もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
178 / 555
6章 どたばた大騒動?

194.優雅に始めましょう

しおりを挟む
 一瞬の空白の後に目を開けると、見慣れたホームの天井が見えた。ゲームが始まったって実感して、ワクワク感が高まる。
 今日も元気にゲーム内で遊ぶよ!

「まずは腹ごしらえだー」

 ログアウト中もちょっとずつ空腹になっていくから、ログインしたらご飯を食べるのが鉄則。
 アイテムボックスに入ってるご飯を食べてもいいんだけど――

「――作るか」

 やっぱり出来立てが良いよね。
 ということで、キッチンにレッツゴー。

「あ、モモ! 同じタイミングだったんだね」

 寝室から出たところで、隣の部屋からリリが現れた。

「うん、おはよー……こんにちは? こんばんは?」

 ゲーム内は六時間で一日が経つから、わりと挨拶を迷う。
 ベッドから起きてきたところだったから、つい「おはよう」って挨拶しちゃったけど、リアルでは「こんばんは」の時間だよー。

「どれでもいいんじゃない? まぁ、こっちは朝だし、おはよー」

 ニコニコと笑って答えたリリに頷きながら、その周囲をきょろきょろと見渡す。

「ルトは?」
「まだだよー。さっき家の前で別れたばかりだから、まだゲームの準備ができてないんじゃないかな。でも、すぐに来ると思うよ」
「そうなんだー? というか、二人ってご近所さん?」
「家は隣だよ」

 友だちの新たな情報をゲットしながら、一緒にリビングへ向かう。朝食はリリとルトの分も頼まれた。

「美味しいもの作るぞー」

 キッチンで一人気合いを入れてたら、後ろからクスクスと笑う声が聞こえる。
 アイテムボックスから材料を取り出して、錬金術と料理スキルを使いながら作業を開始。

「もう慣れたけど、うさぎさんががんばって料理してる姿って不思議で可愛いなぁ」
「できるなら、僕も客観的に見たい」

 なぜ僕自身が可愛い姿を見れないのか!
 ちょっぴり不満をこぼしながら作業を続けてたら、リリが「じゃあ、撮って送ってあげる」と言い出した。

 チラッと背後を見ると、リリは撮影ポーズをしながらニコニコと笑ってる。
 本当に撮影してるね? 後で送ってもらうの、楽しみにしとこう。

 タマモが毎回コンサートとかの動画を撮って送ってくれるけど、あれも嬉しいんだよねー。自分だけど自分じゃないみたいな、もふもふアイドルの活躍を見る感じ。

「♪るるるんるん、るる、るん」

 シェルさんとアイリーンに作ってもらった曲『もふもふプリティ』のリズムでハミングしながら料理をする。

「……ご機嫌だな。そんで、リリはなんで撮影してるんだ?」
「あ、ルト、おはよー」
「はよ」

 挨拶を短縮してくるとこ、ほんとルトらしい。
 なぜか半眼で僕とリリを見てるルトに手を振って挨拶してから、また料理作りに戻る。今日の朝食は豪華だよー。

「モモが自分の可愛い姿見たいって言うから、撮影してたの」
「……モモらしいな」

 諦念の滲んだ声というか、ちょっと疲れた感じでルトが言う。

「だって自分のことはあんまり見れないんだもん」
「それはそうか。もふもふは一番体感できるけどな」
「うん、幸せ」

 自分の頬や胸元のもふもふをもふもふするのはリラックス効果があるよ。
 頷きながら、できあがった料理をダイニングテーブルに運ぶ。リリも撮影を止めた。

 早速送ってくれたみたいで、通知マークがピカピカ光ってる。
 それを確認するより、まずは朝食です!

