もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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5章 もふもふいっぱい?

169.シーズンイベント開始だって

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 お店の商品を作ったり、モンスターをテイムするためのフードを用意したり、農地で変異種を育てたり――と忙しくしてたら、第三の街を開放してからあっという間に二日経ってた。

「シーズンイベント『ハロウィンおばけ襲来!』? そういえば、もうすぐ始まるってアナウンスあったねぇ」

 ログインして重要通知が届いてたからチェックすると、僕がきっかけで開催が決まったシーズンイベントのお知らせだった。
 サブリングを入手しなきゃいけないし、しっかり目を通さなくちゃ。

「えっと、今回のシーズンモンスターは『おばけたち』で、各街周辺のバトルフィールド上に現れる仮装したモンスターのこと……なんか楽しそうだね?」

 それでいいのかな、モンスターって。「僕、あの仮装するー」「私はあれー!」とワクワクしながら計画してるモンスターを想像すると、なんだか可愛い気がする。

 シーズンモンスター種は体力バーが虹色になってるのが目印らしい。倒すと『交換所』で景品と交換できるアイテムをもらえる。

「交換所ってどこだろう?」

 さらに詳細を確認する。
 交換所は市場に期間限定で現れるらしい。第二の街は『スキル屋シェ・ルーの店』が交換所になってるんだって。

「……シェルさん?」

 まさかの副業? やっぱりスキル屋業だけじゃ食べていくのが難しいのかな。仲の良い人の店で行きやすいから僕は嬉しいけど。

「久々にシェルさんに会いに行こうっと」

 景品詳細は交換所で確認を、と書かれているのを見て、今日の最初の予定が決まった。

 ホームから出てすぐに、街の変化に気づく。
 街中がハロウィン色で染まってる! 装飾にオレンジや黒などの色が増えて、秋っぽい感じ。

 屋台でもカボチャスイーツが並んでる。他にも焼き芋とか栗スイーツとかの秋の食べ物がいっぱい。
 いい匂いがするよー。これは食べなきゃダメだね!

 もぐもぐと食べながら市場を進んで、シェルさん発見!
 手に持っていた焼き芋の残りを頬に詰め込む。

 しっとり甘くてうまうま。お芋の種類がたくさんあるみたいだから、食べ比べしたいな~。
 僕の畑でも育てちゃおう! ルトたちとお芋掘りしたら楽しい気がする。

 そんなことを考えてたら、シェルさんと目があった。

「んーんんん!」

 ふりふり、と手を振って挨拶すると、シェルさんがちょっぴり呆れた表情になる。

「……こんにちは。食べ終わってからしゃべりましょうね?」
「ん!」

 もぐもぐ。
 食べながらじーっとシェルさんの店を眺める。

『スキル屋』の看板の横に張り紙で『交換所』って書かれてるんだけど、もうちょっとなんとかならなかったのかな?
 イベント情報が出たのに、全然プレイヤーが来てないの、店が目立たないからじゃない?

「――改めて、こんにちは!」
「どうも。お久しぶりです。お元気そうでなにより」
「……拗ねてる?」

 ちょっと冷たくない? と思って聞いてみた。途端に「まさか!」と否定されたけど、嘘っぽい。僕が全然会いに来なかったから拗ねてるんだねー?

「いやいや、まさか私忘れられてる? なんて思ってませんよ」
「思ってるんだー」
「違いますって!」
「会いに来なくて、ごめんねー。いろいろ忙しかったんだよー」
「……そうですか。他の人とステージで芸を披露してるわけじゃないんですね?」

 気になるのはそこなんだね? シェルさん、演奏を披露するのが一番好きみたいだからしかたないか。コンサートを手伝ってもらった時、すっごく嬉しそうだったもんね。

「してないよ。でも、次回の計画を立ててるから、シェルさんにまた協力してもらえたら嬉しいなぁ」
「もちろんです! 全力でご協力させていただきますよ!」

 食い気味に言われた。目がキラキラしてる。なんか僕もさらにワクワクしてきたぞ。

「うん、ありがとう! 楽しみにしてるね。計画については、また後で連絡するから」
「はい、お待ちしています」

 にこにこ。
 笑顔を向け合ってから、本日の目的を思い出す。シェルさんを探してたのは、コンサートの話をするためじゃないんだよ!

