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13 姉弟
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「お、お待ちください……!」
「……何だ?」
早足で歩く後ろ姿に声をかけると、ダリルが立ち止まって振り返った。
声に反応した彼がじっと私を見つめた。
その真っ赤な瞳は異様なほどに恐ろしく、美しい。
緊張と恐怖から足がすくむが、何とか抑えた。
「初めまして……リーゼ・ブリントンです」
「……最近結婚したっていう兄上の嫁か」
ダリルが合点がいったというようにポツリと呟いた。
長い間戦場にいても兄が結婚したということは耳に入っていたようだ。
どうやら全く家のことに興味が無いというわけではないらしい。
「はい、先ほどはご挨拶出来なかったので……」
「わざわざ俺に挨拶する必要は無い」
「それは一体どういう……」
疑問に思って尋ねると、彼がフッと笑った。
「さっきの見てなかったのか?」
「……」
(さっきのお義父様や旦那様の態度……)
事情はよく分からないが、彼が家族から疎まれているということは間違いなさそうだ。
そして使用人たちから異常なほどに恐れられているということ。
それは単にその赤い瞳だけが理由では無いように思える。
(お義母様を殺そうとしたとか言っていたけれど……何かの勘違いでは無いのかしら)
たしかに優しい人のようには見えないが、冷酷無慈悲な人とも思えなかった。
彼は黙り込んだ私を面白そうにまじまじと見つめた。
「お前も可哀相だな。恋人のいた相手に嫁ぐことになるだなんて」
「いえ、一番の被害者は公爵様と元恋人のオーレリア様ですから」
そう言うと、彼は目を丸くした。
意外な発言だっただろうか。
しばらくして、小さな声でボソッと呟いた。
「……俺はハッキリ言ってあの女が公爵夫人にならなくて良かったと思ってる」
「……?どういう意味ですか……?」
「いや、何でもない」
ダリルが顔を背けた。
これ以上は聞いたところで答えてはくれなさそうだ。
「すぐ戦場に戻られるのですか?」
「いや、しばらくはここにいるつもりだ。兄上も結婚したばかりだし、公爵家の行事もあるからな」
あの戦闘狂のダリル・ブリントンが公式行事に参加するだなんて。
(そういうのには出席するのね……)
公爵家の一員だという自覚はきちんとあるらしい。
思っていたよりもずっとまともそうな人で安心した。
「俺が突然帰って来て驚いたか?」
「あ、いえ……」
「言いたいことがあれば言え。この家での俺の立場は低いから気にすることはない」
「ダリル様……」
笑いながらそう言ったが、その瞳はどこか悲しそうだった。
何だか自分と置かれている境遇が少しだけ似ているような気がする。
(彼が抱えている事情はともかく、義弟になるお方だもの……出来るだけ良い関係を築いていきたいわ)
「これからよろしくお願いします、ダリル様」
「ああ、そうだな。――義姉上」
彼の差し出した手をギュッと握り、私たちは握手を交わした。
(ダリル・ブリントン……何だか不思議な人ね……)
何故かは分からないが、彼となら仲良くなれそうな気がする。
「……何だ?」
早足で歩く後ろ姿に声をかけると、ダリルが立ち止まって振り返った。
声に反応した彼がじっと私を見つめた。
その真っ赤な瞳は異様なほどに恐ろしく、美しい。
緊張と恐怖から足がすくむが、何とか抑えた。
「初めまして……リーゼ・ブリントンです」
「……最近結婚したっていう兄上の嫁か」
ダリルが合点がいったというようにポツリと呟いた。
長い間戦場にいても兄が結婚したということは耳に入っていたようだ。
どうやら全く家のことに興味が無いというわけではないらしい。
「はい、先ほどはご挨拶出来なかったので……」
「わざわざ俺に挨拶する必要は無い」
「それは一体どういう……」
疑問に思って尋ねると、彼がフッと笑った。
「さっきの見てなかったのか?」
「……」
(さっきのお義父様や旦那様の態度……)
事情はよく分からないが、彼が家族から疎まれているということは間違いなさそうだ。
そして使用人たちから異常なほどに恐れられているということ。
それは単にその赤い瞳だけが理由では無いように思える。
(お義母様を殺そうとしたとか言っていたけれど……何かの勘違いでは無いのかしら)
たしかに優しい人のようには見えないが、冷酷無慈悲な人とも思えなかった。
彼は黙り込んだ私を面白そうにまじまじと見つめた。
「お前も可哀相だな。恋人のいた相手に嫁ぐことになるだなんて」
「いえ、一番の被害者は公爵様と元恋人のオーレリア様ですから」
そう言うと、彼は目を丸くした。
意外な発言だっただろうか。
しばらくして、小さな声でボソッと呟いた。
「……俺はハッキリ言ってあの女が公爵夫人にならなくて良かったと思ってる」
「……?どういう意味ですか……?」
「いや、何でもない」
ダリルが顔を背けた。
これ以上は聞いたところで答えてはくれなさそうだ。
「すぐ戦場に戻られるのですか?」
「いや、しばらくはここにいるつもりだ。兄上も結婚したばかりだし、公爵家の行事もあるからな」
あの戦闘狂のダリル・ブリントンが公式行事に参加するだなんて。
(そういうのには出席するのね……)
公爵家の一員だという自覚はきちんとあるらしい。
思っていたよりもずっとまともそうな人で安心した。
「俺が突然帰って来て驚いたか?」
「あ、いえ……」
「言いたいことがあれば言え。この家での俺の立場は低いから気にすることはない」
「ダリル様……」
笑いながらそう言ったが、その瞳はどこか悲しそうだった。
何だか自分と置かれている境遇が少しだけ似ているような気がする。
(彼が抱えている事情はともかく、義弟になるお方だもの……出来るだけ良い関係を築いていきたいわ)
「これからよろしくお願いします、ダリル様」
「ああ、そうだな。――義姉上」
彼の差し出した手をギュッと握り、私たちは握手を交わした。
(ダリル・ブリントン……何だか不思議な人ね……)
何故かは分からないが、彼となら仲良くなれそうな気がする。
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