「今日は完全洋食の日! 焼き立てクロワッサンとロールパン、バター&桃ジャムはお好みでどうぞ。カボチャのポタージュと彩り野菜サラダ、チーズオムレツ、ハム&ソーセージ。デザートはフルーツたっぷりプリン・ア・ラ・モード! 飲み物はジュース各種、紅茶、コーヒーからお選びください」

 料理を並べながら説明し、仕上げにドリンクメニュー(縁を綺麗な金色で装飾した自信作)を二人に差し出す。
 いつか使うかもって思って、用意してたんだ。

「わあ! ホテルの朝食みたい!」
「本気すぎてちょっと引いた」

 喜んでくれたリリに満足する。がんばった甲斐がありました。
 でも、ルトはなんで頭痛そうにしてるのかな?

「私、オレンジジュースと紅茶がいいな。ミルクティーならさらに嬉しい!」
「はいはーい。もちろん、ミルクティーあるよー」

 手際よく飲み物を渡す。これはアイテムボックスから取り出しただけだ。バトルフィールドでの休憩用に、いろんな飲み物を用意してあるんだ。

「……俺はグレープジュースとコーヒーがいい」
「どうぞー。ブラックでいいの?」
「ああ、ありがとう」

 コーヒーの香りで、ルトがちょっと頬を緩めた。リラックスする香りだよねー。
 でも、ブラックで飲めるの、大人で羨ましい。

「僕は桃ジュースとカフェオレ!」
「モモらしいね」

 微笑ましそうに見つめてくるリリに頷き、僕も椅子に座る。
 テーブルの上の料理は、僕が作ったものだけど、見れば見るほど美味しそう!

 お腹がグーとなっちゃいそうな気がして、もふっと手を合わせた。早く食べよう。

「いただきます!」
「「いただきます」」

 まずはカボチャのポタージュ。

 濃厚な青乳牛サファカウのミルクにカボチャの甘みが溶け込んで、優しい味わい。仕上げに効かせた胡椒が良いアクセントだね。
 ごくごく飲んじゃいたくなるけど、ちょっと我慢。バランスよく食べたいから。

 次は野菜サラダ。

 シャキシャキのレタスはドレッシングがなくても甘みがあって美味しい。トマトもジューシーだし、パプリカは彩り的にも味的にも優れた作物だよねー。

 ドレッシングはレモンと塩、オリーブオイルを使ったものだから、さっぱりと美味しく食べられる。

 メイン料理の一つはチーズオムレツ、ハム&ソーセージ。

 オムレツの中にたっぷりといれた青乳牛サファカウのチーズは、熱でとろりと溶けて、濃厚なミルク感がある。でも、それに負けない濃い味わいの卵は緑玉鶏エメコックのもの。高級食材なだけあって、ほんっとに美味しい。

 ハムとソーセージはお肉から錬金術で作ったものなんだけど、ハーブを効かせて作ったから、独特な味わいがあって、パンに合いそう。

 そこで、最後のメイン料理であるパンに手を伸ばす。

 あつあつなロールパンを手で割って、まずは何も付けずにいただきます。――うん、ほのかなバターとミルクの風味が美味しい。やっぱりハムやソーセージと相性がいいね。これでサンドウィッチにするのも最高だと思う。

 二口目はバターを付けて。バターの塩気がちょうどよくパンの甘みとマッチしてる。桃ジャムを付けたら、もはやスイーツ! やっぱり桃は美味しいよー。

 また、オムレツやポタージュなどを食べて、ジュースを飲んでから、クロワッサンを手に取る。

 掴んだだけでホロッと崩れる表面。お行儀悪く、端っこからガブッと食べた瞬間に、サクッとした食感を楽しめる。すぐにふわっとした歯ざわりがあった後、鼻を抜けるバターたっぷりの香りがもう――幸せ!

「……ここが天国……!」
「わかる」
「それな」

 気づいたら、リリたちも黙って食事に集中してたみたい。
 顔を見合わせて、思わず笑っちゃった。

「食べ物が美味しいって、ほんと、このゲームの魅力だと思う」
「絶対、開発者にグルメな人が混じってるよな」

 真剣な表情で話してる二人にうんうん、と頷きながら食事を続ける。

 プリン・ア・ラ・モードも、昔ながらの固めのプリンと新鮮フルーツが美味しかったよ~。

 美味しいご飯を食べられて、幸先が良い。今日も楽しい一日になりそうだな~♪

しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。