのように全員ソワソワしている。
「ほ、本日は夕方までお戻りにはなられないと……」
「ええ……帰ってきたらまずかったかしら?」
「い、いえ……」
何かがおかしい。
(もしかして、邸に誰か来ているの……?)
嫌な予感がする。
「……ねぇ、旦那様は今どこにいるの?」
「……!」
そう尋ねると、経験の浅い侍女がビクリと肩を震わせた。
明らかに動揺している。
何とも分かりやすい反応だ。
私の勘が当たっているのは間違いなさそうである。
「公爵邸に……お客様がいらっしゃるのね……?」
「あ……それは……」
公爵邸に予期せぬ訪問客があり、アランが今その相手と会っている。
私に隠さなければならない相手ということだから……
「もしかして……ジョルジュ男爵令嬢……?」
久しぶりに参加した夫人たちのお茶会は息が詰まりそうだった。
当然だが、あの場にいる全員が私のことを良く思っているわけではない。
社交界で話題になるほど美しいわけでもなく、大した能力も無い伯爵令嬢だった私が名門公爵家に嫁いだのだから思うところはあるだろう。
『バインベルク公爵様が夫だなんて、夫人は世界一の幸せ者ですわね』
『まぁ……ありがとうございます……』
『生まれる前からあんな素敵な方との婚約が決まっていただなんて、羨ましい限りですわ』
『そうですわね……』
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『ですが、あんなにも素敵な旦那様だと、不安になることも多いのでは?』
『それは一体どういう……』
『――浮気の心配です』
『……彼はそのようなことをする人ではありません』
本当に?
本当にしないって言える?
自分にだけ聞こえる声で誰かが囁いた。
『たしかに、公爵様の愛人になりたいと思う女性は多いはずだわ』
『彼を狙っていた令嬢は多くいましたし……』
釣り合っていない、浮気されるかもしれない。
これまで何度も言われてきたことだった。
そのたびにただの妬みだと思っていたし、特に気にしたことはなかった。
――それなのに、何故か今日はその言葉たちが重くのしかかった。
「……」
(やっぱり、アランとしっかり話し合わないと……)
早く帰ってきた理由は、夫人たちの話を聞いてこのままではいけないと思ったからだ。
彼の気持ちが誰にあろうと、私たちに離婚という選択肢など最初から無い。
この先生まれてくるであろう私たちの子供のためにも、絶対に彼との関係を改善しなければならない。
(私から寄り添えば、きっとまた以前のように優しい彼に戻ってくれるわ……)
――何より、私は彼を信じている。
「お、奥様……!?」
「……?」
邸へ戻るなり、使用人たちが焦ったような顔で私を見た。
(……何かしら?)
不思議に思いながら彼らをじっと見つめた。
何かを隠しているかのように全員ソワソワしている。
「ほ、本日は夕方までお戻りにはなられないと……」
「ええ……帰ってきたらまずかったかしら?」
「い、いえ……」
何かがおかしい。
(もしかして、邸に誰か来ているの……?)
嫌な予感がする。
「……ねぇ、旦那様は今どこにいるの?」
「……!」
そう尋ねると、経験の浅い侍女がビクリと肩を震わせた。
明らかに動揺している。
何とも分かりやすい反応だ。
私の勘が当たっているのは間違いなさそうである。
「公爵邸に……お客様がいらっしゃるのね……?」
「あ……それは……」
公爵邸に予期せぬ訪問客があり、アランが今その相手と会っている。
私に隠さなければならない相手ということだから……
「もしかして……ジョルジュ男爵令嬢……?」
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