もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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3章 商人への道?

105.準備は大切だよ

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 ホームに帰ってきた頃には、もう夜になってた。
 不動産ギルドに寄って、無事に農地を追加取得できたんだよ! 元々持ってた農地の隣をもらったから、早速幻桃ラールペシェを植えてきた。

「んー! まだログアウトまで時間があるし、商品作りしようっと」

 リフォーム中の気配にわくわくしながら、素材を用意していく。もう工房は完成してて、ストレージ機能が使えるようになってたんだ。

「るんるんるん~」

 手早くアイテムを作っていく。
 たくさんの料理と薬系アイテム、装備アイテム、便利アイテム。あいにく天兎アンジュラパの綿毛は使い切っちゃったから、ぬいぐるみどころかブローチさえ作れないけど——。

「そろそろ毛繕いしたら綿毛を取れるかな?」

 くしくし、と毛繕いスキルを使ってみたら、アイテムボックスに綿毛が一個入った。続けてスキルを使って毛繕いをして、計五個になったところで増えなくなる。たぶん一日に取れる量に上限があるんだ。

「――綿毛と青乳牛サファカウの長毛を混ぜて使えるのかな?」

 ふと疑問が湧いた。
 青乳牛サファカウからもらえた長毛は、前に錬金術で使って、青乳牛サファカウのお守りを作れた。その時は夢羊ドリームトンの羊毛を混ぜたんだ。

 夢羊ドリームトンの羊毛の代わりに、綿毛を使ったら、どうなるんだろう?
 今はレシピとしては表示されてないけど、オリジナルレシピで何か完成するかも。

 興味が惹かれるままに、青乳牛サファカウの長毛をのせた錬金布に綿毛を追加する。

「おお! なんかレシピが出てきた! ――【運命のミサンガ】?」

 青とベージュっぽい色合いのミサンガ。足に着けるアクセサリーらしい。説明には、オリジナルレシピという言葉がある。効果は『体力0状態から時々全回復させる』というものらしい。

「え、つよ。蘇生ってことだよね。でも、時々ってどういうこと?」

 首を傾げつつ、とにかく作ってみる。錬金術ってササッと完成するから便利だなぁ。オリジナルレシピだから失敗する可能性もあるけど――あ、成功した!

「結構きれいかも」

 完成品は美しい模様が織られたミサンガだった。おしゃれな感じでいいね。
 とりあえず鑑定してみる。

――――――
【運命のミサンガ】レア度☆☆☆☆
 オリジナルレシピで製作されたアンクレット。装備中、体力が0になると低確率で全回復させる。その確率は幸運値の影響を受ける。
――――――

「なんか説明が増えてる。全鑑定スキルがレベルアップした影響かな?」

 レシピを見るより、実際のアイテムを鑑定した方が情報が増えるみたいだ。

 幸運値の影響はあるにしても、低確率での蘇生かー。使い方が意外に難しいかも? 受けた攻撃を一回無効にする【青乳牛サファカウのお守り】とどっちが良いかは、状況によって変わるかな。

 装備枠を一つ消費しちゃうのも、微妙だよね。確か、普通の人は低レベルだと一つしかアクセサリーを装備できなかったはずだし。

「耐衝撃のアンクレットとどっちがいいかなー」

 ずっと装備していたアクセサリーと見比べ、首を傾げる。
 最近は人にぶつかることもなくなったし、耐衝撃性能はなくてもいい気がする。保険として、運命のミサンガを装備しようかな。でも、防御力+5の効果を無くすのは惜しいなぁ。

 考えた末に、ふと思いついた。
 アクセサリー二つを錬金できないかな?

 錬金布の上に耐衝撃用アンクレットと運命のミサンガを置いてみる。そして、錬金玉に触れるとパッと一つのレシピが現れた。

「【運命のアンクレット】? え、効果すごい!」

 説明文には『黒鉄を織り込んだミサンガ。物理攻撃で受けるダメージ量を10%減少させる。攻撃を受けても後退しにくくなる。体力が0になると、低確率で全回復させる。防御力+8』と書かれてる。

 これは作るしかないね!
 成功率が70%で、ちょっとドキドキだったけど――完成!

「すごーい、かっこいい!」

 さっきまでのミサンガに黒色が混ざって、引き締まった印象になってる。
 鑑定してみたら、先ほどと同じく、幸運値によって蘇生効果の発現確率が変わるって表示された。

 ほぼ、二つのアクセサリーの効果を合わせた感じかな。むしろ増強されてるかも。

「あんまりバトルしないけど、良い装備を持ってて損はないもんね」

 アンクレットを装備する。毛に隠れてよく見えないけど、たまに青と黒がのぞくのがいい感じ。

「よーし、この調子でたくさんアイテム開発しちゃうぞ!」

 るんるん、と鼻歌を歌いながら素材を手に取る。
 これまでの売れ筋商品はあらかた在庫を用意できたし、みんなの役に立つアイテムを作りたいな。運命のミサンガは売れるかどうかわからないし、青乳牛サファカウのお守り優先で作ろう。

 色々と素材を錬金布にのせて試行錯誤してたら、不意に扉が開かれた。

「お、モモいたんだな。店が完成してるみたいだぞ」

 ルトが工房を覗き込んできた。

「ほんとに!? まだ明日になって――るね!」

 気づいたら朝になってたらしい。
 呆れた顔をしてるルトから、そっと目を逸らす。錬金術が楽しくて、すっかり時間を忘れちゃってたのは事実です。

「モモー! この店かわいいね!」

 ルトの後ろからリリが顔を覗かせる。僕より先にお店を見るとか、ずるい!

「僕も見るー」

 作業を放って店内に向かうと、真新しい調度が出迎えてくれた。

「――おお! いいね、いいね」

 屋台同様、白色の丸みのあるカウンターは、一面がガラス張りの商品棚になってる。その横の壁にはコミュニケーションボードと買い取りカウンター。
 あんまり広くないけど、こじんまりとした感じがむしろ可愛くていい!

「外観も素敵だよ」

 教えてくれたリリと一緒に店の外へ。
 丸窓が並んでる壁の上には看板がかかってて『うさぎの何でも屋』と描かれてる。錬金術士らしい格好をしたうさぎのイラスト付き。
 ひさしにはうさ耳がついてて可愛い。

 それを眺めて、ようやく実感が湧いてきた。僕のお店、完成だ!

「開店するのが楽しみー!」
「今度はちゃんと告知してやれよ」
「わかってるってー。とりあえずタマモに言っとく」

 タマモに伝えたら、たいていの人に伝わるでしょ。
 うんうん、と頷いてたら、ルトが軽く肩をすくめた。

「タマモって、すっかりモモのマネージャーみたいだな」
「めちゃくちゃ優秀で助かってます」

 真剣に頷く。すごくありがたいよ。

「商品とか並べるの手伝おうか?」

 リリを振り仰ぎ、にこにこと笑う。

「いいの? 助かるよ」
「報酬は青乳牛サファカウのお守りでいいよー」

 タダじゃなかった。いいんだけどさ。ルトが「俺も」と言ってくるから頷き返し、店内に戻る。

 さぁて、開店までもうひと踏ん張りだー!

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