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地下牢 フレッドside
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その夜。
私は部屋でフードを深くかぶり、ある準備をしていた。
(これをこうしてっと・・・)
私は自室で一人部屋に備え付けられている重い本棚を力いっぱい押していた。なかなか動かなくて手が真っ赤になったが、それでも愛しいララのことを想えば頑張れた。
そしてしばらくして棚の後ろに隠された扉が出現した。
そう、代々王太子が使ってきた私の部屋には隣の部屋に続く隠し扉がある。
どうやら王太子の身に何かあったときの逃げ道としてこんな風に作られているらしい。これは幼い頃に父上から教えてもらったことだ。
最初にこのことを思い出したときは勝ったと思った。これでララを助けに行けると。
騎士たちはもちろんこの扉の存在を知らない。きっと今頃私が部屋で大人しくしていると思い込んでいるだろう。
私は音を最小限に抑えてその扉を開けた。
(・・・部屋から出れたぞ!)
隣の部屋は今は使われていないのでもちろん誰もいない。つまり私は脱獄に成功したのだ。
(やった!やったぞ!)
私は心の中でガッツポーズをした。平民にすると言われたときはどうなることかと思ったが、どうやら神は私を見捨てないでいてくれたようだ。今までもそうだったが、本当に人生イージーモードだなと思った。
(・・・おっと、今はこんなことをしている場合じゃないな。一刻も早く地下牢へ行かなければ!)
私はそのまますぐに部屋から出て地下牢へと向かった。
もちろん目的はララを救いに行くことだ。むしろそれしか頭になかった。
私は生まれてからずっと王宮に住んでいるため、王宮の警備が最も手薄になる時間を把握していた。
そのため、誰とも出会わずに地下牢まで行くことが出来た。
地下の扉を開け、私は中へと入った。
(・・・相変わらず汚い場所だな)
本当は足を踏み入れることすらためらうほどの場所だ。しかし私にはララを見捨てることなど到底出来なかった。
そして私は地下牢の中でララを探した。
(一体どこにいるんだ?)
そう思いながら地下牢の中を歩いていたそのときだった―
「イヤーーーーーーー!!!」
「!?」
突然のことだった。
女の甲高い叫び声が耳に響いた。
(ウッ・・・!何だこの声は・・・!)
耳が壊れそうなほどの大声。一体どんなやつがこんな声を出しているんだ。
それからすぐ、声が聞こえた方からドタドタと足音がした。
「!」
私はすぐに物陰に身を潜めた。
歩いてきたのは二人の兵士だった。
「さっきから大声ばっかり出しやがって。うるさすぎるだろ、あの女!」
「ハァー・・・何で俺たちがあの女の監視なんてしないといけないんだか・・・ちょっと休憩しに行こうぜ」
そんなことを話しながら二人は地下牢の外へと向かった。
「・・・!」
その光景を見た私はすぐに物陰から飛び出た。
これはチャンスかもしれない。あの二人が外へ出たということはおそらく今地下牢に見張りはいないだろう。
私はそう思ってすぐにララを探しに行った。
「ララ!どこにいるんだ!?」
「キャーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「ウッ!」
私は地下牢の中でララを探し回った。頻繁に鳴り響く女の声に気分が悪くなりながらも最愛の女を探し続けた。
(・・・クソッ!何故こんなに見つからないんだ!)
