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61 公子の覚悟
「……ッ!し、しまった……!」
私のその声に公子は慌てたようにハッとなった。
――何故レスタリア公子がここにいるのか。
少し考えればすぐに分かることだった。
私は公子を挑発するかのようにニヤリと口の端を上げた。
「なるほど、クロードの死を確認しに来たってわけか。それも公子様が直々に。随分暇なんだな」
「ッ……!」
私の挑発に公子は悔しそうな顔をした。
いつも完璧なイメージだった公子がそんな顔をするとは、今の状況に相当追い詰められているようだ。
「ポッと出の平民女に夢中になった愚王のくせに……!」
「……」
今の一言は正直かなり頭に来たが、フランチェスカの悪口じゃないなら別に反論する必要もない。
「だがお前が直接こうしてここへ来てくれて助かった。これでお前の生家を取り潰すことが出来る。証拠は十分だ」
「……」
私がそう言うと、レスタリア公子は腰の剣に手をかけて私を睨み付けた。
(まさかこの状況で私たちとやる気なのか?暗殺者たちは既に全滅しているというのに)
今の状況で公子に勝ち目はなかった。
私とヴェロニカ公爵、そしてクロードの三人を相手にたった一人で挑むなど無謀でしかない。
それでも公子の顔は真剣そのもので、本気なのだということがひしひしと伝わってくる。
「陛下に何て口の利き方を……」
「――公爵、待て」
私は前に出ようとしたヴェロニカ公爵を手で制し、彼の前に立った。
「へ、陛下……?」
そんな私を公爵は驚いた顔で見つめた。
「公爵、今すぐレスタリア公爵家に騎士団を向かわせて公爵を捕縛しろ。クロードも公爵について公爵家へ行け。屋敷の中に関してはお前が一番詳しいはずだ」
「え、で、ですが陛下は……!」
「――私はここに残る」
その言葉にヴェロニカ公爵が声を荒げた。
「陛下!いくらなんでも危険すぎます!レスタリア公子がたった一人でここへ来ているとは限らないというのに……」
「――これは命令だ」
「ッ……」
私がハッキリとそう言うとヴェロニカ公爵は何も言えなくなったようで、グッと黙り込んだ。
彼らにとって主君の命令は絶対だったから。
そこまで言って私は公爵とクロードに向かって声を上げた。
「早く行け!」
私のその言葉に公爵が諦めたかのようにクロードの腕を掴んだ。
「……クロード、行くぞ。公爵邸の案内を頼む」
「へ、陛下……」
心配そうな顔で私を見るクロードと、そんな彼の腕を掴んで引っ張っていくヴェロニカ公爵。
二人の姿が完全に暗闇の中へ消えてから私は目の前にいるレスタリア公子と向き直った。
公子は変わらず冷たい瞳でじっと私を見据えている。
いつもの人当たりの良い彼からは想像も出来ない姿だ。
「……まさか一人でここに残られるとは思いませんでした」
「あの二人をみすみす取り逃がした時点でお前たちの負けは確定している」
「……クロードは後できっちり始末します。だけど今は貴方を殺すのが最優先だ。王である貴方が死ねば王国は大混乱に陥るでしょうから。そして、父上は賢い人だから何が何でも次の王になるだろう」
「まるで私が今ここでお前に負けるみたいな言い方をするんだな」
そんな風に思われているとは、非常に不快である。
「……仮に私が貴方に殺されたとしてもあなたの辿る末路は同じです。レスタリア公爵家には敵わない」
「随分自信があるんだな」
「当然です。私はレスタリア公爵閣下の息子なのですから」
そこまで言うと、公子は腰の剣を抜いて剣先を私に向けた。
「――貴方は私がここで殺します」
その瞳には並々ならぬ覚悟が見て取れた。
こんな目をする人間はそうはいない。
それを見た私の口元には自然と笑みが浮かんだ。
「惜しいな、お前はここで死ぬべき人間じゃないというのに、死に急ぐ気か」
「死ぬのは貴方の方です、陛下」
その笑みを不快だとでも言わんばかりに公子は殺気を放った。
「お前が生きようが死のうが別に構わないが……」
公子のその姿を見た私は手に持っていた剣を構えた。
「お前が私の邪魔をするというのなら、ここで消すまでだ」
それを聞いたレスタリア公子が私に向かって駆け出した。
私のその声に公子は慌てたようにハッとなった。
――何故レスタリア公子がここにいるのか。
少し考えればすぐに分かることだった。
私は公子を挑発するかのようにニヤリと口の端を上げた。
「なるほど、クロードの死を確認しに来たってわけか。それも公子様が直々に。随分暇なんだな」
「ッ……!」
私の挑発に公子は悔しそうな顔をした。
いつも完璧なイメージだった公子がそんな顔をするとは、今の状況に相当追い詰められているようだ。
「ポッと出の平民女に夢中になった愚王のくせに……!」
「……」
今の一言は正直かなり頭に来たが、フランチェスカの悪口じゃないなら別に反論する必要もない。
「だがお前が直接こうしてここへ来てくれて助かった。これでお前の生家を取り潰すことが出来る。証拠は十分だ」
「……」
私がそう言うと、レスタリア公子は腰の剣に手をかけて私を睨み付けた。
(まさかこの状況で私たちとやる気なのか?暗殺者たちは既に全滅しているというのに)
今の状況で公子に勝ち目はなかった。
私とヴェロニカ公爵、そしてクロードの三人を相手にたった一人で挑むなど無謀でしかない。
それでも公子の顔は真剣そのもので、本気なのだということがひしひしと伝わってくる。
「陛下に何て口の利き方を……」
「――公爵、待て」
私は前に出ようとしたヴェロニカ公爵を手で制し、彼の前に立った。
「へ、陛下……?」
そんな私を公爵は驚いた顔で見つめた。
「公爵、今すぐレスタリア公爵家に騎士団を向かわせて公爵を捕縛しろ。クロードも公爵について公爵家へ行け。屋敷の中に関してはお前が一番詳しいはずだ」
「え、で、ですが陛下は……!」
「――私はここに残る」
その言葉にヴェロニカ公爵が声を荒げた。
「陛下!いくらなんでも危険すぎます!レスタリア公子がたった一人でここへ来ているとは限らないというのに……」
「――これは命令だ」
「ッ……」
私がハッキリとそう言うとヴェロニカ公爵は何も言えなくなったようで、グッと黙り込んだ。
彼らにとって主君の命令は絶対だったから。
そこまで言って私は公爵とクロードに向かって声を上げた。
「早く行け!」
私のその言葉に公爵が諦めたかのようにクロードの腕を掴んだ。
「……クロード、行くぞ。公爵邸の案内を頼む」
「へ、陛下……」
心配そうな顔で私を見るクロードと、そんな彼の腕を掴んで引っ張っていくヴェロニカ公爵。
二人の姿が完全に暗闇の中へ消えてから私は目の前にいるレスタリア公子と向き直った。
公子は変わらず冷たい瞳でじっと私を見据えている。
いつもの人当たりの良い彼からは想像も出来ない姿だ。
「……まさか一人でここに残られるとは思いませんでした」
「あの二人をみすみす取り逃がした時点でお前たちの負けは確定している」
「……クロードは後できっちり始末します。だけど今は貴方を殺すのが最優先だ。王である貴方が死ねば王国は大混乱に陥るでしょうから。そして、父上は賢い人だから何が何でも次の王になるだろう」
「まるで私が今ここでお前に負けるみたいな言い方をするんだな」
そんな風に思われているとは、非常に不快である。
「……仮に私が貴方に殺されたとしてもあなたの辿る末路は同じです。レスタリア公爵家には敵わない」
「随分自信があるんだな」
「当然です。私はレスタリア公爵閣下の息子なのですから」
そこまで言うと、公子は腰の剣を抜いて剣先を私に向けた。
「――貴方は私がここで殺します」
その瞳には並々ならぬ覚悟が見て取れた。
こんな目をする人間はそうはいない。
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「死ぬのは貴方の方です、陛下」
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「お前が生きようが死のうが別に構わないが……」
公子のその姿を見た私は手に持っていた剣を構えた。
「お前が私の邪魔をするというのなら、ここで消すまでだ」
それを聞いたレスタリア公子が私に向かって駆け出した。
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