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51 エピローグ
毒殺事件から数年後。
「お母様!」
「レイモンド!」
私は無事に息子を産み、王宮で暮らしていた。
あの事件以降、王国内では様々な変化が起きた。
先代国王陛下と王妃陛下はあの後すぐに王位を殿下に譲り、南の離宮に移った。
長年の夢だった自身の息子を王位に就けることが永遠に叶わなくなった王妃陛下は壊れてしまったようだが、そんな彼女を国王陛下が献身的に看病しているという。
少し前に陛下に会ったが、酷く疲れているようだった。
王妃陛下の看病は一筋縄ではいかないらしい。
エイベル殿下の弟のセシル殿下は自ら王位継承権を放棄し、王族から籍を抜けることを選んだ。
王族を辞めたとしても兄を陰から支えたいという思いは変わらないのか、今では騎士として国を守っている。
「お母様、今日お父様に会ったよ!」
「そう、楽しかった?」
「うん、とっても!」
「それは良かったわね」
私とアランは別々の道を歩むことを選択したが、決して縁を切ったわけでは無かった。
一緒に暮らしてこそいないが、週に一度は必ず子供に会いにここを訪れる。
アランは私の心配とは裏腹に、息子のレイモンドをとても可愛がった。
ブリアナが捕縛された後から彼は徐々に変わり始めたのだ。
そして息子のレイモンドは次期バインベルク公爵として立派に育っている。
「――アンジェ」
「陛下」
遠くからエイベル殿下……陛下が歩いてくる。
あの告白の後、私は正式に彼と婚約し、王妃となった。
離婚歴のある、しかも子持ちの女性を王妃とすることには当然多くの反対があった。
しかし、数多くの反対を受けても彼の意思が揺らぐことは無かった。
『私の妻は彼女以外にありえない、もし認められないのであれば私は生涯独身でい続けるだろう』
貴族たちが集う会議の場で堂々と宣言した彼の姿は今でも忘れられなかった。
この宣言は国内外で大きな話題となり、真実の愛だと感動した国民たちはより一層彼を支持するようになった。
「お父様!」
「レイモンド」
陛下が遠くからやって来るのを見たレイモンドが彼に駆け寄った。
レイモンドは彼をもう一人の父親として慕っており、彼もレイモンドを実の息子のように可愛がってくれている。
(血の繋がりが無くても、親子になれるのね……)
私はじゃれ合う二人にそっと近付いた。
「陛下、言いたいことがあるんです」
「何だ?」
私の声で陛下とレイモンドがこちらを見た。
ずっと言わなければならないと思っていたことだったが、いざ言葉にするととても緊張してしまう。
「お母様、どうしたの?」
そんな私を見たレイモンドが心配そうに尋ねた。
時折息子が見せる優しさに胸が温かくなる。
「レイモンド、貴方に弟が出来るのよ」
「……弟が?」
固まって目を丸くしたレイモンド。
すぐ傍では、震える陛下の声が耳に入った。
「な、何だって……!?」
驚きを隠しきれない彼らに笑みが零れた。
「こんなにも喜びを感じたのは初めてだ……!」
「弟が出来るだなんて……すごく嬉しい!」
陛下は勢いのまま私をギュッと抱き締め、レイモンドもそんな私たちに抱き着いた。
「名前は何にしようか」
「気が早いです、陛下」
この幸せが永遠に続くことを心の中で願った私は、これから生まれてくる子に想いを馳せながらまだ平らなお腹をそっと撫でた。
―――――――――――――――
読んでくださってありがとうございました!
「お母様!」
「レイモンド!」
私は無事に息子を産み、王宮で暮らしていた。
あの事件以降、王国内では様々な変化が起きた。
先代国王陛下と王妃陛下はあの後すぐに王位を殿下に譲り、南の離宮に移った。
長年の夢だった自身の息子を王位に就けることが永遠に叶わなくなった王妃陛下は壊れてしまったようだが、そんな彼女を国王陛下が献身的に看病しているという。
少し前に陛下に会ったが、酷く疲れているようだった。
王妃陛下の看病は一筋縄ではいかないらしい。
エイベル殿下の弟のセシル殿下は自ら王位継承権を放棄し、王族から籍を抜けることを選んだ。
王族を辞めたとしても兄を陰から支えたいという思いは変わらないのか、今では騎士として国を守っている。
「お母様、今日お父様に会ったよ!」
「そう、楽しかった?」
「うん、とっても!」
「それは良かったわね」
私とアランは別々の道を歩むことを選択したが、決して縁を切ったわけでは無かった。
一緒に暮らしてこそいないが、週に一度は必ず子供に会いにここを訪れる。
アランは私の心配とは裏腹に、息子のレイモンドをとても可愛がった。
ブリアナが捕縛された後から彼は徐々に変わり始めたのだ。
そして息子のレイモンドは次期バインベルク公爵として立派に育っている。
「――アンジェ」
「陛下」
遠くからエイベル殿下……陛下が歩いてくる。
あの告白の後、私は正式に彼と婚約し、王妃となった。
離婚歴のある、しかも子持ちの女性を王妃とすることには当然多くの反対があった。
しかし、数多くの反対を受けても彼の意思が揺らぐことは無かった。
『私の妻は彼女以外にありえない、もし認められないのであれば私は生涯独身でい続けるだろう』
貴族たちが集う会議の場で堂々と宣言した彼の姿は今でも忘れられなかった。
この宣言は国内外で大きな話題となり、真実の愛だと感動した国民たちはより一層彼を支持するようになった。
「お父様!」
「レイモンド」
陛下が遠くからやって来るのを見たレイモンドが彼に駆け寄った。
レイモンドは彼をもう一人の父親として慕っており、彼もレイモンドを実の息子のように可愛がってくれている。
(血の繋がりが無くても、親子になれるのね……)
私はじゃれ合う二人にそっと近付いた。
「陛下、言いたいことがあるんです」
「何だ?」
私の声で陛下とレイモンドがこちらを見た。
ずっと言わなければならないと思っていたことだったが、いざ言葉にするととても緊張してしまう。
「お母様、どうしたの?」
そんな私を見たレイモンドが心配そうに尋ねた。
時折息子が見せる優しさに胸が温かくなる。
「レイモンド、貴方に弟が出来るのよ」
「……弟が?」
固まって目を丸くしたレイモンド。
すぐ傍では、震える陛下の声が耳に入った。
「な、何だって……!?」
驚きを隠しきれない彼らに笑みが零れた。
「こんなにも喜びを感じたのは初めてだ……!」
「弟が出来るだなんて……すごく嬉しい!」
陛下は勢いのまま私をギュッと抱き締め、レイモンドもそんな私たちに抱き着いた。
「名前は何にしようか」
「気が早いです、陛下」
この幸せが永遠に続くことを心の中で願った私は、これから生まれてくる子に想いを馳せながらまだ平らなお腹をそっと撫でた。
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読んでくださってありがとうございました!
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