しかしなかなか彼女を見つけることが出来なかった。
(他に行っていない場所は・・・)
「イヤーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「・・・」
私は声のする方向を見て顔をしかめた。
(クソッ!行くしかないか・・・)
本当は行きたくなかったが、それでもララのためを思って私は声のする方へと走り出した。
「うっ・・・」
一歩一歩近付くたびに大きくなる声に、不快感を覚える。
しばらくして、その女が収監されている牢の前に差し掛かった。
(一体どんな女がこんな声を出してるんだ・・・)
そう思い、その声の主を一目見てやろうと思って牢屋の中に目を向けた。
「・・・・・・・・・・・え」
そのとき私が見たのは、この国では珍しいピンク髪だった。
私は部屋でフードを深くかぶり、ある準備をしていた。
(これをこうしてっと・・・)
私は自室で一人部屋に備え付けられている重い本棚を力いっぱい押していた。なかなか動かなくて手が真っ赤になったが、それでも愛しいララのことを想えば頑張れた。
そしてしばらくして棚の後ろに隠された扉が出現した。
そう、代々王太子が使ってきた私の部屋には隣の部屋に続く隠し扉がある。
どうやら王太子の身に何かあったときの逃げ道としてこんな風に作られているらしい。これは幼い頃に父上から教えてもらったことだ。
最初にこのことを思い出したときは勝ったと思った。これでララを助けに行けると。
騎士たちはもちろんこの扉の存在を知らない。きっと今頃私が部屋で大人しくしていると思い込んでいるだろう。
私は音を最小限に抑えてその扉を開けた。
(・・・部屋から出れたぞ!)
隣の部屋は今は使われていないのでもちろん誰もいない。つまり私は脱獄に成功したのだ。
(やった!やったぞ!)
私は心の中でガッツポーズをした。平民にすると言われたときはどうなることかと思ったが、どうやら神は私を見捨てないでいてくれたようだ。今までもそうだったが、本当に人生イージーモードだなと思った。
(・・・おっと、今はこんなことをしている場合じゃないな。一刻も早く地下牢へ行かなければ!)
私はそのまますぐに部屋から出て地下牢へと向かった。
もちろん目的はララを救いに行くことだ。むしろそれしか頭になかった。
私は生まれてからずっと王宮に住んでいるため、王宮の警備が最も手薄になる時間を把握していた。
そのため、誰とも出会わずに地下牢まで行くことが出来た。
地下の扉を開け、私は中へと入った。
(・・・相変わらず汚い場所だな)
本当は足を踏み入れることすらためらうほどの場所だ。しかし私にはララを見捨てることなど到底出来なかった。
そして私は地下牢の中でララを探した。
(一体どこにいるんだ?)
そう思いながら地下牢の中を歩いていたそのときだった―
「イヤーーーーーーー!!!」
「!?」
突然のことだった。
女の甲高い叫び声が耳に響いた。
(ウッ・・・!何だこの声は・・・!)
耳が壊れそうなほどの大声。一体どんなやつがこんな声を出しているんだ。
それからすぐ、声が聞こえた方からドタドタと足音がした。
「!」
私はすぐに物陰に身を潜めた。
歩いてきたのは二人の兵士だった。
「さっきから大声ばっかり出しやがって。うるさすぎるだろ、あの女!」
「ハァー・・・何で俺たちがあの女の監視なんてしないといけないんだか・・・ちょっと休憩しに行こうぜ」
そんなことを話しながら二人は地下牢の外へと向かった。
「・・・!」
その光景を見た私はすぐに物陰から飛び出た。
これはチャンスかもしれない。あの二人が外へ出たということはおそらく今地下牢に見張りはいないだろう。
私はそう思ってすぐにララを探しに行った。
「ララ!どこにいるんだ!?」
「キャーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「ウッ!」
私は地下牢の中でララを探し回った。頻繁に鳴り響く女の声に気分が悪くなりながらも最愛の女を探し続けた。
(・・・クソッ!何故こんなに見つからないんだ!)
しかしなかなか彼女を見つけることが出来なかった。
(他に行っていない場所は・・・)
「イヤーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「・・・」
私は声のする方向を見て顔をしかめた。
(クソッ!行くしかないか・・・)
本当は行きたくなかったが、それでもララのためを思って私は声のする方へと走り出した。
「うっ・・・」
一歩一歩近付くたびに大きくなる声に、不快感を覚える。
しばらくして、その女が収監されている牢の前に差し掛かった。
(一体どんな女がこんな声を出してるんだ・・・)
そう思い、その声の主を一目見てやろうと思って牢屋の中に目を向けた。
「・・・・・・・・・・・え」
そのとき私が見たのは、この国では珍しいピンク髪だった。
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