「あ、シェルさんって交換所もやってるんでしょ? 景品の確認していい?」
「どうぞー。モモさん好みの景品があるといいですね」

 カタログを渡された。ズラッとアイテムが載ってる。
 アイテムは『装備』『武器』『攻撃アイテム』『ステータスアップ薬』『便利アイテム』という項目で分けられてた。

「装備【かぼちゃパンツ】……誰が着たいの?」

 一番に見つけてしまった装備に、ぱちぱちと瞬きをする。
 頭の中で、かぼちゃパンツを履いてるルトを想像して、ぶはっと吹き出して笑っちゃった。ウケ狙いにいい装備かも。

「あー、そういうのはお祭り感を楽しみたい方に人気になると思いますよ。ほら、他にも仮装装備があるでしょう?」

 シェルさんが指でいくつかの装備を指す。【ドラキュラ成り切り】【白シーツおばけ】【小悪魔メイド】などなど、びっくりするくらいたくさんの仮装が用意されてた。

「……効果はどんな感じなんだろう?」

 僕は衣装で影響を受けられないけど、良い効果のものがあるならルトたちに勧めてみたい。

「現時点での店売り品よりは良いと思いますよ?」
「そうなんだー」
「モンスター用の装備もありますし」
「えっ!」

 カタログをめくったら、確かにモンスター用の装備があった。つまり僕が着れるってこと?

「――効果が出るの?」
「モンスター用に特別に作られたものですから、もちろん効果もバッチリ。ただ、交換に必要なアイテム数が多いんですよねー」

 モンスター用装備の一つ【化け猫着ぐるみ】の横には『250』と書かれてた。人用の装備は大体100~150くらいだから、確かに多い。

「一個くらいは手に入れてもいいかも」

 普通は装備で効果を得られないんだから、特別な装備は入手しておきたい。でも、優先するのはサブリングだなー。

 ペラペラとカタログをめくってサブリングを探す。

「――あった! って、【サブリング】『2000』……すごい数必要じゃん」
「それをお探しだったんですね。サブリングは貴重品ですから、しかたないんですよー」
「そっかぁ。交換に必要なアイテムって【おばけのコア】と【おばけの実】なんだよね?」

 お知らせに書いてあった内容を確認したら、シェルさんが「そうですよ」と頷いた。続けて説明をしてくれる。

「基本的には、バトルフィールドでモンスターを倒すと、どちらかが手に入ります。ですが、【おばけの実】は採集ポイントでも採れるんですよ」
「え、そうなの!?」
「あまり知られてませんけどねー。【特殊採集】ってスキルを使わないといけないので」

 シェルさんが言うには、【特殊採集】は採集用アイテム+【採集】スキルを使っていると覚えられるらしい。もちろんスキル屋でのスキル交換でも入手できる。
 このスキルを使うと、農地での収穫作業でも【おばけの実】が手に入ることもあるんだって。

「――街中までシーズンモンスターの影響が出るって考えたら怖いですけど、今のところ人的被害は確認されてませんし、気にしないでいるのがいいんでしょうね」

 現地人らしい感想を聞きながら、うーんと考える。
 採集用アイテム+【採集】って、種鎌を使っての採集でもいいのかな? 他にも採集を補助するアイテムがあるみたいだから、いろいろ作ってスキル習得を目指してみよう。

「他にはお得情報ない?」
「お得……」

 念の為聞いてみたら、シェルさんが腕を組んで真剣に考え込んだ。しばらくしてから、「あっ!」と笑顔を見せる。

「――そういえば、シーズンモンスターは特殊アイテムで捕まえてから倒すと、ドロップアイテムが増えると聞いたことがありますよ。確か【ゴムゴムトラップ】っていうアイテムだった気がします」
「【ゴムゴムトラップ】?」

 なぁに、それ?

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