4 / 52
領地での療養
しおりを挟む
私はお父様から療養の許可をもらった後すぐに領地へと行っていた。
しばらく学園へは行きたくなかった。
幸い私は既に卒業試験に合格しているので、卒業パーティーまでずっと休んでいても卒業できる。
(こういう時のために、普段からしっかり勉強しておいてよかったわ。)
私の心は比較的穏やかだった。
殿下のことは好きだったが、あんな人と結婚してもきっと将来は苦労の連続だ。
それを考えれば、婚約破棄されてよかったのかもしれない。
馬車の中から窓の外を見る。
「あ、リリーシャ様だ!!!」
一人の子供の声で周りにいた人たちが私を見る。
「リリーシャ様ぁ~!!!」
「帰ってきていたんですね!!!」
領民たちが私を見て歓声をあげた。
私がここまで領民たちから慕われているのは私のおかげではない。
お父様とお母様が、領民たちに慕われているから自然とその娘である私も慕われているのである。
手を振る領民たちに微笑みながら私も手を振り返した。
(ここなら穏やかに暮らせそうだわ。荷物を置いたらすぐ邸の近くの湖に行こうかな・・・。)
私はこれからの生活に胸を躍らせた。
オブライト公爵side
「あなた、どうやらルパートは例の男爵令嬢に本気のようね。」
そう言ったのは妻であるヴィオラだ。
「そうだな、あの阿婆擦れの言葉を信じ、実の妹を断罪するとは・・・情けない・・・。」
ヴィオラがそっと私に寄り添った。
「・・・ヴィオラ。二人はいつから仲が悪くなったんだ?学園に入学する前は仲が良かったと思うのだが・・・。」
「・・・私にもわからないわ。阿婆擦れがルパートに何かを吹き込んだのではないかしら?リリーシャを貶めるような。だとしてもそれを信じたルパートもルパートだけれど。」
「あいつは今までリリーシャの何を見てきたんだ・・・。」
私は頭を抱えた。
それを聞いたヴィオラが私に尋ねた。
「あなた、ルパートをどうするつもり?いくらなんでもこのままでは・・・。」
ヴィオラの言葉に私は本気で悩んだ。
オブライト公爵家の男児はルパート一人。
女児が爵位を継ぐのは不可能ではないが・・・前例がない。
「・・・一度あいつと話をしてみる。更生が不可能なようなら・・・
―廃嫡する。」
その言葉にヴィオラは反論しなかった。
「・・・それが良いでしょうね。」
「あぁ、廃嫡したらどこかの家に婿入りさせるつもりだ。もちろんあの男爵令嬢との結婚は認めない。」
私の決断にヴィオラは納得したのか軽く頷いた。
――――――――――――――――――――――――――――
次回から学園に戻り、皆さんお待ちかねのざまぁ回です!
ざまぁ対象が5人もいるのでかなり長くなるかと思われます・・・。
しばらく学園へは行きたくなかった。
幸い私は既に卒業試験に合格しているので、卒業パーティーまでずっと休んでいても卒業できる。
(こういう時のために、普段からしっかり勉強しておいてよかったわ。)
私の心は比較的穏やかだった。
殿下のことは好きだったが、あんな人と結婚してもきっと将来は苦労の連続だ。
それを考えれば、婚約破棄されてよかったのかもしれない。
馬車の中から窓の外を見る。
「あ、リリーシャ様だ!!!」
一人の子供の声で周りにいた人たちが私を見る。
「リリーシャ様ぁ~!!!」
「帰ってきていたんですね!!!」
領民たちが私を見て歓声をあげた。
私がここまで領民たちから慕われているのは私のおかげではない。
お父様とお母様が、領民たちに慕われているから自然とその娘である私も慕われているのである。
手を振る領民たちに微笑みながら私も手を振り返した。
(ここなら穏やかに暮らせそうだわ。荷物を置いたらすぐ邸の近くの湖に行こうかな・・・。)
私はこれからの生活に胸を躍らせた。
オブライト公爵side
「あなた、どうやらルパートは例の男爵令嬢に本気のようね。」
そう言ったのは妻であるヴィオラだ。
「そうだな、あの阿婆擦れの言葉を信じ、実の妹を断罪するとは・・・情けない・・・。」
ヴィオラがそっと私に寄り添った。
「・・・ヴィオラ。二人はいつから仲が悪くなったんだ?学園に入学する前は仲が良かったと思うのだが・・・。」
