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お先真っ暗 フレッドside
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「クソッ!私を誰だと思ってるんだ!」
私は外にいる騎士に向かって怒鳴りつけた。
舞踏会の後、私は父上の命令で会場から連れ出され、自室に軟禁されていた。
部屋から出ようと思っても扉の前には騎士がいて出られない。あいつらは私の言うことをまるで聞かず、ただただ私が勝手な行動をしないように見張っている。
(クソッ!クソッ!何故こうなったんだ!)
私は自室で苛立ちを募らせた。
何故王太子である私がこのような仕打ちを受けなければいけないのか分からなかった。それに何故父上がリリーシャとレナルドに頭を下げたのかも。王は誰かに謝罪などしてはいけないのではなかったか。どうしても理解出来なかった。
(それよりララが心配だな・・・私がいなくて寂しがっていないだろうか・・・もしかして泣いてるんじゃ・・・)
ララは私と共に会場から連れ出されたが、彼女は私とは全く別の場所へ連れて行かれた。ララが連れて行かれた場所については私も教えてもらえなかった。
騎士たちに酷いことをされていないか、彼女のことが不安でたまらなかった。ララは私の愛する人だ。
(もし彼女に何かあったら全員処刑してやる・・・!)
私はそう心に誓い、一旦彼女のことを考えるのをやめた。今はそんなことを考えている場合ではない。
そのときの私の頭の中に浮かんできたのは二人の人物だ。
一人は私の元婚約者であるリリーシャ。
そしてもう一人はそのリリーシャの隣にいた隣国の第二王子レナルド。
「・・・」
彼らのことを考えると怒りで我を忘れそうになった。
当然だ。私はあの二人に恥をかかされたのだから。私やララが会場から連れ出されたのもあの二人のせいだ。
(いつか絶対復讐してやる・・・)
それにしても知らなかった。まさかリリーシャとレナルドがそういう関係だったなんて。レナルドがリリーシャを見る目は信じられないくらい優しく、リリーシャも熱のこもった目でレナルドを後ろから見つめていた。
その光景を見て腹が立った。
自分の知らない間に二人は恋愛関係になっていたのだ。
(まさか、私と婚約していた頃から関係があったのか・・・?)
どちらにせよ、あいつらだけが幸せになるだなんて認めない。
今はこんなことになっているが、どのみちすぐに解放されるだろう。私はそう思いながらニヤリと笑みを浮かべた。何故なら現在この国で王子と呼べるのは私だけだからだ。私は父上の唯一の後継者だった。だからこそ、父上は絶対に私を罰せない。
(あぁ、ここから出たらまずはリリーシャを痛い目に遭わせよう!レナルドはその後でいい・・・)
そんなことを考えていたそのとき、突然固く閉ざされていた部屋の扉が開いた。
「―殿下、国王陛下がお呼びです」
外から顔を出したのは一人の騎士だった。
「!」
どうやら父上が私を呼び出したようだ。どうせ私は廃嫡にはならない。罰といっても謹慎程度だろう。
私は余裕たっぷりの笑みを浮かべて父上の元へと向かった。
◇◆◇◆◇◆
「―お前の王子の身分を剥奪する」
「はい?」
「お前を王子としての身分を剥奪し、平民とする」
「・・・・・・・・・ええっ!?」
執務室にいた父から告げられたのは衝撃的なことだった。
(わ、私が平民になる?嘘だろう・・・?)
もちろん私は父上に反論した。
「父上!この国の王子は私だけです!そんな私を廃嫡にするおつもりですか!」
「ああ」
必死の形相で訴えたのにもかかわらず、父から返ってきたのはその一言だけだった。
「わ、私が廃嫡になったら誰がこの国を継ぐんですか・・・」
「心配いらない。王位継承権を持つ者は他にもいる」
「し、しかし父上の嫡子である私が最も王位を継ぐに適しているのではありませんか?」
「あれほどのことをしておいて今さら何を言っているんだ・・・」
父上は呆れたようにハァとため息をついた。
「考え直してください、父上!」
「これはもう決まったことだ」
「そ、そんな・・・!」
父は私にそれだけ告げると部屋から追い払うかのように出て行けと言った。
―平民として暮らす
想像するだけで狂いそうだった。それと同時に、目の前が真っ暗になる感覚に襲われた。
(私の人生、これからどうなるんだ―!?)
