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6章 どたばた大騒動?
216.いらっしゃいませ~
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タマモにお店の詳細と開店日をお知らせしたら、テンションの高い返事があった。早速掲示板で連絡してくれるんだって。
――――
モモ
『お店改装工事のお手伝いもしてくれたんだよね? ありがとー。協力してくれたみんなにもお礼を伝えてもらえる?』
タマモ
『お礼を言われるほどのことでは……! 私たちが早くお店に行きたかっただけですから。でも、伝えておきますね』
モモ
『よろしくー。お礼として三十分休憩券、プレゼントするね!』
タマモ
『いえ! せっかくの貢ぐ機会なので、買わせてください! 代わりと言ってはなんですが、そろそろ本格的にもふもふ教の設立に動きませんか?』
――――
タマモからの返信を見て、ぱちりと目を瞬く。
もふもふ教? それって、あれだ。僕がいつの間にか教祖兼アイドルになってたやつ。本気で宗教として設立させるつもりだったんだ?
「そういえば、領主さんからの許可がどうとか、言ってたっけ?」
この世界では、プレイヤーでも宗教団体を立ち上げることができる。そのためには領主(貴族)からの許可が必要らしい。
正直、そんなシステムいるのかな? って思ってたけど、タマモ的には歓迎するものだったんだろうなぁ。
宗教よりギルドとかクランとかの設立システムの方が需要があると思うんだけどねぇ。運営さんが考えること、よくわかんないや。
「たくさんお世話になってるし、僕もちゃんと動いた方がいいよね」
もふもふ教が設立されたところで、なにが変わるのか理解できてないけど、タマモたちが望んでるなら協力するのもやぶさかではない。
というわけで、第二の街の領主のご令嬢であるイザベラちゃんを通じて許可をもらえるようにする、と返信しておいた。
久々にお友だちのイザベラちゃんに会いたいし。お友だちと言えば、アリスちゃんも元気かなぁ?
「……ふむ。みんなでお茶会を企画しよう」
イザベラちゃんとアリスちゃんは年齢が近いし、仲良くなれる気がする。身分は違うけど、お友だちが増えるのは良いことのはず。
とりあえずイザベラちゃんとアリスちゃんに連絡してみる。
しばらく工房で作業をしながら待つと、二人から了承の返事がきた。『楽しみ!』という言葉を見ると、僕もわくわくしてくる。
そうとなれば、美味しいお菓子とお茶を準備するべきだよね。
よーし、がんばって作っちゃうぞ!
◇◆◇
農地で黄金林檎の様子を見たり、お店の最終確認をしたりと忙しくしていたら、あっという間に開店予定の時間が来た。
スラリンたちは、今日はイートインスペースでの接客をしてくれる。接客と言っても、決められた時間を超過して居座ることがないよう、監視みたいな役目だけど。
「もうそろそろ開店時間だよ。みんな、準備はいいかなー?」
「きゅぃ(いいともー!)」
「良いお返事ありがとー」
気合いいっぱいで鳴くスラリン、可愛いオブ可愛い。まぁ、僕も可愛さでは負けてないけどね!
「くるる(モモが一番可愛いよ)」
「ペタ、僕の心読んでる?」
「くまま(モモはわかりやすいからねー)」
「新事実発見……!」
僕って、ウサギの顔してるのに、そんなに表情に出てるかな?
もにもに、と頬を揉んでみる。ふわもちほっぺ、気持ちいいよ。
「――あ、新しいお菓子として『モモのほっぺ』っていうのを追加したんだ。ふわもちのフルーツ大福(桃)なんだよ。みんなにも後であげるから、休憩時間に一緒に食べようね」
たくさん売れると良いな~。
僕がにこにこと微笑んでたら、ユキマルがオギンと顔を見合わせてた。
「ぴぅ(即完売の予感がするね)」
「キュオ(取り置きしてもらってるみたいだから良かったわね。楽しみにしておきましょ)」
そんな会話を聞きながら、スラリンが「きゅぃ(ご褒美のためにがんばる!)」とさらに気合いを入れていた。
「くまま(チョコレートも欲しいなー)」
「わかった。ちゃんと用意しておくよ」
いつも通りなショコラの言葉に答えてから、玄関の扉を開ける。
途端にぎょっと目を見開いてしまった。
「――え、たくさん人がいる……!」
玄関アプローチの奥、門のところにたくさんの人の姿がある。僕を見て「きゃー」と歓声を上げてるから、お店のお客さんなのは間違いない。
これ、開店待ちされてた? 今まで静かだったから気づかなかったよ。
まだ予定時間にはなってないけど、もう開店しちゃえ!
