27 / 32
27 通じ合う
しおりを挟む
「このようなことを言われても迷惑なだけだということは分かっています……ですが……」
「……」
ダリルはじっと私の話を聞いていた。
「――この気持ちはもう、止められません」
「お前……」
彼を目の前にすると、余計に好きだという気持ちが溢れていく。
初めて出会った頃から彼には何度も助けられてきた。
「本気で言っているのか?俺はお前の夫の弟で、お前の義弟なんだぞ」
「――本気です」
そんなこと私だって分かっている。
「ダリル様のことを、本気で好きになってしまったんです」
「……」
彼は何も言わなかった。
兄の妻に好きだと告白されているのだ。
受け入れられないのは当然だろう。
「すみません……いきなりこんなこと言われても迷惑ですよね……」
何だか恥ずかしくなってしまい、ソファから立ち上がって部屋を出ようとしたそのとき――
「――リーゼ」
「……!?」
彼が私の手首を掴んだ。
驚いて彼の方を見ると、突然抱き締められた。
「ダ、ダリル様……!?」
「……」
顔が真っ赤になる。
夫のウィルベルトにも抱き締められたことなんて無い。
ダリルは私の髪を優しく撫でながら囁くように耳元で言った。
「――俺も、お前が好きだ」
「……!」
抱き締められているため顔は見えなかったが、声が少しだけ震えている。
「ダリル様……」
「さっき言っただろう、俺だってお前には何度も救われたんだ」
救われているのはむしろ私の方だ。
思えば彼は最初から優しい人だった。
他人と必要以上に関わらず、無愛想ではあったものの、他の人たちのように決して私を虐げるようなことはしなかった。
それだけではなく、陰口を叩かれている私を助けてくれた。
ダリルの告白は続く。
「だけどお前は兄上の妻で……好きになってはいけない人だと思っていた」
「……」
「叶わぬ思いだと……諦めていた」
そこで彼は体を離し、私の頬に手を添えた。
そして、ゆっくりと顔を近付ける。
「――ダリル様」
「……!」
お互いの唇が触れそうになったその瞬間、私は肩に手を置き、彼の体をそっと押し返した。
ダリルは一瞬だけ驚いたような顔をしたが、我に返ったようだった。
(私だってしたかったけれど……)
もちろん彼の気持ちは嬉しかった。
でもまだダメだ。
「今はまだ……いけません」
「……」
ダリルはショックを受けたような顔をしていたが、こればかりは仕方がない。
そして私は彼と気持ちが通じ合い、やっと決意が固まった。
「――ダリル様、私ウィルベルト様と離縁します」
「リーゼ……」
当然、離婚なんて簡単にできることではないだろう。
しかし私は彼を諦めることが出来ないし、このまま横暴なウィルベルトと夫婦関係を続けていく気も無い。
「ですからダリル様、これからは私と二人で生きていきましょう。もう一人にはさせません」
「……」
彼はしばらく悩む素振りを見せた後、ゆっくりと頷いた。
「……」
ダリルはじっと私の話を聞いていた。
「――この気持ちはもう、止められません」
「お前……」
彼を目の前にすると、余計に好きだという気持ちが溢れていく。
初めて出会った頃から彼には何度も助けられてきた。
「本気で言っているのか?俺はお前の夫の弟で、お前の義弟なんだぞ」
「――本気です」
そんなこと私だって分かっている。
「ダリル様のことを、本気で好きになってしまったんです」
「……」
彼は何も言わなかった。
兄の妻に好きだと告白されているのだ。
受け入れられないのは当然だろう。
「すみません……いきなりこんなこと言われても迷惑ですよね……」
何だか恥ずかしくなってしまい、ソファから立ち上がって部屋を出ようとしたそのとき――
「――リーゼ」
「……!?」
彼が私の手首を掴んだ。
驚いて彼の方を見ると、突然抱き締められた。
「ダ、ダリル様……!?」
「……」
顔が真っ赤になる。
夫のウィルベルトにも抱き締められたことなんて無い。
ダリルは私の髪を優しく撫でながら囁くように耳元で言った。
「――俺も、お前が好きだ」
「……!」
抱き締められているため顔は見えなかったが、声が少しだけ震えている。
「ダリル様……」
「さっき言っただろう、俺だってお前には何度も救われたんだ」
救われているのはむしろ私の方だ。
思えば彼は最初から優しい人だった。