私は外にいる騎士に向かって怒鳴りつけた。
舞踏会の後、私は父上の命令で会場から連れ出され、自室に軟禁されていた。
部屋から出ようと思っても扉の前には騎士がいて出られない。あいつらは私の言うことをまるで聞かず、ただただ私が勝手な行動をしないように見張っている。
(クソッ!クソッ!何故こうなったんだ!)
私は自室で苛立ちを募らせた。
何故王太子である私がこのような仕打ちを受けなければいけないのか分からなかった。それに何故父上がリリーシャとレナルドに頭を下げたのかも。王は誰かに謝罪などしてはいけないのではなかったか。どうしても理解出来なかった。
(それよりララが心配だな・・・私がいなくて寂しがっていないだろうか・・・もしかして泣いてるんじゃ・・・)
ララは私と共に会場から連れ出されたが、彼女は私とは全く別の場所へ連れて行かれた。ララが連れて行かれた場所については私も教えてもらえなかった。
騎士たちに酷いことをされていないか、彼女のことが不安でたまらなかった。ララは私の愛する人だ。
(もし彼女に何かあったら全員処刑してやる・・・!)
私はそう心に誓い、一旦彼女のことを考えるのをやめた。今はそんなことを考えている場合ではない。
そのときの私の頭の中に浮かんできたのは二人の人物だ。
一人は私の元婚約者であるリリーシャ。
そしてもう一人はそのリリーシャの隣にいた隣国の第二王子レナルド。
「・・・」
彼らのことを考えると怒りで我を忘れそうになった。
当然だ。私はあの二人に恥をかかされたのだから。私やララが会場から連れ出されたのもあの二人のせいだ。
(いつか絶対復讐してやる・・・)
それにしても知らなかった。まさかリリーシャとレナルドがそういう関係だったなんて。レナルドがリリーシャを見る目は信じられないくらい優しく、リリーシャも熱のこもった目でレナルドを後ろから見つめていた。
その光景を見て腹が立った。
自分の知らない間に二人は恋愛関係になっていたのだ。
(まさか、私と婚約していた頃から関係があったのか・・・?)
どちらにせよ、あいつらだけが幸せになるだなんて認めない。
今はこんなことになっているが、どのみちすぐに解放されるだろう。私はそう思いながらニヤリと笑みを浮かべた。何故なら現在この国で王子と呼べるのは私だけだからだ。私は父上の唯一の後継者だった。だからこそ、父上は絶対に私を罰せない。
(あぁ、ここから出たらまずはリリーシャを痛い目に遭わせよう!レナルドはその後でいい・・・)
そんなことを考えていたそのとき、突然固く閉ざされていた部屋の扉が開いた。
「―殿下、国王陛下がお呼びです」
外から顔を出したのは一人の騎士だった。
「!」
どうやら父上が私を呼び出したようだ。どうせ私は廃嫡にはならない。罰といっても謹慎程度だろう。
私は余裕たっぷりの笑みを浮かべて父上の元へと向かった。
◇◆◇◆◇◆
「―お前の王子の身分を剥奪する」
「はい?」
「お前を王子としての身分を剥奪し、平民とする」
「・・・・・・・・・ええっ!?」
執務室にいた父から告げられたのは衝撃的なことだった。
(わ、私が平民になる?嘘だろう・・・?)
もちろん私は父上に反論した。
「父上!この国の王子は私だけです!そんな私を廃嫡にするおつもりですか!」
「ああ」
必死の形相で訴えたのにもかかわらず、父から返ってきたのはその一言だけだった。
「わ、私が廃嫡になったら誰がこの国を継ぐんですか・・・」
「心配いらない。王位継承権を持つ者は他にもいる」
「し、しかし父上の嫡子である私が最も王位を継ぐに適しているのではありませんか?」
「あれほどのことをしておいて今さら何を言っているんだ・・・」
父上は呆れたようにハァとため息をついた。
「考え直してください、父上!」
「これはもう決まったことだ」
「そ、そんな・・・!」
父は私にそれだけ告げると部屋から追い払うかのように出て行けと言った。
―平民として暮らす
想像するだけで狂いそうだった。それと同時に、目の前が真っ暗になる感覚に襲われた。
(私の人生、これからどうなるんだ―!?)
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