王妃を蔑ろにし、愛妾を寵愛していた王が冷遇していた王妃と入れ替わるお話。

ましゅぺちーの

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12 考え

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あれから私は侍女を下がらせて一人部屋で考え込んでいた。


(私は・・・どうすればいい・・・?)


元の体に戻ったとしても以前のようにレアに接することはおそらく出来ない。彼女の醜い本性を知ってしまったから。私はずっと勘違いをしていたのだ。本当に醜いのは王妃ではなくレアの方だった。


もうレアのことは愛せない。それだけは私の中でハッキリしていた。


そして、それと同時に―


「王妃・・・」


この三日間、驚くことに私は王妃のことばかり考えていた。


私はずっと彼女を誤解していたようだ。十年以上も共にいたのに何故気付かなかったのだろう。いや、私が王妃に歩み寄ろうとしなかっただけか。


私は王妃にどれだけ酷いことをしてきたのだろう。婚約者だった頃からずっと私は彼女に冷たくしてきた。贈り物は一回しかしたことないし、舞踏会でのファーストダンスも他の女性と踊っていた。そして挙句の果てには平民の女と浮気までした。


(今さら歩み寄ることなど不可能だ・・・)


それほどに私と王妃の間には溝が出来てしまっている。元はといえば全て私のせいではあるがそれでもこのときの私はどうにかして王妃との仲を改善したいと考えるようになっていた。


レアとのことがあって、私はもう彼女以外の女性を信じられなくなっていた。


(もしここで王妃との仲を改善しなければずっとこのままだ・・・)


そうなれば私はずっと一人ぼっちになるだろう。新しい妃を娶るのも気が乗らないし、王妃のように使用人たちから慕われているわけではない。


(王妃・・・私は君とやり直したい・・・もう一度だけ・・・チャンスをくれないか・・・)





◇◆◇◆◇◆




それから私は王妃との仲を改善する方法を必死で考えた。気付けば夜になっていた。


まずは王妃に嫌がらせを繰り返していたレアをどうするかだ。あれだけのことをしているのだからこのまま王宮に置いておくわけにはいかない。


(王宮から追い出すか・・・)


本来なら平民が王族に無礼を働いたとして処刑されてもおかしくはない。しかし今は何とも思ってないとはいえ、一度は愛した女を処刑するのは流石にためらった。私はもうレアの顔も見たくなかった。レアは私が最も嫌いなタイプの女だ。王宮から追い出せばもうあの女の顔を見なくて済む。


(レアの処遇についてはこれで良いだろう)


しかし、問題はこれだけではない。むしろここからが悩みどころだった。


(どうすれば王妃との仲を深められるのだろうか・・・)


レアは贅沢を好んだが、王妃もそうだとは限らない。むしろ彼女は貴族令嬢時代からドレスやアクセサリーはシンプルなデザインの物を好んでいたように感じる。


(まぁ、それでもドレスや宝飾品くらいはプレゼントしてもいいだろう)


私は彼女のクローゼットを見てそう思った。あれを初めて見たときはかなり驚いたものだ。私はレアの部屋にあるクローゼットを見たことがあるが、高位貴族の令嬢が着るような華美なドレスが大量にかけられていたのを覚えている。


(今思えば、ただの無駄遣いだったな・・・)


一国の王妃ですらあそこまで散財していないだろう。私は何故今までそれに気付かなかったのだろう。それほどにレアに盲目的だったようだ。今までの自分の愚かさにはつくづく呆れる。


(王妃・・・)


彼女には何色のドレスが似合うだろうか。王妃は元々整った顔立ちをしている。ただ地味なドレスを着ていたせいで目立たなかっただけだ。もし着飾ったら女神のように美しくなるだろう。


私は美しく着飾った彼女を想像して頬を緩ませた。


(そうだ、花も贈ろう。毎日のように手紙を書いて私の愛を伝えよう。そうすればきっと、彼女も私を受け入れてくれるはずだ)


私はそんなことを考えながらも眠りについた。


明日になれば私は元の体へと戻っているだろう。そこで王妃に言うんだ。


君ともう一度やり直したいと。


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