「いらっしゃいませー。『うさぎの何でも屋二号店』本日開店でーす。イートインスペースもあるから、寛いでいってねー」
「はい! ありがとうございます! これ、お布施です!」
「お布施、とは……?」
先頭のお客さんに声をかけたら、近づいてきて、結婚式のご祝儀袋みたいなキラキラしたものを渡された。
きょとん、と固まっちゃう。
「ちょっと、モモさんを困らせないの! お布施なら、もふもふ教ができた後にたっぷりできるから! 今はアイテムを買って貢ぐのよ! この日のために集めてきたアイテムを買い取りカウンターに献上するのよ!」
ご祝儀を差し出した子の友だちらしき人が止めてくれた。
でも、その言葉もちょっとおかしいと思うのは僕だけ? 僕、もふもふ教ができたら、お布施としてお金受け取ることになるの?
「はっ! そうだった。ごめんなさいモモさん。アイテムを買って、モモさんを今以上の富豪に押し上げますね!」
「別に富豪になりたいわけじゃないんだけどね……?」
よくわかんないけど、楽しそうなのでスルーすることにした。うん、深く考えたらダメな気がするし。
「――とりあえず、お店楽しんでね。僕がテイムしてる子たちがイートインスペースで時々接客してくれるよ。利用上のルールは壁に張ってあるから気をつけてね」
「もちろんです! 掲示板でも周知されてましたし、問題ないですよ」
たくさん人が並んでることだし、店内に最初のお客さんを案内して、僕はイートインスペースの方に行く。
しばらくぬいぐるみの傍に座って、トラブルが起きないか見ておくつもりだ。
みんなキラキラした表情で可愛いなー。僕も嬉しくなっちゃう。
――――
モモ
『お店改装工事のお手伝いもしてくれたんだよね? ありがとー。協力してくれたみんなにもお礼を伝えてもらえる?』
タマモ
『お礼を言われるほどのことでは……! 私たちが早くお店に行きたかっただけですから。でも、伝えておきますね』
モモ
『よろしくー。お礼として三十分休憩券、プレゼントするね!』
タマモ
『いえ! せっかくの貢ぐ機会なので、買わせてください! 代わりと言ってはなんですが、そろそろ本格的にもふもふ教の設立に動きませんか?』
――――
タマモからの返信を見て、ぱちりと目を瞬く。
もふもふ教? それって、あれだ。僕がいつの間にか教祖兼アイドルになってたやつ。本気で宗教として設立させるつもりだったんだ?
「そういえば、領主さんからの許可がどうとか、言ってたっけ?」
この世界では、プレイヤーでも宗教団体を立ち上げることができる。そのためには領主(貴族)からの許可が必要らしい。
正直、そんなシステムいるのかな? って思ってたけど、タマモ的には歓迎するものだったんだろうなぁ。
宗教よりギルドとかクランとかの設立システムの方が需要があると思うんだけどねぇ。運営さんが考えること、よくわかんないや。
「たくさんお世話になってるし、僕もちゃんと動いた方がいいよね」
もふもふ教が設立されたところで、なにが変わるのか理解できてないけど、タマモたちが望んでるなら協力するのもやぶさかではない。
というわけで、第二の街の領主のご令嬢であるイザベラちゃんを通じて許可をもらえるようにする、と返信しておいた。
久々にお友だちのイザベラちゃんに会いたいし。お友だちと言えば、アリスちゃんも元気かなぁ?
