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15 公爵家の闇
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(せっかく仲良くなれると思ったんだけどなぁ……)
夕食を終えて部屋に戻った私は、先ほど見たダリルの姿を思い浮かべた。
冷たい彼の対応に思わずへこんでしまう。
図々しいと嫌われてしまったのだろうか。
どれだけ考えてもダリルがあのような態度を取る理由が分からなかった。
それに彼は使用人たちを含む公爵家の人間たちと異常なほどに距離を置いているようだった。
(元々そういうタイプの人なのかしら……)
この公爵家でようやくまともな人に出会えたと思ったが、出会って早々遠ざけられてしまった。
彼ならもしかすると親しく出来るかもしれないと思っていたが、私の勘違いだったようだ。
「――でね」
自室で一人落ち込んでいると、部屋の外から使用人たちの会話が聞こえた。
内容が気になった私は、聞こえる位置まで移動してそっと聞き耳を立てた。
「ダリルお坊ちゃまが戦場から帰って来るだなんて……もうずっと帰らないものだと思っていたから驚いたわ。また早く家を出て行ってくれないかしら」
「まぁ、仕方ないわよ。公爵様が結婚したばかりなんだから行事にも出ないといけないでしょうし」
「あんな異端者でも公爵家の人間だものね」
(異端者……?どういう意味……?)
そんな私の疑問を代弁するかのように一人の若い使用人が尋ねた。
「異端者って一体どういうことですか?」
「ああ、アンタちょっと前に来たばっかりだから知らなかったのね」
ベテランの侍女がフフッと可笑しそうに笑った。
「――ダリル様はね、大旦那様の子供ではないのよ」
「!?」
彼女の口から放たれたのは衝撃的な内容だった。
(ダリル様がお義父様の子供ではないってどういうこと……?)
「あの赤い瞳、大旦那様とは似ても似つかないでしょう?だからダリル様は奥様の不貞で生まれたってこと」
「そんなこと言って大丈夫なんですか?誰かに聞かれでもしたら……」
「この屋敷にいる人間なら皆知ってることよ、貴方も頭に入れておきなさい」
「え、じゃあダリル様の本当の父親って……」
「さぁ、それは大奥様しか知らないことよ。本人に直接聞くわけにもいかないしね」
「どこの誰の種か分からない子供を自分の子として育てるだなんて……大旦那様は何を考えているのかしら」
「さぁ、政治の駒として利用するつもりだったのかもね」
会話をしながら使用人たちが去って行き、完全に声が聞こえなくなったところでようやく我に返った。
呆然としていた私の頭によぎったのは、今日彼に言われた言葉たちだった。
『わざわざ俺に挨拶する必要は無い』
『この家での俺の立場は低いから気にするな』
そう口にした彼は何かを諦めているようで、見ているこっちまで胸が苦しくなった。
さっきの話を聞いた今なら、その理由が何となく理解出来そうだ。
(もしかして……あれはそういう意味で……)
まだ噂に過ぎないが、この公爵家には何か深い闇があることは間違いないだろう。
悲しそうな彼の顔が、いつまで経っても頭から離れなかった。
夕食を終えて部屋に戻った私は、先ほど見たダリルの姿を思い浮かべた。
冷たい彼の対応に思わずへこんでしまう。
図々しいと嫌われてしまったのだろうか。
どれだけ考えてもダリルがあのような態度を取る理由が分からなかった。
それに彼は使用人たちを含む公爵家の人間たちと異常なほどに距離を置いているようだった。
(元々そういうタイプの人なのかしら……)
この公爵家でようやくまともな人に出会えたと思ったが、出会って早々遠ざけられてしまった。
彼ならもしかすると親しく出来るかもしれないと思っていたが、私の勘違いだったようだ。
「――でね」
自室で一人落ち込んでいると、部屋の外から使用人たちの会話が聞こえた。
内容が気になった私は、聞こえる位置まで移動してそっと聞き耳を立てた。
「ダリルお坊ちゃまが戦場から帰って来るだなんて……もうずっと帰らないものだと思っていたから驚いたわ。また早く家を出て行ってくれないかしら」
「まぁ、仕方ないわよ。公爵様が結婚したばかりなんだから行事にも出ないといけないでしょうし」
「あんな異端者でも公爵家の人間だものね」
(異端者……?どういう意味……?)
そんな私の疑問を代弁するかのように一人の若い使用人が尋ねた。
「異端者って一体どういうことですか?」
「ああ、アンタちょっと前に来たばっかりだから知らなかったのね」
ベテランの侍女がフフッと可笑しそうに笑った。
「――ダリル様はね、大旦那様の子供ではないのよ」
「!?」
彼女の口から放たれたのは衝撃的な内容だった。
(ダリル様がお義父様の子供ではないってどういうこと……?)
「あの赤い瞳、大旦那様とは似ても似つかないでしょう?だからダリル様は奥様の不貞で生まれたってこと」
「そんなこと言って大丈夫なんですか?誰かに聞かれでもしたら……」
「この屋敷にいる人間なら皆知ってることよ、貴方も頭に入れておきなさい」
「え、じゃあダリル様の本当の父親って……」
「さぁ、それは大奥様しか知らないことよ。本人に直接聞くわけにもいかないしね」
「どこの誰の種か分からない子供を自分の子として育てるだなんて……大旦那様は何を考えているのかしら」
「さぁ、政治の駒として利用するつもりだったのかもね」
会話をしながら使用人たちが去って行き、完全に声が聞こえなくなったところでようやく我に返った。
呆然としていた私の頭によぎったのは、今日彼に言われた言葉たちだった。
『わざわざ俺に挨拶する必要は無い』
『この家での俺の立場は低いから気にするな』
そう口にした彼は何かを諦めているようで、見ているこっちまで胸が苦しくなった。
さっきの話を聞いた今なら、その理由が何となく理解出来そうだ。
(もしかして……あれはそういう意味で……)
まだ噂に過ぎないが、この公爵家には何か深い闇があることは間違いないだろう。
悲しそうな彼の顔が、いつまで経っても頭から離れなかった。
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