もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
225 / 555
6章 どたばた大騒動?

238.時には変わったお遊び

しおりを挟む
 第三の街がすっかり日常を取り戻した頃。
 僕は変身ブレスレットを使って街を散策することにした。

 人化した姿が僕だってバレないよう、屋敷の二階でこっそりと変身する。
 見た目はもう決めてるんだ。

 ミルクティーベージュのマッシュショートヘアに赤色の瞳。うさ耳は髪色と同じ。
 子どもらしい容姿は、性別がわかりにくい。これくらい曖昧な方が魅力的でしょ。服もユニセックスな感じにしてみた。
 ふふふ、僕ってミステリアス可愛い!

 頭上に表示されるプレイヤー名は、変身ブレスレットの効果で変えられるらしい。というわけで、この姿は『タオ』という名前にした。中国語の桃から考えたよ。

「スラリン、見て見て~。僕、タオだよ~」
「きゅぃ(モモ――タオはどんな姿でも可愛いよ!)」

 くるっと回って見せたら、全力で褒めてもらえた。スラリンたちにとっては、僕の見た目が変わろうと関係ないらしい。知らない人みたいに思われるのは嫌だったから良かった。

「ぴぅ(ボクも一緒に散策に行きたい)」
「んー、ユキマルたちと一緒だと、僕がモモだってバレちゃうから、今日はダメかなぁ」
「ぴっ!?」

 断ったら、ユキマルが石のように固まった。ショックが大きかったみたいだ。
 申し訳ないけど、今回は許してほしい。ユキマルたちの変身アイテムも見つかったら、一緒に散策できるんだけど。

「キュオ(私も?)」
「うん、ダメです。オギンは一番目立つよ」

 一緒に散策することが多いオギンにしょんぼりとした感じで聞かれたけど、ダメなものはダメなんだ。銀雪狐シルネジューロをテイムしてるのはまだ僕だけだから、オギンは絶対連れて歩けない。

「――また、モモの時にみんなで街歩きしようね!」

 うるうるな目で訴えられても、僕は負けないぞぉ。お土産をたくさん買ってくるから、許してほしい。

「きゅぃ……」
「それじゃあ、行ってくるね! お留守番、よろしくー」

 意志が折れる前に、第三の街中心部に転移した。
 途端に明るい喧騒に包まれて、気分が上向く。いつもと視点の高さが違って新鮮だ。

「おー、屋台が見やすいなぁ。桃饅頭美味しそう……」
「うちの桃饅頭は街一番だよ!」

 早速近くの屋台でお菓子を購入。
 ホカホカの桃饅頭は、ちょうどよい甘みで気分がほっこりする。
 甘くなった口は、隣の屋台で買ったほうじ茶でリセット。香ばしいお茶は気持ちが和むねぇ。うまうま。
 ほのぼのと味わってたら、他の屋台からも声を掛けられる。

「可愛い子ちゃん、フライドチキンはどうだい?」
「美味しそう! 一個くださーい」
「年末限定の柚子スパイス味だよ。年が明けたら別の味になるから、また食べに来ておくれ」

 サクッとした衣に、少しピリッと爽やかなスパイスが掛かってて美味しい! 和風なフライドチキンもいいねぇ。

「聖夜は過ぎたけど、年末年始で特別なメニューが多いんだね?」
「そうさ! 新年は盛大に祝わないとね」

 屋台のおじさんがにこやかに言う。
 そういうものなのかぁ。僕は最近、初詣にもあんまり行ってないかも? いつの間にか年が明けてることも多いし。
 来年はちゃんと行くかなぁ。

 そんなことを考えながら、屋台で買い食いをしながら街を歩く。
 一時間しか人の姿を保てないから、スラリンたちへのお土産をさっさと買って帰らないと。

「――ねぇ、もふもふ教の教会ができたら、新年のイベントするのかな? 初詣代わりに教会に行くのはあり?」

 どこかから声が聞こえる。たぶんもふもふ教の人だ。
 教会は年内にできあがる予定だから、新年のイベントをするのはいいかも。でも、リアルで初詣に行く代わりにはなるかな? 本物の神様はいないよ。

「最近、サイバー空間内初詣が流行ってるし、ありでしょ。癒やしを求めてなにが悪い。イベントは、タマモさんに聞いてみないとわからないけど」
「なにかしてくれたらいいねー」
「うん。でも、モモさんが新年早々ログインできるとは限らないし、ねだるのはやめておこうね」
「そっか。年末年始って、リアルで忙しい人もいるもんね」

 もふもふ教の人って、いい人が多いなぁ。当たり前のように配慮してくれる。
 僕は祖父母の家に帰省する予定もないし、ゲーム三昧で過ごすつもりだから、タマモにイベントを提案してみよう。
 お餅つき大会とかどう? 新年のイベントってなにをしたら楽しいかなぁ。

