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10 稀代の悪女
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「奥様よ……」
「大旦那様を誘惑しようとしたらしいわ」
「いくら旦那様からの寵愛を得られないからとはいえ、大旦那様を誑かすだなんて……」
「とんでもない女ね」
翌日の朝。
どこから広まったのか、私が義父を誘惑しようとしたという噂が邸宅に流れていた。
愛し合う恋人を引き裂き、体を使って義理の父親を誘惑した。
それが今の公爵邸での私の評判だった。
そんな女に対し、使用人たちは口をそろえてこう言った。
――「まさに、稀代の悪女だわ」
「……」
気付けばそんな異名が付けられていた。
しかし、使用人たちからの評価など私にとってはどうだっていい。
一番面倒なのは義父の妻である義母だ。
「ちょっと貴方!!!」
「お義母様……!」
早朝、突然ノックもせずに部屋へ入って来たかと思うと顔を真っ赤にして私を怒鳴り付けた。
「よくも私の夫を誑かしてくれたわね!!!」
「お義母様、それは誤解です。私は……」
「お黙り!!!」
「キャアッ!!!」
夫人が投げつけた扇子が額に当たり、切れた箇所から血が流れた。
「ウィルベルトと結婚しておきながら私の夫に手を出そうとするだなんて!」
「お義母様……」
人の話を聞かないところは息子であるウィルベルトとそっくりだ。
自分の夫が不貞を働こうとしたのだからこうなるのも仕方が無いことだろう。
しかし、それを全て私のせいにするのは間違っている。
そもそも手を出そうとしたのは私ではなく義父のほうだ。
夫人は床に落ちた扇子を拾い上げると、何度も何度も私の体を叩いた。
「この売春婦!!!」
「キャアッ!お義母様、やめてください!」
頭を手で守り、何とかその攻撃を受け止める。
まだ昨日ぶつけたときの傷すら癒えていない。
「いい?今度あの人を狙うだなんてそんな真似したらただでは済まさないわよ!」
「……」
暴力を振るったことでようやく落ち着きを取り戻したのか、夫人はハァハァと息を切らしながらそう言った。
しかし、それだけでは終わらなかった。
夫人は去り際に私の部屋を荒らすように使用人たちに命じた。
痛みで動けなかった私は、ただただその様を見ていることしか出来なかった。
彼らが大暴れしたせいで部屋にあった物は全て壊れ、凄惨な状態となった。
当然、彼らが私の部屋を掃除などするはずが無い。
「い、痛い……」
夫人と使用人たちが全員出て行った後にようやく立ち上がった。
何度も叩かれたせいで全身がズキズキと痛む。
しかし、それを気に留める人間など誰もいない。
(掃除から始めよう……)
痛む体を強引に動かし、部屋の掃除を開始した。
「大旦那様を誘惑しようとしたらしいわ」
「いくら旦那様からの寵愛を得られないからとはいえ、大旦那様を誑かすだなんて……」
「とんでもない女ね」
翌日の朝。
どこから広まったのか、私が義父を誘惑しようとしたという噂が邸宅に流れていた。
愛し合う恋人を引き裂き、体を使って義理の父親を誘惑した。
それが今の公爵邸での私の評判だった。
そんな女に対し、使用人たちは口をそろえてこう言った。
――「まさに、稀代の悪女だわ」
「……」
気付けばそんな異名が付けられていた。
しかし、使用人たちからの評価など私にとってはどうだっていい。
一番面倒なのは義父の妻である義母だ。
「ちょっと貴方!!!」
「お義母様……!」
早朝、突然ノックもせずに部屋へ入って来たかと思うと顔を真っ赤にして私を怒鳴り付けた。
「よくも私の夫を誑かしてくれたわね!!!」
「お義母様、それは誤解です。私は……」
「お黙り!!!」
「キャアッ!!!」
夫人が投げつけた扇子が額に当たり、切れた箇所から血が流れた。
「ウィルベルトと結婚しておきながら私の夫に手を出そうとするだなんて!」
「お義母様……」
人の話を聞かないところは息子であるウィルベルトとそっくりだ。
自分の夫が不貞を働こうとしたのだからこうなるのも仕方が無いことだろう。
しかし、それを全て私のせいにするのは間違っている。
そもそも手を出そうとしたのは私ではなく義父のほうだ。
夫人は床に落ちた扇子を拾い上げると、何度も何度も私の体を叩いた。
「この売春婦!!!」
「キャアッ!お義母様、やめてください!」
頭を手で守り、何とかその攻撃を受け止める。
まだ昨日ぶつけたときの傷すら癒えていない。
「いい?今度あの人を狙うだなんてそんな真似したらただでは済まさないわよ!」
「……」
暴力を振るったことでようやく落ち着きを取り戻したのか、夫人はハァハァと息を切らしながらそう言った。
しかし、それだけでは終わらなかった。
夫人は去り際に私の部屋を荒らすように使用人たちに命じた。
痛みで動けなかった私は、ただただその様を見ていることしか出来なかった。
彼らが大暴れしたせいで部屋にあった物は全て壊れ、凄惨な状態となった。
当然、彼らが私の部屋を掃除などするはずが無い。
「い、痛い……」
夫人と使用人たちが全員出て行った後にようやく立ち上がった。
何度も叩かれたせいで全身がズキズキと痛む。
しかし、それを気に留める人間など誰もいない。
(掃除から始めよう……)
痛む体を強引に動かし、部屋の掃除を開始した。
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