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23 暴挙
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そんなこんなで、公爵邸へ来てから数ヶ月が経過した。
あの日から夫も義母も義父も何一つ変わっていない。
義母からは早く子供を作れと催促されることも多いが、ウィルベルトにその気が無いため懐妊の兆しはない。
当初はそれを恥ずべきことだと考えていた。
しかし、今ではむしろそうなって良かったとさえ思ってしまう。
――「あの女と子を成すくらいなら、娼婦との間に作った方がまだマシだ!!!」
ウィルベルトがそう口にしているのをたまたま聞いてしまったからである。
その瞬間、僅かに残っていた彼との関係を改善しようとする気持ちは完全に消え失せた。
愛は無くとも、彼からの信頼を得られたらと思っていた自分が馬鹿馬鹿しくなった。
どれだけ努力したところで不可能だったのだろう。
そんな人と夫婦の営みをすることなど出来るわけがないし、これからだってするつもりはない。
後継者が必要なら、彼が言った通り外でいくらでも作ってこればいいだけだ。
(私は一生貴方と夫婦になどならない)
――そう思っていたのに。
「……旦那様、どうしてこちらへいらっしゃったのですか」
「……」
夜、突然ウィルベルトが私の部屋を訪ねてきたのだ。
正面に座る彼は不機嫌そうにこちらを見ている。
真夜中に夫が妻の部屋を訪ねる理由など一つしかない。
(どうして来たの……?初夜は放置したくせに)
今になってのうのうとここへ来た彼への怒りがこみ上げてくる。
そんな私の気持ちに気付いていないのか、ウィルベルトがそっぽを向いてボソッと呟いた。
「……父上が早く後継者を作れと言っている」
「……」
それで渋々ここへ来たというのか。
父親に言われたことだから仕方がないと。
しかし、私には大人しく彼と夜を共にする気など毛頭ない。
「私と子を成すくらいなら外で作るとこの間おっしゃっていませんでしたか?」
「……あれは怒り任せに言ったことだ」
”別に本気でそう思って言ったわけではない”
まるで冗談だったとでもいうかのような彼のその言葉に、抑えていた怒りが溢れてしまいそうになった。
私があの一言でどれだけ傷付いたか。
結婚式にも現れず、初夜も放置されどんな気持ちだったか。
少なくとも、ここへ来てから幸せを感じたことなんて一度たりとも無かった。
「旦那様、お引き取りください」
「何だと?」
絶対的な拒絶に、彼が眉をひそめた。
「こちらからお断りですわ、貴方にだけは抱かれたくない」
「何……?」
拒否されるとは思っていなかったのか、ウィルベルトは目を丸くした。
当然だ、女性に言い寄られることは山ほどあれど拒絶されることは無かっただろうから。
「私が貴方にどれだけ傷付けられたか……何も分かっていらっしゃらないようです」
「何だと……?」
「部屋へお戻りください、貴方と夜を共にする気はありません」
「おい、どういう意味だ」
それでもまだ納得いかない様子の彼に、私はきっぱり告げた。
――「旦那様に抱かれるくらいなら死んだ方がマシですわ」
「なッ……」
その一言で彼はプライドを傷付けられたようで、顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。
「いい加減にしろ!」
「痛ッ!放して!」
激高したウィルベルトが私の腕を強く掴んだ。
必死で抵抗しようとするも、そのまま服を脱がされそうになる。
無礼な態度を取った私に対する報復のつもりなのだろうか。
強引に事を進めるようだ。
(嫌、この人にだけは絶対に……)
その瞬間、突然掴まれた手がパッと離れた。
「ウッ……!」
うめき声と共に目の前にいたウィルベルトがドサリと倒れ込んだ。
「――女を襲うとは、やはりどこまでも腐っているな」
静かな怒りを含んだ低い声が聞こえた。
顔を上げると、倒れた彼の代わりによく知った姿が目に入った。
「ダリル様……?」
あの日から夫も義母も義父も何一つ変わっていない。
義母からは早く子供を作れと催促されることも多いが、ウィルベルトにその気が無いため懐妊の兆しはない。
当初はそれを恥ずべきことだと考えていた。
しかし、今ではむしろそうなって良かったとさえ思ってしまう。
――「あの女と子を成すくらいなら、娼婦との間に作った方がまだマシだ!!!」
ウィルベルトがそう口にしているのをたまたま聞いてしまったからである。
その瞬間、僅かに残っていた彼との関係を改善しようとする気持ちは完全に消え失せた。
愛は無くとも、彼からの信頼を得られたらと思っていた自分が馬鹿馬鹿しくなった。
どれだけ努力したところで不可能だったのだろう。
そんな人と夫婦の営みをすることなど出来るわけがないし、これからだってするつもりはない。
後継者が必要なら、彼が言った通り外でいくらでも作ってこればいいだけだ。
(私は一生貴方と夫婦になどならない)
――そう思っていたのに。
「……旦那様、どうしてこちらへいらっしゃったのですか」
「……」
夜、突然ウィルベルトが私の部屋を訪ねてきたのだ。
正面に座る彼は不機嫌そうにこちらを見ている。
真夜中に夫が妻の部屋を訪ねる理由など一つしかない。
(どうして来たの……?初夜は放置したくせに)
今になってのうのうとここへ来た彼への怒りがこみ上げてくる。
そんな私の気持ちに気付いていないのか、ウィルベルトがそっぽを向いてボソッと呟いた。
「……父上が早く後継者を作れと言っている」
「……」
それで渋々ここへ来たというのか。
父親に言われたことだから仕方がないと。
しかし、私には大人しく彼と夜を共にする気など毛頭ない。
「私と子を成すくらいなら外で作るとこの間おっしゃっていませんでしたか?」
「……あれは怒り任せに言ったことだ」
”別に本気でそう思って言ったわけではない”
まるで冗談だったとでもいうかのような彼のその言葉に、抑えていた怒りが溢れてしまいそうになった。
私があの一言でどれだけ傷付いたか。
結婚式にも現れず、初夜も放置されどんな気持ちだったか。
少なくとも、ここへ来てから幸せを感じたことなんて一度たりとも無かった。
「旦那様、お引き取りください」
「何だと?」
絶対的な拒絶に、彼が眉をひそめた。
「こちらからお断りですわ、貴方にだけは抱かれたくない」
「何……?」
拒否されるとは思っていなかったのか、ウィルベルトは目を丸くした。
当然だ、女性に言い寄られることは山ほどあれど拒絶されることは無かっただろうから。
「私が貴方にどれだけ傷付けられたか……何も分かっていらっしゃらないようです」
「何だと……?」
「部屋へお戻りください、貴方と夜を共にする気はありません」
「おい、どういう意味だ」
それでもまだ納得いかない様子の彼に、私はきっぱり告げた。
――「旦那様に抱かれるくらいなら死んだ方がマシですわ」
「なッ……」
その一言で彼はプライドを傷付けられたようで、顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。
「いい加減にしろ!」
「痛ッ!放して!」
激高したウィルベルトが私の腕を強く掴んだ。
必死で抵抗しようとするも、そのまま服を脱がされそうになる。
無礼な態度を取った私に対する報復のつもりなのだろうか。
強引に事を進めるようだ。
(嫌、この人にだけは絶対に……)
その瞬間、突然掴まれた手がパッと離れた。
「ウッ……!」
うめき声と共に目の前にいたウィルベルトがドサリと倒れ込んだ。
「――女を襲うとは、やはりどこまでも腐っているな」
静かな怒りを含んだ低い声が聞こえた。
顔を上げると、倒れた彼の代わりによく知った姿が目に入った。
「ダリル様……?」
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