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19 家族愛 ダリル視点
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「……」
義姉――リーゼが出て行った部屋で俺は一人じっと考え込んでいた。
(変な女だな……兄上とオーレリアのことを可哀相だなんて……)
ウィルベルト・ブリントン公爵と男爵令嬢オーレリアの身分違いの恋は有名だった。
他国の王女からも婚約の打診をされるほどのウィルベルトが何の力も無い男爵家の令嬢を選んだのだからそうなって当然だ。
真実の愛だと平民たちは憧れを抱き、ウィルベルトを密かに狙っていた高位貴族の令嬢はオーレリアを妬んだ。
一見誰もが憧れるシンデレラストーリーのように感じるが、現実はそう上手くはいかなかった。
血筋を重んじる両親はオーレリアとの結婚を断固反対した。
それでも二人はお互いを諦めきれず、長い間恋人関係を続けていた。
一人の女を想い続け、いつまでも身を固めようとしない両親はウィルベルトを強引に結婚させた。
その餌食になったのがリーゼだった。
オーレリア以外の高位貴族の令嬢なら誰だって良かったのだろう。
(愚かだな……両親も兄上もオーレリアも……)
世間から見たらあの二人も当然被害者なのだろうが、二人のことをよく知る俺からしたら到底そうは思えなかった。
特にオーレリアは昔から苦手だった。
俺が戦地へ行った理由も度々兄の恋人として公爵邸へ訪れるオーレリアに会いたくなかったからだった。
しかし、二人が関係を断絶した今ではもうその心配は無くなった。
これからは久々に家でゆっくり出来そうだ。
(母上は……いつもみたいに部屋に引きこもっているかな)
ブリントン公爵家の次男として生を受けた俺だが、両親に愛された記憶は無い。
幼い頃はそのことを不思議に思っていたし、愛されたいと努力したこともあった。
五つ上の兄は自分と違って両親から可愛がられていたから。
しかしある日、それがどれだけ願っても無駄であるということを知った。
『嫌ッ!!!来ないでッ!!!あっちに行って!!!』
血走った狂気的な瞳で自分を拒絶する母親。
まるで恐ろしいものを見ているかのような目だった。
『はは……うえ……?』
父と兄がそんな母に慌てて駆け寄った。
使用人たちも全員あたふたしている。
わけも分からず呆然としているのは自分だけだった。
あの日のことが今でも忘れられない。
その後母は体調を崩して数日間寝込むこととなった。
その日以降、愛されることを完全に諦めた。
父も兄も母と同じように俺を拒絶した。
同じ家に住む家族なのに、自分だけが蚊帳の外だった。
(…………まぁ、仕方無いよな。あの人だって辛かったんだ)
そう思いながら俺は部屋の隅に置かれている一枚の肖像画に目をやった。
そこには自分とよく似た赤い瞳の男が描かれていた。
義姉――リーゼが出て行った部屋で俺は一人じっと考え込んでいた。
(変な女だな……兄上とオーレリアのことを可哀相だなんて……)
ウィルベルト・ブリントン公爵と男爵令嬢オーレリアの身分違いの恋は有名だった。
他国の王女からも婚約の打診をされるほどのウィルベルトが何の力も無い男爵家の令嬢を選んだのだからそうなって当然だ。
真実の愛だと平民たちは憧れを抱き、ウィルベルトを密かに狙っていた高位貴族の令嬢はオーレリアを妬んだ。
一見誰もが憧れるシンデレラストーリーのように感じるが、現実はそう上手くはいかなかった。
血筋を重んじる両親はオーレリアとの結婚を断固反対した。
それでも二人はお互いを諦めきれず、長い間恋人関係を続けていた。
一人の女を想い続け、いつまでも身を固めようとしない両親はウィルベルトを強引に結婚させた。
その餌食になったのがリーゼだった。
オーレリア以外の高位貴族の令嬢なら誰だって良かったのだろう。
(愚かだな……両親も兄上もオーレリアも……)
世間から見たらあの二人も当然被害者なのだろうが、二人のことをよく知る俺からしたら到底そうは思えなかった。
特にオーレリアは昔から苦手だった。
俺が戦地へ行った理由も度々兄の恋人として公爵邸へ訪れるオーレリアに会いたくなかったからだった。
しかし、二人が関係を断絶した今ではもうその心配は無くなった。
これからは久々に家でゆっくり出来そうだ。
(母上は……いつもみたいに部屋に引きこもっているかな)
ブリントン公爵家の次男として生を受けた俺だが、両親に愛された記憶は無い。
幼い頃はそのことを不思議に思っていたし、愛されたいと努力したこともあった。
五つ上の兄は自分と違って両親から可愛がられていたから。
しかしある日、それがどれだけ願っても無駄であるということを知った。
『嫌ッ!!!来ないでッ!!!あっちに行って!!!』
血走った狂気的な瞳で自分を拒絶する母親。
まるで恐ろしいものを見ているかのような目だった。
『はは……うえ……?』
父と兄がそんな母に慌てて駆け寄った。
使用人たちも全員あたふたしている。
わけも分からず呆然としているのは自分だけだった。
あの日のことが今でも忘れられない。
その後母は体調を崩して数日間寝込むこととなった。
その日以降、愛されることを完全に諦めた。
父も兄も母と同じように俺を拒絶した。
同じ家に住む家族なのに、自分だけが蚊帳の外だった。
(…………まぁ、仕方無いよな。あの人だって辛かったんだ)
そう思いながら俺は部屋の隅に置かれている一枚の肖像画に目をやった。
そこには自分とよく似た赤い瞳の男が描かれていた。
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