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6章 どたばた大騒動?
211.スライムの育て方
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モンちゃんが真剣な表情に変わったのを見て、僕も一応姿勢を正す。といっても、シバちゃんが背もたれになってくれてるから、遠慮なく寄りかかってるんだけど。もふもふな感触には抗えない。
「リカエラ、無属性スキルを挙げてみろ」
「いきなりテストですか? ――簡単なものだと、体当たり、回避、足蹴、ジャンプ、衝撃弾かしら」
「衝撃弾?」
初めて聞いたスキルを思わず反復する。
リカちゃんが「ええ」と頷いて説明を追加してくれた。
「基本の五属性と光・闇属性に含まれない属性――無属性の魔術よ」
「へぇ、そんな魔術があるんだね」
僕も覚えられるかなー?
首を傾げていたら、焦れったそうな顔をしたモンちゃんが、「無属性スキルの中でスライムが覚えられそうなもんはなんだと思う?」と問いかけてきた。
リカちゃんと顔を見合わせて、僕はパチパチと目を瞬く。
スライムが覚えられそうなものかぁ……。
「体当たりは元々覚えてるよね」
「足蹴をするには、足がないわね」
スラリンが足蹴する姿を想像して、ぶはっと笑ってしまった。触手が襲いかかってるようにしか見えないかも。
「えっと……ジャンプはいける気がする。いつもぽよぽよって跳ねてるし」
「じゃあ、それを指示を出してすればいいわね」
にこりと笑ったリカちゃんに頷く。他にはなにを覚えられるかな?
「無属性魔術は無理?」
「そもそも魔術はスキル交換か魔術学院で学ぶしか、習得の道はないわよ」
「そうだったね。でも、無属性魔術はスキル交換リストになかった気がする」
「スキル屋のリストは随時更新されるし、どこのスキル屋に行くかでも変わるわよ」
「そうなの!?」
新事実発見だ。
シェルさん以外のスキル屋さんとも仲良くなった方がいいのかな。でも、僕、あんまりスキル交換しないから、必要ないかも?
「テイムしたモンスターのスキルも、スキル屋で交換できるぞ」
「え、じゃあ、スラリンが漁スキルを別のスキルに交換できるかもってこと?」
漁スキルを交換させるつもりはないけど、例として出してみた。
リカちゃんが「漁?」と不思議そうに首を傾げている。モンちゃんは「こいつのスライム変なんだ」と返していた。スラリンは変じゃないよ!
「スキル一つで交換できるものは少ないし、テイムモンスターの場合は交換できるスキルに制限があるが。さっきの講習でも言ったが、モンスターが覚えられるスキルは基本的に無属性か自身の属性のスキルだけだ」
「スラリンの場合は無属性のスキルだけってことだね」
「ああ。進化して属性があるタイプに変わったら、習得できるスキルの幅は広がるけどな」
なるほどー。
今、スラリンはレベル19。たぶん、レベル20くらいになったら、進化の可能性があるんじゃないかなぁ、と予想してる。
ホワイトスライムのユキマルをテイムしてるから、その影響でスラリンの進化先には特殊なタイプがある可能性もあるし、密かに楽しみなんだよね。
「スキル屋さんで交換してもらうにしても、スキルは覚えなきゃいけないし……簡易なスキルをたくさん覚えて、攻撃スキルとかと交換するのがいいのかな?」
「それが一番楽な強化法だな」
頷いたモンちゃんを見ながら考える。簡単に覚えられそうなスキルってなんだろう?
「スライムなら採集や採掘も覚えられるんじゃないかしら?」
「そうなの?」
「可能性はある。特にモモのスライムは漁なんてヘンテコなスキルを習得してるし、素材集め系のスキルに適性があんのかもな」
漁スキルがヘンテコ扱いされてるの、ちょっと文句を言いたい。美味しいお魚をゲットできる、すごいスキルなんだよ!
「……採集とかを覚える方法は?」
「『薬草を採集して』とか『採掘してみて』とか指示を出したらいい」
「あ、そんな感じでいいんだ?」
元々、素材集めを手助けしてくれるモンスターをテイムしようと考えて星栗鼠を狙ってたし、まだテイムできてない状況でその役目をスラリンが担ってくれるのはありがたい。
有益なスキルだから、スキル屋で交換には使えないと思うけど。
「他はそれこそ【ジャンプ】や【ステップ】とか」
モンちゃんが様々なスキルを挙げてくれる。リカちゃんも知識を惜しみなく出してくれた。
その結果わかったのは――
「明確な指示を出して行動させたら、僕のコンサート練習でも色んなスキルを覚えられそうだね!」
「……コンサート?」
モンちゃんとリカちゃんがこれまでで一番不思議そうな顔をした。
最近行ったハロウィンパーティーのコンサートについて説明すると、モンちゃんが頭が痛そうな顔で額を押さえる。リカちゃんはぽかんと口を開けていた。
「ジャンプしたり、ダンスしたり、ステップしたり、あとは玉乗りとかも練習させてみようかな。僕が覚えられたし、スラリンたちもできるかも」
「……スキルの習得が早いのは、バトル中に練習した場合だぞ」
「つまり玉乗りしながら戦うの?」
「なんでだよ! スライムを曲芸士にでもさせる気か? モンスターサーカスでも作るのか?」
即座にツッコミを入れられた。
スラリンが玉に乗りながら、敵に攻撃を繰り出している光景を想像する。ジャグリングもできそう。ナイフとかビュンビュン投げるの。
「……意外といける気がする」
「うふ、ふふふっ。できるようになったら、ぜひ見せてね」
「おい、リカエラ。勧めてんじゃねぇぞ、コラ。この馬鹿が本気にするだろ」
リカちゃんが期待した感じで言ってくれたので、本気で試してみようと思う。もちろん、スラリンたちが嫌って言ったらやめるけどね。
モンちゃんの言葉はスルーです。
「リカエラ、無属性スキルを挙げてみろ」
「いきなりテストですか? ――簡単なものだと、体当たり、回避、足蹴、ジャンプ、衝撃弾かしら」
「衝撃弾?」
初めて聞いたスキルを思わず反復する。
リカちゃんが「ええ」と頷いて説明を追加してくれた。
「基本の五属性と光・闇属性に含まれない属性――無属性の魔術よ」
「へぇ、そんな魔術があるんだね」
僕も覚えられるかなー?