他人と必要以上に関わらず、無愛想ではあったものの、他の人たちのように決して私を虐げるようなことはしなかった。
それだけではなく、陰口を叩かれている私を助けてくれた。
ダリルの告白は続く。
「だけどお前は兄上の妻で……好きになってはいけない人だと思っていた」
「……」
「叶わぬ思いだと……諦めていた」
そこで彼は体を離し、私の頬に手を添えた。
そして、ゆっくりと顔を近付ける。
「――ダリル様」
「……!」
お互いの唇が触れそうになったその瞬間、私は肩に手を置き、彼の体をそっと押し返した。
ダリルは一瞬だけ驚いたような顔をしたが、我に返ったようだった。
(私だってしたかったけれど……)
もちろん彼の気持ちは嬉しかった。
でもまだダメだ。
「今はまだ……いけません」
「……」
ダリルはショックを受けたような顔をしていたが、こればかりは仕方がない。
そして私は彼と気持ちが通じ合い、やっと決意が固まった。
「――ダリル様、私ウィルベルト様と離縁します」
「リーゼ……」
当然、離婚なんて簡単にできることではないだろう。
しかし私は彼を諦めることが出来ないし、このまま横暴なウィルベルトと夫婦関係を続けていく気も無い。
「ですからダリル様、これからは私と二人で生きていきましょう。もう一人にはさせません」
「……」
彼はしばらく悩む素振りを見せた後、ゆっくりと頷いた。
292
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
王太子妃候補、のち……
ざっく
恋愛
王太子妃候補として三年間学んできたが、決定されるその日に、王太子本人からそのつもりはないと拒否されてしまう。王太子妃になれなければ、嫁き遅れとなってしまうシーラは言ったーーー。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳
ロミオ王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
夫「お前は価値がない女だ。太った姿を見るだけで吐き気がする」若い彼女と再婚するから妻に出て行け!
佐藤 美奈
恋愛
華やかな舞踏会から帰宅した公爵夫人ジェシカは、幼馴染の夫ハリーから突然の宣告を受ける。
「お前は価値のない女だ。太った姿を見るだけで不快だ!」
冷酷な言葉は、長年連れ添った夫の口から発せられたとは思えないほど鋭く、ジェシカの胸に突き刺さる。
さらにハリーは、若い恋人ローラとの再婚を一方的に告げ、ジェシカに屋敷から出ていくよう迫る。
優しかった夫の変貌に、ジェシカは言葉を失い、ただ立ち尽くす。
「そんなの聞いてない!」と元婚約者はゴネています。
音爽(ネソウ)
恋愛
「レイルア、許してくれ!俺は愛のある結婚をしたいんだ!父の……陛下にも許可は頂いている」
「はぁ」
婚約者のアシジオは流行りの恋愛歌劇に憧れて、この良縁を蹴った。
本当の身分を知らないで……。
父の後妻に婚約者を盗られたようです。
和泉 凪紗
恋愛
男爵令嬢のアルティナは跡取り娘。素敵な婚約者もいて結婚を待ち遠しく思っている。婚約者のユーシスは最近忙しいとあまり会いに来てくれなくなってしまった。たまに届く手紙を楽しみに待つ日々だ。
そんなある日、父親に弟か妹ができたと嬉しそうに告げられる。父親と後妻の間に子供ができたらしい。
お義母様、お腹の子はいったい誰の子ですか?
良いものは全部ヒトのもの
猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。
ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。
翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。
一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。
『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』
憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。
自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる