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10 夫の答え
それからアランは次第に家を空けることが多くなっていった。
お茶に誘っても断られ、食事の席にも現れない。
(今日も出掛けるだなんて……こんな頻繁に一体どこへ行っているのかしら……)
彼の行き先はある程度予想がついている。
(きっとジョルジュ男爵家ね……)
近頃は私が邸にいることが多いから、彼が男爵家へ足を運んで彼女に会いに行っているのだろう。
妻である私よりも彼女の方が大事なのか。
最近彼とまともに話をしたのはいつだっただろうか。
私たちは完全に仮面夫婦と化していた。
顔を合わせても話すらしない。
アランは私の姿を見たところで何も言わずに通り過ぎるだけだった。
愛していると気持ちを伝えたあの日から、私たちの関係は余計に複雑になっていった。
主にアランが私を避けていた。
(しっかり話さないと……私たちの今後を決めるためにも……)
そう思った私は、アランの執務室を訪れた。
「旦那様、お話があります」
「……今日は疲れているんだ、話なら明日にでも――」
「――いいえ、今話さなければならないことです」
「……」
ハッキリとそう伝えると、彼は諦めたように首を縦に振った。
執務室にあるソファに彼と向かい合って座ると、何だか仲の良かった頃に戻ったような気分になった。
目の前にある彼の瞳はあの頃と違って随分と冷たかったが。
「旦那様、近頃家を空けることが多くなっているようですが……一体どちらへ行かれているのですか?」
「……………仕事だ」
彼は視線を逸らしたまま気まずそうにそれだけ言った。
(仕事ですって?)
彼の答えを鼻で笑った。
「――ジョルジュ男爵令嬢」
「……!」
男爵令嬢の名前を出すと、アランが反応した。
「男爵令嬢に会いに、ジョルジュ男爵家に行っているのでしょう?」
「……」
図星のようだ。
彼は膝の上で拳をギュッと握りしめて何も言えなくなっていた。
「旦那様、貴方の妻は私です」
「……そんなこと、分かっている」
いいえ、貴方は何も分かっていないわ。
分かっているならそんな行動取るはずがないもの。
「頻繁に男爵家へ通うことで私が貴族たちに何を言われるか考えたことはありますか?」
「……」
彼は結婚式の日、必ず私を幸せにすると誓った。
(一度誓ったのだから、しっかり守ってもらわないと……)
「旦那様、単刀直入に言います」
私はアランの瞳を正面から見つめた。
「――彼女と別れてください」
「……」
「そして金輪際、彼女と二人きりで会わないでください」
そう言ったところで彼は何の反応も見せなかった。
彼女との愛を諦めたのかと安心していると、俯いていたアランが顔を上げた。
「――それは出来ない」
「……………………………え?」
お茶に誘っても断られ、食事の席にも現れない。
(今日も出掛けるだなんて……こんな頻繁に一体どこへ行っているのかしら……)
彼の行き先はある程度予想がついている。
(きっとジョルジュ男爵家ね……)
近頃は私が邸にいることが多いから、彼が男爵家へ足を運んで彼女に会いに行っているのだろう。
妻である私よりも彼女の方が大事なのか。
最近彼とまともに話をしたのはいつだっただろうか。
私たちは完全に仮面夫婦と化していた。
顔を合わせても話すらしない。
アランは私の姿を見たところで何も言わずに通り過ぎるだけだった。
愛していると気持ちを伝えたあの日から、私たちの関係は余計に複雑になっていった。
主にアランが私を避けていた。
(しっかり話さないと……私たちの今後を決めるためにも……)
そう思った私は、アランの執務室を訪れた。
「旦那様、お話があります」
「……今日は疲れているんだ、話なら明日にでも――」
「――いいえ、今話さなければならないことです」
「……」
ハッキリとそう伝えると、彼は諦めたように首を縦に振った。
執務室にあるソファに彼と向かい合って座ると、何だか仲の良かった頃に戻ったような気分になった。
目の前にある彼の瞳はあの頃と違って随分と冷たかったが。
「旦那様、近頃家を空けることが多くなっているようですが……一体どちらへ行かれているのですか?」
「……………仕事だ」
彼は視線を逸らしたまま気まずそうにそれだけ言った。
(仕事ですって?)
彼の答えを鼻で笑った。
「――ジョルジュ男爵令嬢」
「……!」
男爵令嬢の名前を出すと、アランが反応した。
「男爵令嬢に会いに、ジョルジュ男爵家に行っているのでしょう?」
「……」
図星のようだ。
彼は膝の上で拳をギュッと握りしめて何も言えなくなっていた。
「旦那様、貴方の妻は私です」
「……そんなこと、分かっている」
いいえ、貴方は何も分かっていないわ。
分かっているならそんな行動取るはずがないもの。
「頻繁に男爵家へ通うことで私が貴族たちに何を言われるか考えたことはありますか?」
「……」
彼は結婚式の日、必ず私を幸せにすると誓った。
(一度誓ったのだから、しっかり守ってもらわないと……)
「旦那様、単刀直入に言います」
私はアランの瞳を正面から見つめた。
「――彼女と別れてください」
「……」
「そして金輪際、彼女と二人きりで会わないでください」
そう言ったところで彼は何の反応も見せなかった。
彼女との愛を諦めたのかと安心していると、俯いていたアランが顔を上げた。
「――それは出来ない」
「……………………………え?」
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