「・・・私にもわからないわ。阿婆擦れがルパートに何かを吹き込んだのではないかしら?リリーシャを貶めるような。だとしてもそれを信じたルパートもルパートだけれど。」
「あいつは今までリリーシャの何を見てきたんだ・・・。」
私は頭を抱えた。
それを聞いたヴィオラが私に尋ねた。
「あなた、ルパートをどうするつもり?いくらなんでもこのままでは・・・。」
ヴィオラの言葉に私は本気で悩んだ。
オブライト公爵家の男児はルパート一人。
女児が爵位を継ぐのは不可能ではないが・・・前例がない。
「・・・一度あいつと話をしてみる。更生が不可能なようなら・・・
―廃嫡する。」
その言葉にヴィオラは反論しなかった。
「・・・それが良いでしょうね。」
「あぁ、廃嫡したらどこかの家に婿入りさせるつもりだ。もちろんあの男爵令嬢との結婚は認めない。」
私の決断にヴィオラは納得したのか軽く頷いた。
――――――――――――――――――――――――――――
次回から学園に戻り、皆さんお待ちかねのざまぁ回です!
ざまぁ対象が5人もいるのでかなり長くなるかと思われます・・・。
331
あなたにおすすめの小説
【完結済み】妹の婚約者に、恋をした
鈴蘭
恋愛
妹を溺愛する母親と、仕事ばかりしている父親。
刺繍やレース編みが好きなマーガレットは、両親にプレゼントしようとするが、何時も妹に横取りされてしまう。
可愛がって貰えず、愛情に飢えていたマーガレットは、気遣ってくれた妹の婚約者に恋をしてしまった。
無事完結しました。
【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
【完結】婚約破棄された私が惨めだと笑われている?馬鹿にされているのは本当に私ですか?
なか
恋愛
「俺は愛する人を見つけた、だからお前とは婚約破棄する!」
ソフィア・クラリスの婚約者である
デイモンドが大勢の貴族達の前で宣言すると
周囲の雰囲気は大笑いに包まれた
彼を賞賛する声と共に
「みろ、お前の惨めな姿を馬鹿にされているぞ!!」
周囲の反応に喜んだデイモンドだったが
対するソフィアは彼に1つだけ忠告をした
「あなたはもう少し考えて人の話を聞くべきだと思います」
彼女の言葉の意味を
彼はその時は分からないままであった
お気に入りして頂けると嬉しいです
何より読んでくださる事に感謝を!
婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!
パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。
残念ながら、定員オーバーです!お望みなら、次期王妃の座を明け渡しますので、お好きにしてください
mios
恋愛
ここのところ、婚約者の第一王子に付き纏われている。
「ベアトリス、頼む!このとーりだ!」
大袈裟に頭を下げて、どうにか我儘を通そうとなさいますが、何度も言いますが、無理です!
男爵令嬢を側妃にすることはできません。愛妾もすでに埋まってますのよ。
どこに、捻じ込めると言うのですか!
※番外編少し長くなりそうなので、また別作品としてあげることにしました。読んでいただきありがとうございました。
〖完結〗役立たずの聖女なので、あなた達を救うつもりはありません。
藍川みいな
恋愛
ある日私は、銀貨一枚でスコフィールド伯爵に買われた。母は私を、喜んで売り飛ばした。
伯爵は私を養子にし、仕えている公爵のご子息の治療をするように命じた。私には不思議な力があり、それは聖女の力だった。
セイバン公爵家のご子息であるオルガ様は、魔物に負わされた傷がもとでずっと寝たきり。
そんなオルガ様の傷の治療をしたことで、セイバン公爵に息子と結婚して欲しいと言われ、私は婚約者となったのだが……オルガ様は、他の令嬢に心を奪われ、婚約破棄をされてしまった。彼の傷は、完治していないのに……
婚約破棄をされた私は、役立たずだと言われ、スコフィールド伯爵に邸を追い出される。
そんな私を、必要だと言ってくれる方に出会い、聖女の力がどんどん強くなって行く。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる