愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。

ましゅぺちーの

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45 事件

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アランが血を吐いて倒れた。


「アラン……一体何が……起きて……」
「公爵……」


未だに理解が追い付いていない私と、顔色の悪いセシル殿下。


セシル殿下から贈られたお茶を飲んだアランが倒れた。
きっとお茶に毒を盛っていたのだろう。
――ほかでもない、私を毒殺するために。


そしてアランは何故かそのことを知っていた。
知っていて、私を守るために自ら毒を飲んだのだ。


(アラン……一体どうして貴方がそんなこと……)


身を挺して守るほど私のことを愛していたのか。


――「アラン様!!!」
「……ブリアナッ!?」


そのとき、バルコニーから突如として姿を現したのはブリアナだった。
彼女は真っ青な顔で床に倒れるアランに駆け寄った。


「ああ、どうしてアラン様が……!」


口から血を流して動かない彼の姿に、ブリアナは目から大粒の涙を流した。


「ブリアナ……」
「ちょっと、何してんのよ!!!」


ブリアナは放心状態のセシルを睨み付け、アランを抱き起こした。
殿下はそんな彼女の姿を何とも言えない複雑な目で見つめていた。


「……知り合い?随分と仲が良さそうですね」
「あ、いや、これは……違うんだ……その……」


親密そうな二人の姿を見た私はようやく全てを理解した。
この毒殺事件の真の黒幕がブリアナだということ、セシル殿下は彼女に依頼されてやったに違いないということ。


「――これは一体何の騒ぎだ!」
「……あら、ちょうどいいところに」


扉を勢いよく開けて部屋に入ってきたのはエイベル殿下だった。


「――毒殺事件です、殿下」
「毒殺……?アラン!?」


騒ぎを聞きつけてやってきた殿下は床に倒れるアランを見て動揺を隠すことが出来なかった。


「犯人はセシル殿下と……そこでうずくまっている男爵令嬢ですわ」
「「……」」


セシル殿下は何も言わず、ブリアナもただ泣くだけだった。


「……そうか、事情は大体把握した。アランを医務室に」
「はい、殿下」


アランが運ばれて行った後、殿下は項垂れる二人に向き直った。


「……バインベルク公爵毒殺未遂でお前たち二人を連行する」
「「……」」


セシルは弁明することも無く、ただ黙って騎士に連れて行かれた。


「違うわ!何を言っているのよ!私がアラン様を殺そうとするわけがないでしょう!?」


ブリアナは最後の最後まで抵抗していたが、騎士の力に敵うはずもなく、口を塞がれて地下牢へと連行されていった。
部屋に残ったのは殿下と私の二人だけ。


「……アンジェ」
「殿下……」


何だか久しぶりに彼の顔を見た。
しかしそのようなことを気にしている場合ではなかった。
先ほどのアランの姿が脳裏を掠め、涙が溢れてくる。


「アランが……私を庇って毒を……」
「アンジェ……!」


殿下は声を上げて泣く私を抱き締めた。


「……ひとまず君が無事でよかった、アランも必ず助けるからそう不安にならないでくれ」
「……」


彼の優しい声が耳に入ると、何故かとても安心出来た。
私はそのままじっと彼の胸に抱かれていた。


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