「……ふむ。みんなでお茶会を企画しよう」
イザベラちゃんとアリスちゃんは年齢が近いし、仲良くなれる気がする。身分は違うけど、お友だちが増えるのは良いことのはず。
とりあえずイザベラちゃんとアリスちゃんに連絡してみる。
しばらく工房で作業をしながら待つと、二人から了承の返事がきた。『楽しみ!』という言葉を見ると、僕もわくわくしてくる。
そうとなれば、美味しいお菓子とお茶を準備するべきだよね。
よーし、がんばって作っちゃうぞ!
◇◆◇
農地で黄金林檎の様子を見たり、お店の最終確認をしたりと忙しくしていたら、あっという間に開店予定の時間が来た。
スラリンたちは、今日はイートインスペースでの接客をしてくれる。接客と言っても、決められた時間を超過して居座ることがないよう、監視みたいな役目だけど。
「もうそろそろ開店時間だよ。みんな、準備はいいかなー?」
「きゅぃ(いいともー!)」
「良いお返事ありがとー」
気合いいっぱいで鳴くスラリン、可愛いオブ可愛い。まぁ、僕も可愛さでは負けてないけどね!
「くるる(モモが一番可愛いよ)」
「ペタ、僕の心読んでる?」
「くまま(モモはわかりやすいからねー)」
「新事実発見……!」
僕って、ウサギの顔してるのに、そんなに表情に出てるかな?
もにもに、と頬を揉んでみる。ふわもちほっぺ、気持ちいいよ。
「――あ、新しいお菓子として『モモのほっぺ』っていうのを追加したんだ。ふわもちのフルーツ大福(桃)なんだよ。みんなにも後であげるから、休憩時間に一緒に食べようね」
たくさん売れると良いな~。
僕がにこにこと微笑んでたら、ユキマルがオギンと顔を見合わせてた。
「ぴぅ(即完売の予感がするね)」
「キュオ(取り置きしてもらってるみたいだから良かったわね。楽しみにしておきましょ)」
そんな会話を聞きながら、スラリンが「きゅぃ(ご褒美のためにがんばる!)」とさらに気合いを入れていた。
「くまま(チョコレートも欲しいなー)」
「わかった。ちゃんと用意しておくよ」
いつも通りなショコラの言葉に答えてから、玄関の扉を開ける。
途端にぎょっと目を見開いてしまった。
「――え、たくさん人がいる……!」
玄関アプローチの奥、門のところにたくさんの人の姿がある。僕を見て「きゃー」と歓声を上げてるから、お店のお客さんなのは間違いない。
これ、開店待ちされてた? 今まで静かだったから気づかなかったよ。
まだ予定時間にはなってないけど、もう開店しちゃえ!
「いらっしゃいませー。『うさぎの何でも屋二号店』本日開店でーす。イートインスペースもあるから、寛いでいってねー」
「はい! ありがとうございます! これ、お布施です!」
「お布施、とは……?」
先頭のお客さんに声をかけたら、近づいてきて、結婚式のご祝儀袋みたいなキラキラしたものを渡された。
きょとん、と固まっちゃう。
「ちょっと、モモさんを困らせないの! お布施なら、もふもふ教ができた後にたっぷりできるから! 今はアイテムを買って貢ぐのよ! この日のために集めてきたアイテムを買い取りカウンターに献上するのよ!」
ご祝儀を差し出した子の友だちらしき人が止めてくれた。
でも、その言葉もちょっとおかしいと思うのは僕だけ? 僕、もふもふ教ができたら、お布施としてお金受け取ることになるの?
「はっ! そうだった。ごめんなさいモモさん。アイテムを買って、モモさんを今以上の富豪に押し上げますね!」
「別に富豪になりたいわけじゃないんだけどね……?」
よくわかんないけど、楽しそうなのでスルーすることにした。うん、深く考えたらダメな気がするし。
「――とりあえず、お店楽しんでね。僕がテイムしてる子たちがイートインスペースで時々接客してくれるよ。利用上のルールは壁に張ってあるから気をつけてね」
「もちろんです! 掲示板でも周知されてましたし、問題ないですよ」
たくさん人が並んでることだし、店内に最初のお客さんを案内して、僕はイートインスペースの方に行く。
しばらくぬいぐるみの傍に座って、トラブルが起きないか見ておくつもりだ。
みんなキラキラした表情で可愛いなー。僕も嬉しくなっちゃう。
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