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4章 錬金術士だよ?
141.ボス戦に向けてアイテム作成!
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疑似魚捕獲のために作るのは【投網(川用)】だ。必要な素材は、【縄】と【粘海藻】だけ。
それを錬金布の上に置いて錬金したらあっさり完成。
「と~あ~み~!」
「変な口調で言うなよ」
できたアイテムを掲げて言ってみたら、ルトに冷めた目で見られた。僕の心がちょっぴり傷つきました。面白がってくれるかなって思ったのに。
「ふふ、可愛かったよ」
「え、そう?」
「どう考えても可愛くはなかっただろ。変なダミ声で」
リリは褒めてくれたんだろうけど、可愛いと言われるのも微妙に困っちゃう。可愛くしたつもりないもん。笑ってくれるのが正解なリアクションだよ。
ルトみたいに冷めてるよりは良いけどね!
「――それより、アイテムの説明をしてくれ」
「らじゃー」
ピシッと敬礼してみた。それなのになぜかルトに「気が抜ける……」と呆れた顔をされる。カッコよくなかった?
「見た感じ、川に放り投げるアイテムだよね」
「そうそう。ここの持ち手を持ったまま、この網の部分を川に投げ込むんだよ。そうしたら網に練り込まれた粘海藻の効果で、疑似魚とかの小さめなモンスターがひっつくんだ。一分くらいしたら引き上げたらいいよ」
説明したら、二人が感心した様子で頷いた。
でも、漁の効率は絶対スラリンの方が優秀だから! 僕がこのアイテムを使うことはないと思うよ。
……そういうことにしておかないと、スラリンが拗ねちゃいそうだし。
「じゃあ、ありがたく使わせてもらう」
「これ一つで五回しか使えないんだね?」
「うん。だから、何個か持っていって」
十個作って二人に渡す。すぐにルトから「いくらだ?」って聞かれた。
縄は街での購入品。確か一個十リョウだったかな。粘海藻はストレージの一棚を占めそうなほどあるし――。
「一個十リョウかな」
「んじゃ、十個で百リョウな」
ポンと渡された。まぁ、百リョウって安いし、そのまま受け取ろう。
「毎度あり~」
「他に必要なアイテムはないのか? ついでに取ってくるか、買ってくるぞ」
早速向かおうと立ち上がったルトが、ふと思い出した感じで振り返って言う。
「あ、じゃあ、長靴があったら持ってきて」
「……長靴? 街の靴屋で買うのか?」
「ううん、川に沈んでると思うから」
「なんでだよ」
半眼で聞かれても、僕は答えを知らないよ。そこにあるってことはわかってるけど。
「レナードさんに聞いても、『知らん』って言われたんだ。もしかしたら、長靴を川に捨てるような人がいるのかも?」
「……なんかのイベントのきっかけか?」
「どうだろう? わかんないけど」
ルトはちょっと興味が湧いたみたい。謎が現れると気になるよねぇ。
リリは頷いて聞いてたけど、すぐに首を傾げた。
「その長靴、なんに使えるの?」
「カラーボールの素材だよー。ゴムとして使えるみたいで」
レナードさんに教えられたことを説明する。
ゴミだと思って拾った長靴だけど、すごく珍しい素材だった。少なくとも、はじまりの街周辺では唯一手に入るゴム素材。
それで球形を作って、中にペンキを詰めたら、投げて色を付けられるカラーボールを作れると思うんだ。
「――レナードさんに『オリジナルレシピになるはずだが、モモなら作れるだろ』なんて言われちゃったら、作らないわけないよね~」
「やる気になったんだね」
面白そうに笑ったリリが、長靴の回収も快く請け負ってくれた。ルトはまだ「川に落ちてる長靴がレア素材……」って複雑そうな顔で呟いてたけど。
「うん、よろしくねー」
出発する二人を見送って、静かになった工房内を見渡す。
ちょっと寂しいけど、二人が帰ってくる前にたくさん新アイテムを作ってびっくりさせよう、と気合いを入れた。
「まずはペンキかな~」
うん、と頷いて材料を取り出す。
赤色のペンキはまだ余ってるけど、それだけだと足りないだろうし、他の色も欲しい。
カラーボールの効果を確かめるためにも、数を用意しておいた方がいいよね。
「色は赤色の他に、黄色とか青色とかかなぁ。桜色も作っちゃう?」
ペンキを作れる素材についてはレナードさんに聞いておいたから、手際よく用意する。桜鮭の鱗もペンキになるらしいから、使っちゃおう。
「黄色は【太陽花】~」
これはサウス街道のモンスターがドロップしたアイテム。ハーブの一種らしくて、混乱回復系のアイテムの素材になる。まぁ、今回作るのはペンキなんだけど。
色素用の素材の他に、粘海藻などのペンキの基本素材を用意して錬金する。
「錬金スタート!」
ピカッと光った後には黄色のペンキが完成!
ブラシにつけて紙に試し書き――めちゃくちゃビビットなイエロー! これは森の中でも目立ちそう。
「目印にはいいねぇ」
期待通りの成果にテンションが上がる。
浮かれた気分のまま次の色を作成。今度は青色だ。色素用素材は【ターコイズ】だ。これはノース街道の鉱山で採掘してた時に手に入れたアイテム。
先ほどと同じように錬金してみる。すると、青色っぽいペンキが完成した。でも――。
「……青? 緑?」
微妙な色合いだった。元々ターコイズは青と緑が混ざったような色合いだったから仕方ない。これでも、一番青っぽいものを選んだんだけど。
同じ石でも微妙に色が違うから、このゲームって凝ってるよねぇ。
「これ、森の中だと目立たないかも……」
北の森林は木々が多い。つまり緑はどこにでもあって、青緑色で目印をつけても役に立たない可能性が高い。
小象がいるところみたいに土が目立つフィールドなら、効果的なんだろうな。
「試す時に使ってみるのはいいかもねぇ」
うんうん、と頷いて完成品を仕舞う。
残す色は桜色だけだ。これを迷彩小竜に使うつもりはあんまりないけど、綺麗な気がするから、単純に作ってみたい。
というわけで、桜鮭の鱗を色素用素材にしてペンキを作る。
「――おお! ピンク! 白っぽいけど、それが儚げでいいねぇ」
見るからに桜色のペンキができた。
ブラシにつけて紙に試し書きする。描くのはもちろん桜だ。
この世界、桜ってあるのかな? あるなら、お花見とかしてみたいなぁ。
「きれい……リリが気に入りそう」
色素用素材は、他の素材の色を変える目的でも使われるらしい。つまり、僕の綿毛と桜鮭の鱗を合わせたら、よりピンクっぽい綿毛ができるってこと。
青乳牛のお守りも色を変えられるかも?
なんだか気になったので、試してみる。
「青乳牛の毛と桜鮭の鱗で――完成! 【桜色青乳牛のお守り】~」
桜色の牛のぬいぐるみっぽいお守りができた。青色要素が完全に消えてるのすごいね! 青とピンクが混ざったらどうなるんだろうって思ってたけど、そんな心配は必要なかったみたい。
「僕、こっちの方が好きかも。なにより、僕に似合う!」
ちょっと僕と似てる色合いだから、気に入っちゃった。お店で売ったら人気が出るかもしれない。よく見ると顔も可愛いし。攻撃一回無効の効果はすごいし。
でも、迷彩小竜との戦いを終えるまでは、まだ店で売るつもりはない。たくさん作りためておくんだ。いくつ必要になるかわからないから。
「この調子でどんどん作っちゃうぞ~」
まだまだやる気いっぱいです。
それを錬金布の上に置いて錬金したらあっさり完成。
「と~あ~み~!」
「変な口調で言うなよ」
できたアイテムを掲げて言ってみたら、ルトに冷めた目で見られた。僕の心がちょっぴり傷つきました。面白がってくれるかなって思ったのに。
「ふふ、可愛かったよ」
「え、そう?」
「どう考えても可愛くはなかっただろ。変なダミ声で」
リリは褒めてくれたんだろうけど、可愛いと言われるのも微妙に困っちゃう。可愛くしたつもりないもん。笑ってくれるのが正解なリアクションだよ。
ルトみたいに冷めてるよりは良いけどね!
「――それより、アイテムの説明をしてくれ」
「らじゃー」
ピシッと敬礼してみた。それなのになぜかルトに「気が抜ける……」と呆れた顔をされる。カッコよくなかった?
「見た感じ、川に放り投げるアイテムだよね」
「そうそう。ここの持ち手を持ったまま、この網の部分を川に投げ込むんだよ。そうしたら網に練り込まれた粘海藻の効果で、疑似魚とかの小さめなモンスターがひっつくんだ。一分くらいしたら引き上げたらいいよ」
説明したら、二人が感心した様子で頷いた。
でも、漁の効率は絶対スラリンの方が優秀だから! 僕がこのアイテムを使うことはないと思うよ。
……そういうことにしておかないと、スラリンが拗ねちゃいそうだし。
「じゃあ、ありがたく使わせてもらう」
「これ一つで五回しか使えないんだね?」
「うん。だから、何個か持っていって」
十個作って二人に渡す。すぐにルトから「いくらだ?」って聞かれた。
縄は街での購入品。確か一個十リョウだったかな。粘海藻はストレージの一棚を占めそうなほどあるし――。
「一個十リョウかな」
「んじゃ、十個で百リョウな」
ポンと渡された。まぁ、百リョウって安いし、そのまま受け取ろう。
「毎度あり~」
「他に必要なアイテムはないのか? ついでに取ってくるか、買ってくるぞ」
早速向かおうと立ち上がったルトが、ふと思い出した感じで振り返って言う。
「あ、じゃあ、長靴があったら持ってきて」
「……長靴? 街の靴屋で買うのか?」
「ううん、川に沈んでると思うから」
「なんでだよ」
半眼で聞かれても、僕は答えを知らないよ。そこにあるってことはわかってるけど。
「レナードさんに聞いても、『知らん』って言われたんだ。もしかしたら、長靴を川に捨てるような人がいるのかも?」
「……なんかのイベントのきっかけか?」
「どうだろう? わかんないけど」
ルトはちょっと興味が湧いたみたい。謎が現れると気になるよねぇ。
リリは頷いて聞いてたけど、すぐに首を傾げた。
「その長靴、なんに使えるの?」
「カラーボールの素材だよー。ゴムとして使えるみたいで」
レナードさんに教えられたことを説明する。
ゴミだと思って拾った長靴だけど、すごく珍しい素材だった。少なくとも、はじまりの街周辺では唯一手に入るゴム素材。
それで球形を作って、中にペンキを詰めたら、投げて色を付けられるカラーボールを作れると思うんだ。
「――レナードさんに『オリジナルレシピになるはずだが、モモなら作れるだろ』なんて言われちゃったら、作らないわけないよね~」
「やる気になったんだね」
面白そうに笑ったリリが、長靴の回収も快く請け負ってくれた。ルトはまだ「川に落ちてる長靴がレア素材……」って複雑そうな顔で呟いてたけど。
「うん、よろしくねー」
出発する二人を見送って、静かになった工房内を見渡す。
ちょっと寂しいけど、二人が帰ってくる前にたくさん新アイテムを作ってびっくりさせよう、と気合いを入れた。
「まずはペンキかな~」
うん、と頷いて材料を取り出す。
赤色のペンキはまだ余ってるけど、それだけだと足りないだろうし、他の色も欲しい。
カラーボールの効果を確かめるためにも、数を用意しておいた方がいいよね。
「色は赤色の他に、黄色とか青色とかかなぁ。桜色も作っちゃう?」
ペンキを作れる素材についてはレナードさんに聞いておいたから、手際よく用意する。桜鮭の鱗もペンキになるらしいから、使っちゃおう。
「黄色は【太陽花】~」
これはサウス街道のモンスターがドロップしたアイテム。ハーブの一種らしくて、混乱回復系のアイテムの素材になる。まぁ、今回作るのはペンキなんだけど。
色素用の素材の他に、粘海藻などのペンキの基本素材を用意して錬金する。
「錬金スタート!」
ピカッと光った後には黄色のペンキが完成!
ブラシにつけて紙に試し書き――めちゃくちゃビビットなイエロー! これは森の中でも目立ちそう。
「目印にはいいねぇ」
期待通りの成果にテンションが上がる。
浮かれた気分のまま次の色を作成。今度は青色だ。色素用素材は【ターコイズ】だ。これはノース街道の鉱山で採掘してた時に手に入れたアイテム。
先ほどと同じように錬金してみる。すると、青色っぽいペンキが完成した。でも――。
「……青? 緑?」
微妙な色合いだった。元々ターコイズは青と緑が混ざったような色合いだったから仕方ない。これでも、一番青っぽいものを選んだんだけど。
同じ石でも微妙に色が違うから、このゲームって凝ってるよねぇ。
「これ、森の中だと目立たないかも……」
北の森林は木々が多い。つまり緑はどこにでもあって、青緑色で目印をつけても役に立たない可能性が高い。
小象がいるところみたいに土が目立つフィールドなら、効果的なんだろうな。
「試す時に使ってみるのはいいかもねぇ」
うんうん、と頷いて完成品を仕舞う。
残す色は桜色だけだ。これを迷彩小竜に使うつもりはあんまりないけど、綺麗な気がするから、単純に作ってみたい。
というわけで、桜鮭の鱗を色素用素材にしてペンキを作る。
「――おお! ピンク! 白っぽいけど、それが儚げでいいねぇ」
見るからに桜色のペンキができた。
ブラシにつけて紙に試し書きする。描くのはもちろん桜だ。
この世界、桜ってあるのかな? あるなら、お花見とかしてみたいなぁ。
「きれい……リリが気に入りそう」
色素用素材は、他の素材の色を変える目的でも使われるらしい。つまり、僕の綿毛と桜鮭の鱗を合わせたら、よりピンクっぽい綿毛ができるってこと。
青乳牛のお守りも色を変えられるかも?
なんだか気になったので、試してみる。
「青乳牛の毛と桜鮭の鱗で――完成! 【桜色青乳牛のお守り】~」
桜色の牛のぬいぐるみっぽいお守りができた。青色要素が完全に消えてるのすごいね! 青とピンクが混ざったらどうなるんだろうって思ってたけど、そんな心配は必要なかったみたい。
「僕、こっちの方が好きかも。なにより、僕に似合う!」
ちょっと僕と似てる色合いだから、気に入っちゃった。お店で売ったら人気が出るかもしれない。よく見ると顔も可愛いし。攻撃一回無効の効果はすごいし。
でも、迷彩小竜との戦いを終えるまでは、まだ店で売るつもりはない。たくさん作りためておくんだ。いくつ必要になるかわからないから。
「この調子でどんどん作っちゃうぞ~」
まだまだやる気いっぱいです。
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