首を傾げていたら、焦れったそうな顔をしたモンちゃんが、「無属性スキルの中でスライムが覚えられそうなもんはなんだと思う?」と問いかけてきた。
リカちゃんと顔を見合わせて、僕はパチパチと目を瞬く。
スライムが覚えられそうなものかぁ……。
「体当たりは元々覚えてるよね」
「足蹴をするには、足がないわね」
スラリンが足蹴する姿を想像して、ぶはっと笑ってしまった。触手が襲いかかってるようにしか見えないかも。
「えっと……ジャンプはいける気がする。いつもぽよぽよって跳ねてるし」
「じゃあ、それを指示を出してすればいいわね」
にこりと笑ったリカちゃんに頷く。他にはなにを覚えられるかな?
「無属性魔術は無理?」
「そもそも魔術はスキル交換か魔術学院で学ぶしか、習得の道はないわよ」
「そうだったね。でも、無属性魔術はスキル交換リストになかった気がする」
「スキル屋のリストは随時更新されるし、どこのスキル屋に行くかでも変わるわよ」
「そうなの!?」
新事実発見だ。
シェルさん以外のスキル屋さんとも仲良くなった方がいいのかな。でも、僕、あんまりスキル交換しないから、必要ないかも?
「テイムしたモンスターのスキルも、スキル屋で交換できるぞ」
「え、じゃあ、スラリンが漁スキルを別のスキルに交換できるかもってこと?」
漁スキルを交換させるつもりはないけど、例として出してみた。
リカちゃんが「漁?」と不思議そうに首を傾げている。モンちゃんは「こいつのスライム変なんだ」と返していた。スラリンは変じゃないよ!
「スキル一つで交換できるものは少ないし、テイムモンスターの場合は交換できるスキルに制限があるが。さっきの講習でも言ったが、モンスターが覚えられるスキルは基本的に無属性か自身の属性のスキルだけだ」
「スラリンの場合は無属性のスキルだけってことだね」
「ああ。進化して属性があるタイプに変わったら、習得できるスキルの幅は広がるけどな」
なるほどー。
今、スラリンはレベル19。たぶん、レベル20くらいになったら、進化の可能性があるんじゃないかなぁ、と予想してる。
ホワイトスライムのユキマルをテイムしてるから、その影響でスラリンの進化先には特殊なタイプがある可能性もあるし、密かに楽しみなんだよね。
「スキル屋さんで交換してもらうにしても、スキルは覚えなきゃいけないし……簡易なスキルをたくさん覚えて、攻撃スキルとかと交換するのがいいのかな?」
「それが一番楽な強化法だな」
頷いたモンちゃんを見ながら考える。簡単に覚えられそうなスキルってなんだろう?
「スライムなら採集や採掘も覚えられるんじゃないかしら?」
「そうなの?」
「可能性はある。特にモモのスライムは漁なんてヘンテコなスキルを習得してるし、素材集め系のスキルに適性があんのかもな」
漁スキルがヘンテコ扱いされてるの、ちょっと文句を言いたい。美味しいお魚をゲットできる、すごいスキルなんだよ!
「……採集とかを覚える方法は?」
「『薬草を採集して』とか『採掘してみて』とか指示を出したらいい」
「あ、そんな感じでいいんだ?」
元々、素材集めを手助けしてくれるモンスターをテイムしようと考えて星栗鼠を狙ってたし、まだテイムできてない状況でその役目をスラリンが担ってくれるのはありがたい。
有益なスキルだから、スキル屋で交換には使えないと思うけど。
「他はそれこそ【ジャンプ】や【ステップ】とか」
モンちゃんが様々なスキルを挙げてくれる。リカちゃんも知識を惜しみなく出してくれた。
その結果わかったのは――
「明確な指示を出して行動させたら、僕のコンサート練習でも色んなスキルを覚えられそうだね!」
「……コンサート?」
モンちゃんとリカちゃんがこれまでで一番不思議そうな顔をした。
最近行ったハロウィンパーティーのコンサートについて説明すると、モンちゃんが頭が痛そうな顔で額を押さえる。リカちゃんはぽかんと口を開けていた。
「ジャンプしたり、ダンスしたり、ステップしたり、あとは玉乗りとかも練習させてみようかな。僕が覚えられたし、スラリンたちもできるかも」
「……スキルの習得が早いのは、バトル中に練習した場合だぞ」
「つまり玉乗りしながら戦うの?」
「なんでだよ! スライムを曲芸士にでもさせる気か? モンスターサーカスでも作るのか?」
即座にツッコミを入れられた。
スラリンが玉に乗りながら、敵に攻撃を繰り出している光景を想像する。ジャグリングもできそう。ナイフとかビュンビュン投げるの。
「……意外といける気がする」
「うふ、ふふふっ。できるようになったら、ぜひ見せてね」
「おい、リカエラ。勧めてんじゃねぇぞ、コラ。この馬鹿が本気にするだろ」
リカちゃんが期待した感じで言ってくれたので、本気で試してみようと思う。もちろん、スラリンたちが嫌って言ったらやめるけどね。
モンちゃんの言葉はスルーです。
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