「みんな、僕に気づかないのが、なんだか不思議……」

 時々視線は感じるけど、モモとして過ごしてる時ほどじゃない。やっぱり天兎アンジュラパの姿は目立つんだなぁ。
 こうして人目を気にせずのんびり散策できる時間も楽しいかも。

「なぁ、君」
「……ん? 僕?」

 不意に掛けられた声をスルーしかけて立ち止まる。
 にこりと笑った男の人はエルフのプレイヤーだ。見た目はルトと同じくらいの歳かな。

「そうそう。君、パーティ組んでる?」
「ううん」
「それなら、俺のとこ入らない? あんまり攻略進めてないけど、のんびり遊べるよ」
「んー……僕、一人で遊ぶの好きだから」
「そうなんだ? んじゃ、パーティ組みたくなったら声かけてよ。俺、リクっていうんだ」

 フレンドになりかけて止まる。
 さすがにこれをしたら、僕の本当のプレイヤー名がモモっていうことがバレちゃう。レイドイベントでさらに有名になったから、天兎アンジュラパのモモと結びつけられる可能性が高い。

「あー……また会えたら友だちになろう!」
「お? そっか。タオ、またな」

 失礼な対応かもって思ったけど、リクはサラッと受け入れてくれた。ゲーム内じゃいろんな事情を持ってる人がいるから、深追いしないんだって。
 いい人そうだし、モモとして会えたら、声を掛けてみよう。

 その後も何度かパーティへの誘いを受ける。
 普段は全然誘われないけど、それは僕がソロで遊ぶのを気に入ってるのが知れ渡っているからなのかも。
 たまにはこうして誘われるのもちょっと嬉しいなぁ。

 獣人の姿で過ごすと、これまでとは違った楽しみ方がある。
 これはこれでいいけど、やっぱり天兎アンジュラパの姿で過ごす方が、僕はしっくりくるかな。

 もうそろそろ変身終了時間になるし、屋敷に帰ろう。そして、スラリンたちと一緒に冒険に出発だ。
 次はどんな楽しいことが起きるか考えると、ワクワクしちゃうね!


******

モモ
種族:天兎アンジュラパ(29)
職業:魔術士(18)、錬金術士(10)
サブ職:テイマー(1)
冒険者ランク:E
称号:【あなたと仲良し】【採集ダイスキ】【スライムキングを尻に敷く】【愛し愛される者】【初物好き】【芸の道を行く者】【解き放つ者】【友だちたくさん】【もふもふ教・教祖兼アイドル】【世話焼き】【開放王】【希少種集め】【迷走中】【釣り上手】【爆弾魔】【神の名を持つ者】【フラグ破壊者】

【ステータス】〈〉内は装備・テイムモンスターによる変化値。
体力:196
魔力:232
物理攻撃力:38〈+20〉
魔力攻撃力:46〈+35〉
防御力:51〈+23〉
器用さ:21
精神力:20〈+12〉
素早さ:34
幸運値:21〈+25〉

〈スキル〉スキルリスト;3
◯パッシブスキル
魔力攻撃力強化、魔術詠唱速度向上、魔力自動回復、体力自動回復、決死の覚悟、自由曲芸、神級栽培、詠唱破棄、ターン


◯戦闘系
火魔術(3)
 火の玉ファイアーボール火の矢ファイアーアロー火炎放射フレイムラジエーション
水魔術(2)
 水の玉ウォーターボール水の槍ウォーターランス
風魔術(2)
 風の玉ウィンドボール風の槍ウィンドランス
木魔術(3)
 木の玉ウッドボール木の罠ウッドトラップ木の鞭ウッドウィップ
土魔術(2)
 土の玉アースボール土の槍アースランス
歌唱(2)——意気高揚、回復効果アップ
飛翔フライ(5)、聴覚鋭敏、テイム(2)、召喚(4)、気配察知(6)、見切り、回避(4)、花舞、泥遊び(1)、ステップ、ジャンプ、足蹴、嵐蹴り、投擲(4)、ステルス

◯耐性系
麻痺耐性(1)、笑撃耐性(1)、毒耐性(1)、混乱耐性(1)

◯回復系
天からの祝福アンジュブレス(3)、天の祈りアンジュプレ(3)、天からの光梯子アンジュレイラダー(1)

◯収集系
採集(5)、採掘(3)、釣り(4)、全鑑定(3)、特殊採集(1)

◯生産系
錬金術二級
宝石強化
料理(4)
 1.焼く、煮る、揚げる
 2.混ぜる、オーブン焼き、燻製
 3.炊く、冷やす、成形
 4.発酵、淹れる、伸ばす
調薬

◯遊び系
跳び芸、玉乗り、毛繕い
しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。