48 / 51
48 ブリアナの処遇
しおりを挟む
数日後、ブリアナの処遇が正式に決定した。
私に対する二度の殺人未遂により生涯幽閉が確定したそうだ。
犯した罪の重さを考慮すれば死刑だが、あえて生かしておいた方が彼女に対する罰になると考えたのだろう。
罪が確定したブリアナは地下牢の中で絶望の表情を浮かべていた。
社交界の華と言われ、誰からも愛される存在だった彼女がここまで落ちぶれるとは、一体誰が想像出来ただろうか。
それに加えて、彼女の父親である男爵も過去に犯した罪が明らかになり捕縛された。
ジョルジュ男爵家はブリアナの異母姉に引き継がれるそうだ。
ブリアナの異母姉とは一度だけ会ったことがあるが、穏やかで聡明な女性だったのをよく覚えている。
彼女なら父親や妹のように罪を犯さないだろう。
「旦那様、ブリアナは地下牢にて生涯幽閉が決まりました」
「……そうか」
目覚めたアランはブリアナの処遇を聞いて複雑な顔をしていたが、異議を唱えることはしなかった。
「……良いのですか?あれだけ愛した人だったというのに」
「……今となってはよく分からないんだ。私は本当に彼女のことを愛していたのか……」
「……少なくとも、ブリアナの旦那様に対する気持ちは本物だったと思いますよ」
少々行き過ぎた愛ではあったが、彼女はアランをとても愛していた。
「殿下に頼めば一回くらいは面会させてもらえると思いますよ」
「……いや、いい。罪を犯した彼女に会うつもりは無い」
「……」
アランの判断は賢明だった。
今のブリアナは見るに堪えないほど醜悪な姿だったから。
愛した女性のそんなところを見るのは辛いだろう。
「ところで旦那様……何故あのようなことをしたのですか」
「……」
冷たい声で問い詰めると、アランは言葉を詰まらせた。
「毒だと分かっていて飲むだなんて、正気とは思えませんわ」
「……ブリアナとセシル殿下が君の毒殺を企てているという話をたまたま聞いてしまったんだ……二人を重罪にするためにはああするしかないと思って……それで……」
「何て愚かな……」
彼は気まずそうに私から目を逸らした。
「もしそれで旦那様が亡くなってしまったら……私も殿下も元通りの日常を送れなかったでしょう」
「……」
「何故そんなことを言うのか……という顔をしてるようですが」
たしかにアランにはたくさんの傷を負わされた。
しかし、そのことで幸せだった頃の記憶が全て消えたわけではない。
「当然のことではありませんか……私にとっても殿下にとっても貴方は……幼い頃から苦楽を共にした大切な友人なのですから」
「……」
彼は驚いたように目を見開いた後、切なげに呟いた。
その表情は嬉しそうにも悲しそうにも見える。
「アンジェ……もう夫とは言ってくれないんだな」
「……」
私はあえて何も言わなかった。
その沈黙が、二人の進む道を明確に表していた。
この判断が正しいのかどうかは誰にも分からない。
だけど、生まれてくる子供のためにも、お互いのためにも努力はするつもりだ。
(きっと私たちは幸せになれるはずよ)
私に対する二度の殺人未遂により生涯幽閉が確定したそうだ。
犯した罪の重さを考慮すれば死刑だが、あえて生かしておいた方が彼女に対する罰になると考えたのだろう。
罪が確定したブリアナは地下牢の中で絶望の表情を浮かべていた。
社交界の華と言われ、誰からも愛される存在だった彼女がここまで落ちぶれるとは、一体誰が想像出来ただろうか。
それに加えて、彼女の父親である男爵も過去に犯した罪が明らかになり捕縛された。
ジョルジュ男爵家はブリアナの異母姉に引き継がれるそうだ。
ブリアナの異母姉とは一度だけ会ったことがあるが、穏やかで聡明な女性だったのをよく覚えている。
彼女なら父親や妹のように罪を犯さないだろう。
「旦那様、ブリアナは地下牢にて生涯幽閉が決まりました」
「……そうか」
目覚めたアランはブリアナの処遇を聞いて複雑な顔をしていたが、異議を唱えることはしなかった。
「……良いのですか?あれだけ愛した人だったというのに」
「……今となってはよく分からないんだ。私は本当に彼女のことを愛していたのか……」
「……少なくとも、ブリアナの旦那様に対する気持ちは本物だったと思いますよ」
少々行き過ぎた愛ではあったが、彼女はアランをとても愛していた。
「殿下に頼めば一回くらいは面会させてもらえると思いますよ」
「……いや、いい。罪を犯した彼女に会うつもりは無い」
「……」
アランの判断は賢明だった。
今のブリアナは見るに堪えないほど醜悪な姿だったから。
愛した女性のそんなところを見るのは辛いだろう。
「ところで旦那様……何故あのようなことをしたのですか」
「……」
冷たい声で問い詰めると、アランは言葉を詰まらせた。
「毒だと分かっていて飲むだなんて、正気とは思えませんわ」
「……ブリアナとセシル殿下が君の毒殺を企てているという話をたまたま聞いてしまったんだ……二人を重罪にするためにはああするしかないと思って……それで……」
「何て愚かな……」
彼は気まずそうに私から目を逸らした。
「もしそれで旦那様が亡くなってしまったら……私も殿下も元通りの日常を送れなかったでしょう」
「……」
「何故そんなことを言うのか……という顔をしてるようですが」
たしかにアランにはたくさんの傷を負わされた。
しかし、そのことで幸せだった頃の記憶が全て消えたわけではない。
「当然のことではありませんか……私にとっても殿下にとっても貴方は……幼い頃から苦楽を共にした大切な友人なのですから」
「……」
彼は驚いたように目を見開いた後、切なげに呟いた。
その表情は嬉しそうにも悲しそうにも見える。
「アンジェ……もう夫とは言ってくれないんだな」
「……」
私はあえて何も言わなかった。
その沈黙が、二人の進む道を明確に表していた。
この判断が正しいのかどうかは誰にも分からない。
だけど、生まれてくる子供のためにも、お互いのためにも努力はするつもりだ。
(きっと私たちは幸せになれるはずよ)
2,473
あなたにおすすめの小説
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
八年間の恋を捨てて結婚します
abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。
無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。
そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。
彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。
八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。
なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。
正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。
「今度はそうやって気を引くつもりか!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる