67 / 87
67 公爵家の秘密
しおりを挟む
その言葉に、隣にいた侍女が苦しそうに顔を歪めた。
そして公爵夫人も悲しげな表情を浮かべている。
彼女たちがそのような顔をする意味が分からず私は戸惑った。
「それは一体どういう……」
その言葉で夫人は重い口を開いた。
「話すと長くなりますが……」
レスタリア公爵夫人の話はこうだった。
レスタリア公爵と公爵夫人は三十年以上前に両親の紹介で出会い、当人たちの意思は関係なくすぐに婚約を結ばされたという。
「当時旦那様はまだ公爵家の嫡男でした。あの頃の旦那様はそれはもう冷たいお方で、なかなか心を開いてくださらなかったのです」
そう口にしている公爵夫人は先ほどとは打って変わって非常に穏やかな顔をしていた。
その姿は恋する乙女のようだった。
(あの頃は冷たかった……?今も冷たい男だろう)
そんな私の疑問を読んだのか、公爵夫人は苦笑いを浮かべながら付け加えた。
「旦那様は身内にはとても優しい方なのです」
「身内……」
そこで私が思い出したのは、王宮でレスタリア公爵家の忠臣だったクロードから聞いた話だった。
(そういえば前にクロードも似たようなことを言っていた気がするな)
あのときは頑なに信じなかったが、まさか本当のことだったとは。
そしてそれをまさかレスタリア公爵夫人から聞くことになるとは思わなかった。
心の中でそんなことを考えていたそのとき、突然夫人の顔が曇り始めた。
「……旦那様は実のご両親―先代のレスタリア公爵夫妻から愛されることはありませんでした」
「……」
「そして、実の妹……陛下の母君でもあらせられますね。先代の王妃陛下との兄妹仲も決して良いとは言えず、血の繋がった家族との間には深い溝がありました」
「母上……」
私は先代のレスタリア公爵夫妻――母方の祖父母には一度も会ったことがない。
母が私を両親に会わせたがらなかったからだ。
(当時はそれを不思議に思っていたが……そういうことだったのか)
夫人のその話を聞いて謎が一つ解けたような気がした。
きっと母上も両親から愛されずに育ったのだろう。
母上は一度も私に祖父母の話をしてくれたことは無かったから全く知らなかった。
「当時のベルモンド様は高い身分に加えて見目麗しく、勉学や剣術など全てにおいてが優秀だということで有名でした。ですが、それと同じくらい有名な噂がもう一つあったのです」
「……性格に関することか」
それを聞いた夫人は一瞬だけ目を丸くした後に俯くようにして頷いた。
「……その通りです。旦那様は冷酷で残忍で、戦場では女子供でも容赦なく切り捨てる冷血漢として社交界では知られておりました」
「……」
そう口にした公爵夫人は酷く悲しそうだった。
「そんな噂のせいか、旦那様は周囲から恐れられていました。公爵家の嫡男であるにもかかわらず縁談はことごとく断られ、そのたびにご両親からは激しい叱責を受けたのだとか」
「……」
「私は家柄だけは良かったので、たまたま旦那様の婚約者として指名されたのです。格上の公爵家との繋がりを持てると知った両親は喜んで私を差し出しました」
「……」
話をすればするほど公爵夫人の顔がさらに暗いものとなっていく。
「初めての顔合わせの日、旦那様の瞳は何の感情も映していませんでした。まるで機械のようにただただ私の話に相槌を打つだけでした。悲しいとか、辛いとかそのような感情すらも旦那様にはありませんでした。唯一感じられたのは――強い孤独感だけでした」
「……」
言葉が出なかった。
まさかレスタリア公爵にそんな過去があったとは意外だ。
どうやら公爵と母上はかなり複雑な家庭で育ったようだ。
「ですが、私は旦那様のその瞳の奥にある優しさを見抜いたのです!」
「……」
それから公爵夫人はレスタリア公爵の婚約者として過ごした日々を話し始めた。
そのときの夫人は嬉しそうに頬を赤く染めていて、まるで昔のフランチェスカを見ているかのようだった。
「……」
その先の話は聞かなくても分かるような気がした。
公爵夫人が心からレスタリア公爵を愛しているように、公爵もまた夫人を愛しているのだろう。
公爵の話をしているときの夫人はとても幸せそうな顔をしていたから。
「旦那様は本当は優しい方だったのです。それで私はどうにか彼の笑顔を見たくて――」
「……」
幸せそうに微笑む夫人の話を遮ることなど出来なかった私は、ただただ彼女の話にじっと耳を傾けていた。
「ゴホッ……ゴホゴホッ……!」
「こ、公爵夫人……」
「奥様……」
そこで夫人は何かに気付いたかのようにハッとなった。
「……申し訳ありません、つい喋りすぎてしまいました」
「……いや、別にかまわない」
「こんなことを話している場合ではありませんね。そしてそれから私たちは結婚し、待望の子供も生まれて幸せに暮らしていました。……それも長くは続きませんでしたが」
「……!」
「……私が突然不治の病に罹ったのです。――陛下、これが全ての発端です」
「不治の病……」
決して治ることの無い病気―不治の病。
両親から愛されずに育った二人がようやく幸せを掴み取れたというのに、神は本当に残酷なことをするものだ。
「本来なら、私の寿命は五年ほどで終わるはずでした。しかし、旦那様は驚くべき手段を取ったのです」
「それは、まさか……」
「はい、それがローレンと手を組むことです」
「……ローレンには優秀な薬師たちがいると聞いた」
「……ご存知だったのですね。ローレンの現王と旦那様は昔から親交がありました。欲深いローレンの王は私の寿命を延ばす秘薬と引き換えに多額の金銭を旦那様に求めました」
「……」
そのとき、私は頭の中で全てを理解した。
いくら公爵家とも言えどそれほどの財産は無いはずだ。
だとしたら――
(……公爵が悪事に手を染めたのはそれが理由か)
公爵夫人の表情からして、おそらく彼女もまた公爵が裏でしていることに気付いているのだろう。
「私はその薬のおかげで何とか今日まで生きてこられました。――ですが、もう限界のようです」
公爵夫人はそう言うと突然パタリと後ろに倒れ込んだ。
「夫人……?」
「奥様!!!」
慌てふためく侍女と困惑する私をよそに夫人は冷静に唇を動かした。
「私の体は、もう動きません」
「……!」
そう言った公爵夫人の瞳は、今にも涙が溢れてきそうだった。
「未練なんて少しもありません。ここまで生きられたのも奇跡ですから。それに最後にこうやって誰かに旦那様との思い出を話すことが出来て嬉しかった。だけど、最後に一つだけ願いを言うのなら――」
そのとき、夫人の目から涙が零れ落ちた。
「――もう一度だけ、あの人に会いたいな」
「……」
その涙は止まることなく溢れてくる。
「マクシミリアンが亡くなったと聞きました。陛下を恨んでなどいません。国王陛下に剣を向けたらそうなるのは当然のことですから。これもあの子の選択です」
「夫人……」
そう口にした夫人の声は震えていた。
(私が公子を殺したことを知っていたのか……)
夫人は公子が死んだのは彼の責任であるかのように言ったが、その瞳には巨大な絶望が見て取れた。
「陛下……もう一つだけ……お願いを聞いていただきたいのです……」
「……」
公爵夫人は私を見ながらか細い声で必死に言葉を紡いだ。
「旦那様に……ありがとう……幸せだったよ……って伝えておいてください……」
「……」
「どうか……お願いです……」
「……分かった、伝えておこう」
私がそう言うと、夫人は心からの笑みを浮かべた。
「ありがとう……ございます……これで……何の未練もなく……逝ける……」
公爵夫人は息も絶え絶えにそう言いながらベッドの上でそっと目を閉じた。
最期に見た彼女の顔は死の間際だとは思えないほどに穏やかなものだった。
夫人が儚くなって部屋には侍女のすすり泣く声だけが響いた。
彼女はもう息子の元へ行っただろうか。
今日一日だけで二度も人が死ぬところを目撃することになるとは思わなかった。
何かを言い残して死んでいく彼らを見て、何だか複雑な気持ちになった。
(私の母も……こんな風に死んでいったのだろうか)
私は母の最期を見ていない。
しかし、母の死因もまた公爵夫人と同じで病死だった。
夫人のように不治の病というわけではなかったが、元々体が弱かったのは事実だ。
この国では医療があまり進歩していない。
そのためウィルベルト王国の王侯貴族の死因の大多数を占めているのが病死である。
戦場で何度も武功を上げた英雄ですら最後は病気でポックリと逝ってしまうのだから。
(何か……何か変えられないだろうか……)
私がこのように王子として生まれ、王になったのも何かの縁。
それなら何かを変えられないかなと思った。
「……もうすぐここにも騎士たちが来るだろう」
私は未だに泣いている侍女にそれだけ言って部屋を出た。
そして公爵夫人も悲しげな表情を浮かべている。
彼女たちがそのような顔をする意味が分からず私は戸惑った。
「それは一体どういう……」
その言葉で夫人は重い口を開いた。
「話すと長くなりますが……」
レスタリア公爵夫人の話はこうだった。
レスタリア公爵と公爵夫人は三十年以上前に両親の紹介で出会い、当人たちの意思は関係なくすぐに婚約を結ばされたという。
「当時旦那様はまだ公爵家の嫡男でした。あの頃の旦那様はそれはもう冷たいお方で、なかなか心を開いてくださらなかったのです」
そう口にしている公爵夫人は先ほどとは打って変わって非常に穏やかな顔をしていた。
その姿は恋する乙女のようだった。
(あの頃は冷たかった……?今も冷たい男だろう)
そんな私の疑問を読んだのか、公爵夫人は苦笑いを浮かべながら付け加えた。
「旦那様は身内にはとても優しい方なのです」
「身内……」
そこで私が思い出したのは、王宮でレスタリア公爵家の忠臣だったクロードから聞いた話だった。
(そういえば前にクロードも似たようなことを言っていた気がするな)
あのときは頑なに信じなかったが、まさか本当のことだったとは。
そしてそれをまさかレスタリア公爵夫人から聞くことになるとは思わなかった。
心の中でそんなことを考えていたそのとき、突然夫人の顔が曇り始めた。
「……旦那様は実のご両親―先代のレスタリア公爵夫妻から愛されることはありませんでした」
「……」
「そして、実の妹……陛下の母君でもあらせられますね。先代の王妃陛下との兄妹仲も決して良いとは言えず、血の繋がった家族との間には深い溝がありました」
「母上……」
私は先代のレスタリア公爵夫妻――母方の祖父母には一度も会ったことがない。
母が私を両親に会わせたがらなかったからだ。
(当時はそれを不思議に思っていたが……そういうことだったのか)
夫人のその話を聞いて謎が一つ解けたような気がした。
きっと母上も両親から愛されずに育ったのだろう。
母上は一度も私に祖父母の話をしてくれたことは無かったから全く知らなかった。
「当時のベルモンド様は高い身分に加えて見目麗しく、勉学や剣術など全てにおいてが優秀だということで有名でした。ですが、それと同じくらい有名な噂がもう一つあったのです」
「……性格に関することか」
それを聞いた夫人は一瞬だけ目を丸くした後に俯くようにして頷いた。
「……その通りです。旦那様は冷酷で残忍で、戦場では女子供でも容赦なく切り捨てる冷血漢として社交界では知られておりました」
「……」
そう口にした公爵夫人は酷く悲しそうだった。
「そんな噂のせいか、旦那様は周囲から恐れられていました。公爵家の嫡男であるにもかかわらず縁談はことごとく断られ、そのたびにご両親からは激しい叱責を受けたのだとか」
「……」
「私は家柄だけは良かったので、たまたま旦那様の婚約者として指名されたのです。格上の公爵家との繋がりを持てると知った両親は喜んで私を差し出しました」
「……」
話をすればするほど公爵夫人の顔がさらに暗いものとなっていく。
「初めての顔合わせの日、旦那様の瞳は何の感情も映していませんでした。まるで機械のようにただただ私の話に相槌を打つだけでした。悲しいとか、辛いとかそのような感情すらも旦那様にはありませんでした。唯一感じられたのは――強い孤独感だけでした」
「……」
言葉が出なかった。
まさかレスタリア公爵にそんな過去があったとは意外だ。
どうやら公爵と母上はかなり複雑な家庭で育ったようだ。
「ですが、私は旦那様のその瞳の奥にある優しさを見抜いたのです!」
「……」
それから公爵夫人はレスタリア公爵の婚約者として過ごした日々を話し始めた。
そのときの夫人は嬉しそうに頬を赤く染めていて、まるで昔のフランチェスカを見ているかのようだった。
「……」
その先の話は聞かなくても分かるような気がした。
公爵夫人が心からレスタリア公爵を愛しているように、公爵もまた夫人を愛しているのだろう。
公爵の話をしているときの夫人はとても幸せそうな顔をしていたから。
「旦那様は本当は優しい方だったのです。それで私はどうにか彼の笑顔を見たくて――」
「……」
幸せそうに微笑む夫人の話を遮ることなど出来なかった私は、ただただ彼女の話にじっと耳を傾けていた。
「ゴホッ……ゴホゴホッ……!」
「こ、公爵夫人……」
「奥様……」
そこで夫人は何かに気付いたかのようにハッとなった。
