もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
531 / 555
12章 美味しいもの大好き!

485.もふぷるグルメ会議

しおりを挟む
 屋台が完成したし、あとはメニューを考えて作るだけ。
 でも、それが一番難しいんだよなぁ。どういうメニューにしよう?

 悩んだ末に、スラリンたちに聞いてみることにした。
 第三の街の屋敷に転移スキルを使って戻り、庭で遊んでるみんなに「集合~」と号令をかける。

「きゅぃ(モモ、おかえり!)」
「にゃ(綱渡りできるようになったにゃ!)」
「ぴぅ(お店には何も問題なかったよ)」
「らぴゅ(お土産あるぅ?)」

 声を掛けてきた順に、スラリン、ヒスイ、ユキマル、ラッタンだ。
 みんな元気いっぱいだねぇ。僕を囲んだ途端、次々に話しかけてくる。

「ただいま~。お土産は……さつまいもボールだよ!」

 目をキラキラと輝かせるラッタンに手渡す。
 このさつまいもボールは、もふもふ教の人が作業スペースで作ってプレゼントしてくれたもの。美味しそうだから、みんなで食べようねー。

「らぴゅ(わぁい! 美味しそぉ)」

 みんなに一つずつ配って、残りは好きに食べてもらおうと中央に置いたところで、僕はちょっと首を傾げる。
 今日はオギンもここに喚んでいたはずなんだけど、どこにいるんだろう?

「オギンー、おやつの時間だよー」

 呼びかけながら周囲をキョロキョロと見回すと、屋敷を囲む塀からオギンがスタッとおりてきた。

「なんでそんなところにいたの?」
「キュオ(たくさん見られて、面倒くさくなったのよ)」
「あ、なるほどー」

 チラッとお店──というか休憩スペース──の方を見てから視線を戻す。
 休憩スペースでは、いつも通りたくさんの人が僕たちを見て幸せそうな顔をしてるなぁ。

「……嫌な時は二階に行ってもいいんだよ?」
「キュオ(そこまでじゃないわ。私もあの子たちを観察し返してたし)」
「ほほぅ? なんかわかった?」
「キュオ(みんな金遣いが荒いわね)」
「あ、あはは……そうかもね……」

 呆れた感じのオギンから目を逸らす。
 もふもふ教のみんなは、お店での買い物を『いいアイテムがゲットできる』と『もふもふ神さまに貢げる』って、一挙両得みたいな認識をしてる。
 だから、稼いだお金を惜しみなくお店で使っていくんだよねぇ。おかげでたくさん儲けてます。

 とりあえずオギンにもさつまいもボールを渡して、のんびりおやつタイム。
 さつまいもボールは外側サクッ、内側モチッとしてて楽しい食感。ほんのり甘くていくらでも食べられちゃいそう。

 農地ではお芋をたくさん栽培してるし、こういうメニューを屋台で売るのもいいかもなぁ。

「らぴゅ(おいしぃ!)」
「美味しいねぇ。あ、今度グルメ大会で屋台を出すんだけど、どんなメニューがいいと思う?」

 お茶を飲んだタイミングで聞いてみる。
 みんなキョトンとした顔をした後、『う~ん?』と真剣に考えてくれた。

「できたら、農地で採れる食材をメインに使いたいんだよね。数を集めるのが楽だし」
「にゃ(新たに農地で育てるのもアリじゃないかにゃ?)」
「それはそうだね。じゃあ、農地で育てられそうな食材メイン、かな」

 前回のグルメ大会同様、幻桃ラールペシェのような珍しい食材を育ててみるのも楽しそう。

「きゅぃ(モモが作った料理は全部美味しいから、どういうものでもいいと思う!)」
「嬉しいけど、ちょっと参考にならないなぁ……」

 スラリンが褒めてくれたけど、僕は苦笑する。
 その横で、ユキマルが「ぴぅ(モモが好きなものを作ったらいいと思うよ? 桃を使ったものとか……)」と控えめな感じで提案してくれた。

「桃を使ったメニューかぁ。確かに僕らしいよね。でも、パティエンヌちゃんが作ったスイーツを超えられる気がしないんだよなぁ……」

 いくら異世界の住人NPCと部門が分かれているとはいえ、同じようなメニューを出す自信はないよ。

「らぴゅ(ラッたん、イカボール好きぃ)」
「うん、そうだね。でも、それは屋台で出さないかな」
「らぴゅっ(なんでぇ!?)」

 ラッタンが悲壮な表情で固まる。
 ちょっと反応が大げさじゃない? 可哀想な感じが面白くて笑っちゃったよ。

「屋台で出したらイカがなくなるから、ラッタンが食べられなくなっちゃうよ?」
「らぴゅ(イカ料理は屋台で出したらダメだねぇ)」

 すぐさま掌返しをするのが面白くて、また笑っちゃう。ラッタンのイカへの執着がすごいな。そんなに好きなんだねぇ。

「キュオ(私たちは人が作る料理をよく知らないわ。もっと他に、仲のいい人に聞いてみたらどうかしら?)」

 オギンが口元をペロッと舐めて、毛づくろいをしながら言った。
 確かに、みんなが食べる料理は僕が作ったものが多いし、あまり目新しい案は出てこなさそうだもんなぁ。

 仲がいい人……リリとルトとか? でも、二人はまだログインしてないっぽいから、聞けるのは後日だね。
 他にはアリスちゃんとかランドさん、レナードさん、シェルさん、イザベラちゃん、シシリー、ライアンさん、モンちゃん……

「あっ、レアナさん!」

 モンちゃんのことを思い浮かべたら、その奥さんであるレアナさんの姿がパッと脳裏に出てきた。
 訪ねたら、レアナさんはいつも美味しいお菓子とお茶で僕を歓迎してくれるんだよね。いろんな美味しいものを知ってそう。

 レアナさんに会うついでに、モンちゃんにラッタンを紹介しようっと。
 そうと決まれば早速行動だー。

「ラッタン、一緒にお出かけしよ!」
「らぴゅ(まだこれ食べ終わってないよぉ)」
「それ、何個目?」

 もっきゅもっきゅ、とさつまいもボールを頬に詰め込んでいるラッタンに、思わず笑っちゃった。食い意地が張ってるのは僕そっくりだ。可愛いねぇ。
 食べ終わったら遊びに行こー。

しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。