虐げられた新妻は義理の家族への復讐を決意する

ましゅぺちーの

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9 絶望

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「ウィ、ウィルベルト……何故お前がここに……!」
「……」


彼は冷たい目で私たちをじっと見つめていた。


「旦那様……!」
「こ、これは違う……ただの事故だ!」


突然息子が登場して焦った義父は、ソファに寝転ぶ私を置いてそそくさと部屋を出て行った。
義父が去り、部屋の中には私とウィルベルトの二人だけになった。


(た、助けてくれたのかしら……?)


彼に助けられるとは思わなかった。
ひとまず助けられたことに対する礼を言わなければ。
ゆっくりとソファから起き上がり、彼に近付いて声をかけた。


「あ、あの……助けてくださってありがとうございま……」
「――父上を誘惑するとは、何て下品な女なんだ」
「………………え?」


返ってきたのは冷たい声と蔑みの眼差しだった。
ウィルベルトはどうやら私から誘ったのだと勘違いしているようだ。


(私がお義父様を誘惑しただなんて……そんなの誤解よ……)


このままではいけないと思った私は慌てて口を開いた。


「ちょっと待ってください……私は誘惑だなんて……」
「私からの愛を得られないからと、父上を狙ったのか?それともあの忌まわしいお前の父親に言われてやったのか?」
「だ、旦那様……!」
「汚い手で触るな!!!」
「キャアッ!!!」


ウィルベルトは縋りつくように彼の腕に触れた私を強く突き飛ばした。
彼に押されて後ろに倒れた私は床に尻もちをついた。


「ウッ……」


当然、彼が手を差し伸べてくれるわけなどなく、ただただ凍え切った目で私を見下ろしていた。


「権力を使って私たちを引き裂いておきながら、父上まで狙うとは!!!」
「で、ですからそれは誤解……」
「黙れ!!!私がお前を愛することなど絶対に無い!お前のせいでオーレリアがどれだけ悲しんだか……」


彼の言うオーレリアというのは私と結婚する直前まで交際していた元恋人のことだ。
男爵家の令嬢で、ウィルベルトと愛し合っていたが、身分が低いがゆえに彼と結婚出来なかった女性。
彼女もまたこの結婚の被害者ではあるが、何故私がそのように言われなければならないのか。


「ここで生き残りたければ私からの愛など求めるな。お前では絶対にオーレリアの代わりになどなれない」
「……」


突き飛ばされた拍子に打ち付けた箇所がズキズキと痛む。
私が怪我をしていることなど彼は気にも留めていないのだろう。


これ以上は何を言っても無駄かもしれない。
そう考えた私はじっと黙り込んで夫からの罵声を受け止めた。


「これだけ言っても何の反応も無いとは……やはりあのオーブリー伯爵の娘だな」
「……」


彼は再び軽蔑した目で私を見ると、近くにあった扉から部屋を出て行った。


「……」


一人になった私は、痛む体をそっと起こした。
あまりの仕打ちに涙が溢れてきそうになったが、ぐっと堪えた。



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