お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの

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それから十数年後。
ウィルベルト王国の王宮にある王太子の自室では、一人ソワソワしながら誰かを待っている青年がいた。


「殿下、ご令嬢が到着したそうです」
「本当か!?」


それからすぐに、部屋の扉がガチャリと開けられた。
入ってきたのは銀色の髪をした少女である。


「レオ!」


彼女を見た青年は嬉しそうに立ち上がった。


「フランチェスカ!」


そう、レオンとフランチェスカだった。


何故、死んだはずの二人がウィルベルト王国の王宮にいるのか。
それは女神ローラが、前世で国を発展させたレオンと不幸な人生を歩むこととなったフランチェスカの二人に第二の人生を与えたからである。


天界で再会した二人は、女神ローラの力によって幼い頃まで時間が巻き戻ったのだ。
もちろん、二人とも前の世界の記憶を持っている。


「会いたかったよ」
「もう、昨日会ったばかりじゃない」


会って早々、二人はハグをした。
これが今世の二人の間では当然のこととなっている。


それからレオンはフランチェスカの手を引いて、二人並んで部屋にあったソファへと腰掛けた。


「フランチェスカ、今日公爵邸ではどうだった?」
「今日はね、お父様から私を産んだ両親の話を聞いたの。私は小さかったからほとんど覚えてなかったんだけど……」
「そうか」


フランチェスカの髪を優しく撫でながらレオンは微笑んだ。
そんな彼に微笑み返しながら、彼女は言葉を続けた。


「お母様と一緒に刺繍をして……そのあとに、シリウスお兄様の剣の練習試合を見に行ったわ!」
「家族と仲良くやれているようだな」
「うん、みんなとっても優しい人たちだから……」


フランチェスカは二度目の人生で家族と良い関係を築くことに成功していた。


勇気を出して自分から話しかけてみたところ、彼らはフランチェスカに今までの態度を謝罪し、彼女を家族の一員として受け入れてくれたのだ。
今ではもうすっかり仲良し家族である。


「レオは?どんな一日だったの?」
「将来、立派な王になるために父上の仕事を手伝っていたよ。母上の体調もだいぶ回復したみたいで、家族全員で庭園の散歩をしたよ」
「あら、それは良かったわね」


フランチェスカは少し照れたようにそう口にしたレオンを見てクスクス笑った。


「それと、レスタリア公爵に関してだが……」
「レスタリア公爵……」


その名前を聞いた途端、フランチェスカの顔が曇った。
レスタリア公爵は彼と彼女の人生を狂わせた元凶だったから。


しかしそこで、レオンの口から出てきたのは意外な言葉だった。


「――良い薬師を紹介しておいた。深く感謝していたから、前世のように罪を犯すことは無いだろう」
「……!」


未来を知っているレオンであれば、自分を陥れようとしたレスタリア公爵に復讐することも出来たはずだ。
しかし彼はそれをしなかった。
全員が幸せになれる道を選んだのだ。


「……優しいのね、レオは」
「まぁ、公爵のことは嫌いだがな」


レオンは用意周到で、二度目の人生では自分たちの周囲に蔓延る悪を事前に全て断ち切っていた。


後にレスタリア公爵家のスパイとして王宮に来る執事のクロードを公爵より先に見つけ出して保護した。
フレイアを襲った暴漢は、既に騎士団に捕らえさせてある。


これも全ては自分とフランチェスカのためだった。
今世では彼女は彼にとって何よりも大事な人だったから。


そして明日は待ちに待った二人の結婚式でもあった。


「レオ、時が経つのって本当に早いんだね……」
「そうだな……」


レオンは隣に座るフランチェスカの肩を優しく抱きながら頷いた。


「――だけど、これで終わりじゃないから」
「……え?」


驚いたフランチェスカがレオンの顔を見た。


「むしろ、これからだ」
「……!」


フランチェスカはようやくその言葉の意味を理解した。


「私は、君との子供が欲しい」
「何人くらい?」
「十人とか?」
「……」


フランチェスカは呆れてレオンの方を見たが、彼の真剣な眼差しに何も言えなくなった。
そんな彼女を見た彼がクスリと笑いながら耳元で優しく囁いた。


「フランチェスカ、愛してるよ。これからもずっと、永遠に」
「うふふ、私も愛してる」


その日、二人は永遠の愛を誓い合った。





―――――――――――――――――――



ここまで読んでくださりありがとうございました!


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