「……申し訳ありません、つい喋りすぎてしまいました」
「……いや、別にかまわない」
「こんなことを話している場合ではありませんね。そしてそれから私たちは結婚し、待望の子供も生まれて幸せに暮らしていました。……それも長くは続きませんでしたが」
「……!」
「……私が突然不治の病に罹ったのです。――陛下、これが全ての発端です」
「不治の病……」
決して治ることの無い病気―不治の病。
両親から愛されずに育った二人がようやく幸せを掴み取れたというのに、神は本当に残酷なことをするものだ。
「本来なら、私の寿命は五年ほどで終わるはずでした。しかし、旦那様は驚くべき手段を取ったのです」
「それは、まさか……」
「はい、それがローレンと手を組むことです」
「……ローレンには優秀な薬師たちがいると聞いた」
「……ご存知だったのですね。ローレンの現王と旦那様は昔から親交がありました。欲深いローレンの王は私の寿命を延ばす秘薬と引き換えに多額の金銭を旦那様に求めました」
「……」
そのとき、私は頭の中で全てを理解した。
いくら公爵家とも言えどそれほどの財産は無いはずだ。
だとしたら――
(……公爵が悪事に手を染めたのはそれが理由か)
公爵夫人の表情からして、おそらく彼女もまた公爵が裏でしていることに気付いているのだろう。
「私はその薬のおかげで何とか今日まで生きてこられました。――ですが、もう限界のようです」
公爵夫人はそう言うと突然パタリと後ろに倒れ込んだ。
「夫人……?」
「奥様!!!」
慌てふためく侍女と困惑する私をよそに夫人は冷静に唇を動かした。
「私の体は、もう動きません」
「……!」
そう言った公爵夫人の瞳は、今にも涙が溢れてきそうだった。
「未練なんて少しもありません。ここまで生きられたのも奇跡ですから。それに最後にこうやって誰かに旦那様との思い出を話すことが出来て嬉しかった。だけど、最後に一つだけ願いを言うのなら――」
そのとき、夫人の目から涙が零れ落ちた。
「――もう一度だけ、あの人に会いたいな」
「……」
その涙は止まることなく溢れてくる。
「マクシミリアンが亡くなったと聞きました。陛下を恨んでなどいません。国王陛下に剣を向けたらそうなるのは当然のことですから。これもあの子の選択です」
「夫人……」
そう口にした夫人の声は震えていた。
(私が公子を殺したことを知っていたのか……)
夫人は公子が死んだのは彼の責任であるかのように言ったが、その瞳には巨大な絶望が見て取れた。
「陛下……もう一つだけ……お願いを聞いていただきたいのです……」
「……」
公爵夫人は私を見ながらか細い声で必死に言葉を紡いだ。
「旦那様に……ありがとう……幸せだったよ……って伝えておいてください……」
「……」
「どうか……お願いです……」
「……分かった、伝えておこう」
私がそう言うと、夫人は心からの笑みを浮かべた。
「ありがとう……ございます……これで……何の未練もなく……逝ける……」
公爵夫人は息も絶え絶えにそう言いながらベッドの上でそっと目を閉じた。
最期に見た彼女の顔は死の間際だとは思えないほどに穏やかなものだった。
夫人が儚くなって部屋には侍女のすすり泣く声だけが響いた。
彼女はもう息子の元へ行っただろうか。
今日一日だけで二度も人が死ぬところを目撃することになるとは思わなかった。
何かを言い残して死んでいく彼らを見て、何だか複雑な気持ちになった。
(私の母も……こんな風に死んでいったのだろうか)
私は母の最期を見ていない。
しかし、母の死因もまた公爵夫人と同じで病死だった。
夫人のように不治の病というわけではなかったが、元々体が弱かったのは事実だ。
この国では医療があまり進歩していない。
そのためウィルベルト王国の王侯貴族の死因の大多数を占めているのが病死である。
戦場で何度も武功を上げた英雄ですら最後は病気でポックリと逝ってしまうのだから。
(何か……何か変えられないだろうか……)
私がこのように王子として生まれ、王になったのも何かの縁。
それなら何かを変えられないかなと思った。
「……もうすぐここにも騎士たちが来るだろう」
私は未だに泣いている侍女にそれだけ言って部屋を出た。
369
あなたにおすすめの小説
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる