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6章 どたばた大騒動?
238.時には変わったお遊び
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第三の街がすっかり日常を取り戻した頃。
僕は変身ブレスレットを使って街を散策することにした。
人化した姿が僕だってバレないよう、屋敷の二階でこっそりと変身する。
見た目はもう決めてるんだ。
ミルクティーベージュのマッシュショートヘアに赤色の瞳。うさ耳は髪色と同じ。
子どもらしい容姿は、性別がわかりにくい。これくらい曖昧な方が魅力的でしょ。服もユニセックスな感じにしてみた。
ふふふ、僕ってミステリアス可愛い!
頭上に表示されるプレイヤー名は、変身ブレスレットの効果で変えられるらしい。というわけで、この姿は『タオ』という名前にした。中国語の桃から考えたよ。
「スラリン、見て見て~。僕、タオだよ~」
「きゅぃ(モモ――タオはどんな姿でも可愛いよ!)」
くるっと回って見せたら、全力で褒めてもらえた。スラリンたちにとっては、僕の見た目が変わろうと関係ないらしい。知らない人みたいに思われるのは嫌だったから良かった。
「ぴぅ(ボクも一緒に散策に行きたい)」
「んー、ユキマルたちと一緒だと、僕がモモだってバレちゃうから、今日はダメかなぁ」
「ぴっ!?」
断ったら、ユキマルが石のように固まった。ショックが大きかったみたいだ。
申し訳ないけど、今回は許してほしい。ユキマルたちの変身アイテムも見つかったら、一緒に散策できるんだけど。
「キュオ(私も?)」
「うん、ダメです。オギンは一番目立つよ」
一緒に散策することが多いオギンにしょんぼりとした感じで聞かれたけど、ダメなものはダメなんだ。銀雪狐をテイムしてるのはまだ僕だけだから、オギンは絶対連れて歩けない。
「――また、モモの時にみんなで街歩きしようね!」
うるうるな目で訴えられても、僕は負けないぞぉ。お土産をたくさん買ってくるから、許してほしい。
「きゅぃ……」
「それじゃあ、行ってくるね! お留守番、よろしくー」
意志が折れる前に、第三の街中心部に転移した。
途端に明るい喧騒に包まれて、気分が上向く。いつもと視点の高さが違って新鮮だ。
「おー、屋台が見やすいなぁ。桃饅頭美味しそう……」
「うちの桃饅頭は街一番だよ!」
早速近くの屋台でお菓子を購入。
ホカホカの桃饅頭は、ちょうどよい甘みで気分がほっこりする。
甘くなった口は、隣の屋台で買ったほうじ茶でリセット。香ばしいお茶は気持ちが和むねぇ。うまうま。
ほのぼのと味わってたら、他の屋台からも声を掛けられる。
「可愛い子ちゃん、フライドチキンはどうだい?」
「美味しそう! 一個くださーい」
「年末限定の柚子スパイス味だよ。年が明けたら別の味になるから、また食べに来ておくれ」
サクッとした衣に、少しピリッと爽やかなスパイスが掛かってて美味しい! 和風なフライドチキンもいいねぇ。
「聖夜は過ぎたけど、年末年始で特別なメニューが多いんだね?」
「そうさ! 新年は盛大に祝わないとね」
屋台のおじさんがにこやかに言う。
そういうものなのかぁ。僕は最近、初詣にもあんまり行ってないかも? いつの間にか年が明けてることも多いし。
来年はちゃんと行くかなぁ。
そんなことを考えながら、屋台で買い食いをしながら街を歩く。
一時間しか人の姿を保てないから、スラリンたちへのお土産をさっさと買って帰らないと。
「――ねぇ、もふもふ教の教会ができたら、新年のイベントするのかな? 初詣代わりに教会に行くのはあり?」
どこかから声が聞こえる。たぶんもふもふ教の人だ。
教会は年内にできあがる予定だから、新年のイベントをするのはいいかも。でも、リアルで初詣に行く代わりにはなるかな? 本物の神様はいないよ。
「最近、サイバー空間内初詣が流行ってるし、ありでしょ。癒やしを求めてなにが悪い。イベントは、タマモさんに聞いてみないとわからないけど」
「なにかしてくれたらいいねー」
「うん。でも、モモさんが新年早々ログインできるとは限らないし、ねだるのはやめておこうね」
「そっか。年末年始って、リアルで忙しい人もいるもんね」
もふもふ教の人って、いい人が多いなぁ。当たり前のように配慮してくれる。
僕は祖父母の家に帰省する予定もないし、ゲーム三昧で過ごすつもりだから、タマモにイベントを提案してみよう。
お餅つき大会とかどう? 新年のイベントってなにをしたら楽しいかなぁ。
「みんな、僕に気づかないのが、なんだか不思議……」
時々視線は感じるけど、モモとして過ごしてる時ほどじゃない。やっぱり天兎の姿は目立つんだなぁ。
こうして人目を気にせずのんびり散策できる時間も楽しいかも。
「なぁ、君」
「……ん? 僕?」
不意に掛けられた声をスルーしかけて立ち止まる。
にこりと笑った男の人はエルフのプレイヤーだ。見た目はルトと同じくらいの歳かな。
「そうそう。君、パーティ組んでる?」
「ううん」
「それなら、俺のとこ入らない? あんまり攻略進めてないけど、のんびり遊べるよ」
「んー……僕、一人で遊ぶの好きだから」
「そうなんだ? んじゃ、パーティ組みたくなったら声かけてよ。俺、リクっていうんだ」
フレンドになりかけて止まる。
さすがにこれをしたら、僕の本当のプレイヤー名がモモっていうことがバレちゃう。レイドイベントでさらに有名になったから、天兎のモモと結びつけられる可能性が高い。
「あー……また会えたら友だちになろう!」
「お? そっか。タオ、またな」
失礼な対応かもって思ったけど、リクはサラッと受け入れてくれた。ゲーム内じゃいろんな事情を持ってる人がいるから、深追いしないんだって。
いい人そうだし、モモとして会えたら、声を掛けてみよう。
その後も何度かパーティへの誘いを受ける。
普段は全然誘われないけど、それは僕がソロで遊ぶのを気に入ってるのが知れ渡っているからなのかも。
たまにはこうして誘われるのもちょっと嬉しいなぁ。
獣人の姿で過ごすと、これまでとは違った楽しみ方がある。
これはこれでいいけど、やっぱり天兎の姿で過ごす方が、僕はしっくりくるかな。
もうそろそろ変身終了時間になるし、屋敷に帰ろう。そして、スラリンたちと一緒に冒険に出発だ。
次はどんな楽しいことが起きるか考えると、ワクワクしちゃうね!
******
モモ
種族:天兎(29)
職業:魔術士(18)、錬金術士(10)
サブ職:テイマー(1)
冒険者ランク:E
称号:【あなたと仲良し】【採集ダイスキ】【スライムキングを尻に敷く】【愛し愛される者】【初物好き】【芸の道を行く者】【解き放つ者】【友だちたくさん】【もふもふ教・教祖兼アイドル】【世話焼き】【開放王】【希少種集め】【迷走中】【釣り上手】【爆弾魔】【神の名を持つ者】【フラグ破壊者】
【ステータス】〈〉内は装備・テイムモンスターによる変化値。
体力:196
魔力:232
物理攻撃力:38〈+20〉
魔力攻撃力:46〈+35〉
防御力:51〈+23〉
器用さ:21
精神力:20〈+12〉
素早さ:34
幸運値:21〈+25〉
〈スキル〉スキルリスト;3
◯パッシブスキル
魔力攻撃力強化、魔術詠唱速度向上、魔力自動回復、体力自動回復、決死の覚悟、自由曲芸、神級栽培、詠唱破棄、ターン
◯戦闘系
火魔術(3)
火の玉、火の矢、火炎放射
水魔術(2)
水の玉、水の槍
風魔術(2)
風の玉、風の槍
木魔術(3)
木の玉、木の罠、木の鞭
土魔術(2)
土の玉、土の槍
歌唱(2)——意気高揚、回復効果アップ
飛翔(5)、聴覚鋭敏、テイム(2)、召喚(4)、気配察知(6)、見切り、回避(4)、花舞、泥遊び(1)、ステップ、ジャンプ、足蹴、嵐蹴り、投擲(4)、ステルス
◯耐性系
麻痺耐性(1)、笑撃耐性(1)、毒耐性(1)、混乱耐性(1)
◯回復系
天からの祝福(3)、天の祈り(3)、天からの光梯子(1)
◯収集系
採集(5)、採掘(3)、釣り(4)、全鑑定(3)、特殊採集(1)
◯生産系
錬金術二級
宝石強化
料理(4)
1.焼く、煮る、揚げる
2.混ぜる、オーブン焼き、燻製
3.炊く、冷やす、成形
4.発酵、淹れる、伸ばす
調薬
◯遊び系
跳び芸、玉乗り、毛繕い
僕は変身ブレスレットを使って街を散策することにした。
人化した姿が僕だってバレないよう、屋敷の二階でこっそりと変身する。
見た目はもう決めてるんだ。
ミルクティーベージュのマッシュショートヘアに赤色の瞳。うさ耳は髪色と同じ。
子どもらしい容姿は、性別がわかりにくい。これくらい曖昧な方が魅力的でしょ。服もユニセックスな感じにしてみた。
ふふふ、僕ってミステリアス可愛い!
頭上に表示されるプレイヤー名は、変身ブレスレットの効果で変えられるらしい。というわけで、この姿は『タオ』という名前にした。中国語の桃から考えたよ。
「スラリン、見て見て~。僕、タオだよ~」
「きゅぃ(モモ――タオはどんな姿でも可愛いよ!)」
くるっと回って見せたら、全力で褒めてもらえた。スラリンたちにとっては、僕の見た目が変わろうと関係ないらしい。知らない人みたいに思われるのは嫌だったから良かった。
「ぴぅ(ボクも一緒に散策に行きたい)」
「んー、ユキマルたちと一緒だと、僕がモモだってバレちゃうから、今日はダメかなぁ」
「ぴっ!?」
断ったら、ユキマルが石のように固まった。ショックが大きかったみたいだ。
申し訳ないけど、今回は許してほしい。ユキマルたちの変身アイテムも見つかったら、一緒に散策できるんだけど。
「キュオ(私も?)」
「うん、ダメです。オギンは一番目立つよ」
一緒に散策することが多いオギンにしょんぼりとした感じで聞かれたけど、ダメなものはダメなんだ。銀雪狐をテイムしてるのはまだ僕だけだから、オギンは絶対連れて歩けない。
「――また、モモの時にみんなで街歩きしようね!」
うるうるな目で訴えられても、僕は負けないぞぉ。お土産をたくさん買ってくるから、許してほしい。
「きゅぃ……」
「それじゃあ、行ってくるね! お留守番、よろしくー」
意志が折れる前に、第三の街中心部に転移した。
途端に明るい喧騒に包まれて、気分が上向く。いつもと視点の高さが違って新鮮だ。
「おー、屋台が見やすいなぁ。桃饅頭美味しそう……」
「うちの桃饅頭は街一番だよ!」
早速近くの屋台でお菓子を購入。
ホカホカの桃饅頭は、ちょうどよい甘みで気分がほっこりする。
甘くなった口は、隣の屋台で買ったほうじ茶でリセット。香ばしいお茶は気持ちが和むねぇ。うまうま。
ほのぼのと味わってたら、他の屋台からも声を掛けられる。
「可愛い子ちゃん、フライドチキンはどうだい?」
「美味しそう! 一個くださーい」
「年末限定の柚子スパイス味だよ。年が明けたら別の味になるから、また食べに来ておくれ」
サクッとした衣に、少しピリッと爽やかなスパイスが掛かってて美味しい! 和風なフライドチキンもいいねぇ。
「聖夜は過ぎたけど、年末年始で特別なメニューが多いんだね?」
「そうさ! 新年は盛大に祝わないとね」
屋台のおじさんがにこやかに言う。
そういうものなのかぁ。僕は最近、初詣にもあんまり行ってないかも? いつの間にか年が明けてることも多いし。
来年はちゃんと行くかなぁ。
そんなことを考えながら、屋台で買い食いをしながら街を歩く。
一時間しか人の姿を保てないから、スラリンたちへのお土産をさっさと買って帰らないと。
「――ねぇ、もふもふ教の教会ができたら、新年のイベントするのかな? 初詣代わりに教会に行くのはあり?」
どこかから声が聞こえる。たぶんもふもふ教の人だ。
教会は年内にできあがる予定だから、新年のイベントをするのはいいかも。でも、リアルで初詣に行く代わりにはなるかな? 本物の神様はいないよ。
「最近、サイバー空間内初詣が流行ってるし、ありでしょ。癒やしを求めてなにが悪い。イベントは、タマモさんに聞いてみないとわからないけど」
「なにかしてくれたらいいねー」
「うん。でも、モモさんが新年早々ログインできるとは限らないし、ねだるのはやめておこうね」
「そっか。年末年始って、リアルで忙しい人もいるもんね」
もふもふ教の人って、いい人が多いなぁ。当たり前のように配慮してくれる。
僕は祖父母の家に帰省する予定もないし、ゲーム三昧で過ごすつもりだから、タマモにイベントを提案してみよう。
お餅つき大会とかどう? 新年のイベントってなにをしたら楽しいかなぁ。
「みんな、僕に気づかないのが、なんだか不思議……」
時々視線は感じるけど、モモとして過ごしてる時ほどじゃない。やっぱり天兎の姿は目立つんだなぁ。
こうして人目を気にせずのんびり散策できる時間も楽しいかも。
「なぁ、君」
「……ん? 僕?」
不意に掛けられた声をスルーしかけて立ち止まる。
にこりと笑った男の人はエルフのプレイヤーだ。見た目はルトと同じくらいの歳かな。
「そうそう。君、パーティ組んでる?」
「ううん」
「それなら、俺のとこ入らない? あんまり攻略進めてないけど、のんびり遊べるよ」
「んー……僕、一人で遊ぶの好きだから」
「そうなんだ? んじゃ、パーティ組みたくなったら声かけてよ。俺、リクっていうんだ」
フレンドになりかけて止まる。
さすがにこれをしたら、僕の本当のプレイヤー名がモモっていうことがバレちゃう。レイドイベントでさらに有名になったから、天兎のモモと結びつけられる可能性が高い。
「あー……また会えたら友だちになろう!」
「お? そっか。タオ、またな」
失礼な対応かもって思ったけど、リクはサラッと受け入れてくれた。ゲーム内じゃいろんな事情を持ってる人がいるから、深追いしないんだって。
いい人そうだし、モモとして会えたら、声を掛けてみよう。
その後も何度かパーティへの誘いを受ける。
普段は全然誘われないけど、それは僕がソロで遊ぶのを気に入ってるのが知れ渡っているからなのかも。
たまにはこうして誘われるのもちょっと嬉しいなぁ。
獣人の姿で過ごすと、これまでとは違った楽しみ方がある。
これはこれでいいけど、やっぱり天兎の姿で過ごす方が、僕はしっくりくるかな。
もうそろそろ変身終了時間になるし、屋敷に帰ろう。そして、スラリンたちと一緒に冒険に出発だ。
次はどんな楽しいことが起きるか考えると、ワクワクしちゃうね!
******
モモ
種族:天兎(29)
職業:魔術士(18)、錬金術士(10)
サブ職:テイマー(1)
冒険者ランク:E
称号:【あなたと仲良し】【採集ダイスキ】【スライムキングを尻に敷く】【愛し愛される者】【初物好き】【芸の道を行く者】【解き放つ者】【友だちたくさん】【もふもふ教・教祖兼アイドル】【世話焼き】【開放王】【希少種集め】【迷走中】【釣り上手】【爆弾魔】【神の名を持つ者】【フラグ破壊者】
【ステータス】〈〉内は装備・テイムモンスターによる変化値。
体力:196
魔力:232
物理攻撃力:38〈+20〉
魔力攻撃力:46〈+35〉
防御力:51〈+23〉
器用さ:21
精神力:20〈+12〉
素早さ:34
幸運値:21〈+25〉
〈スキル〉スキルリスト;3
◯パッシブスキル
魔力攻撃力強化、魔術詠唱速度向上、魔力自動回復、体力自動回復、決死の覚悟、自由曲芸、神級栽培、詠唱破棄、ターン
◯戦闘系
火魔術(3)
火の玉、火の矢、火炎放射
水魔術(2)
水の玉、水の槍
風魔術(2)
風の玉、風の槍
木魔術(3)
木の玉、木の罠、木の鞭
土魔術(2)
土の玉、土の槍
歌唱(2)——意気高揚、回復効果アップ
飛翔(5)、聴覚鋭敏、テイム(2)、召喚(4)、気配察知(6)、見切り、回避(4)、花舞、泥遊び(1)、ステップ、ジャンプ、足蹴、嵐蹴り、投擲(4)、ステルス
◯耐性系
麻痺耐性(1)、笑撃耐性(1)、毒耐性(1)、混乱耐性(1)
◯回復系
天からの祝福(3)、天の祈り(3)、天からの光梯子(1)
◯収集系
採集(5)、採掘(3)、釣り(4)、全鑑定(3)、特殊採集(1)
◯生産系
錬金術二級
宝石強化
料理(4)
1.焼く、煮る、揚げる
2.混ぜる、オーブン焼き、燻製
3.炊く、冷やす、成形
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調薬
◯遊び系
跳び芸、玉乗り、毛繕い
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