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ゆるり

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モモの年末年始

年末のご挨拶です①

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 イベントが終わって、またのんびりとした日常が始まった――はずだけど、ちょっぴり忙しない空気を感じるのは年末だからかな?

 オギンに乗って街中を散策しながら、スラリンに問いかける。

「スラリン、年末ってなにをしたらいいの?」
「きゅぃ?(普段と違うことをするものなの?)」
「んー……そうとも限らない?」

 そもそもスラリンは一年が終わるってなにそれ? って感じらしい。モンスターには関係ないもんね。

「キュオ(今年お世話になった人にご挨拶とかは?)」
「オギンはどこでそんな知識を……?」
「キュオ(私を撫でる子たちが言ってたわ)」
「なるほど、もふもふ教」

 オギンの言葉に、心から納得した。
 オギンたちはお店でたくさんの人に可愛がられてるから、いろんな話を聞くんだろうね。

 お世話になった人に挨拶回りするのはいいかも?
 タマモと相談して、年始でちょっとしたイベントをすることが決まったし、挨拶する時間の余裕は今が一番あるし。

「それじゃあ、挨拶に行こう! あ、手土産も必要だね。まずは屋敷に戻って作らなきゃ」

 なにを作ろうかなー。喜んでもらえるものがいいなー。

「くまま(チョコがいい)」
「ショコラにあげるんじゃないよ?」
「くま……(くれないの?)」
「あげますとも!」

 しょんぼりとしたショコラに、反射的に返事をしていた。

「キュオ(私はお肉がいいわー)」
「了解です」

 僕はテイムモンスターたちに弱いのです。いつも助けられてるからしかたないね!


◇◆◇ 


 スラリンたちと一緒に楽しく食べて飲んでから、作ったお土産を持って挨拶回り開始。

 最初はアリスちゃん。

「こーんにーちはー」
「お、モモ、どうしたんだ? また納品か?」

 はじまりの街の家に向かったら、ランドさんに迎え入れられた。
 会うのは、依頼されてた【滋養草】を納品した時以来かな? 【持続回復薬】のレシピをもらえて、早速お店で売ってるんだよー。実はその薬はレイドイベントで活躍してた。

「ううん、ランドさんが必要なら売るけど、今日は今年お世話になったお礼を言いに来たんだよ」
「普段の自由気ままっぷりからは考えられないほど律儀だな。ついでに売ってけ」
「僕だって、ちゃんとしてる時もあるんだもん!」

 プンプンと怒ったフリをしてみせながら、薬草などを納品していく。お金をいっぱいもらえた。
 そうこうしてたら、アリスちゃんが二階からおりてくる。今日はシフォンのふんわりワンピースを着てて可愛い。

「モモ、こんにちは!」
「アリスちゃん、こんにちはー。今年は大変お世話になりました。これランドさんと一緒に食べてね」

 お土産は焼き菓子セットです。アリスちゃんといえばお茶会だなって思って。

「わーおいしそう。ありがとう!」

 にこにこ笑顔のアリスちゃんを見れて僕も嬉しい。

「アリスちゃんは、この世界で一番最初に仲良くなった友だちだから、特別なんだよ。来年もよろしくね」
「っ、私も、モモはとくべつ! またいっしょに遊ぼうね!」

 ぎゅっと抱きしめられて、僕も「わーい」とはしゃぎながら抱きしめる。
 ランドさんが羨ましそうにしてるのは気にしない。仲良しな友だちなんだから、これくらい許してね。

「モモ、ありがとな。これ、俺とアリスからだ。受けとってくれ」
「なぁに?」

 アリスちゃんから離れたところで、ランドさんがなにかを投げてきた。慌ててキャッチして確認する。

「――【幸運守り】?」
「ああ。持ってると、ちょっとだけ良いことがあるらしい」
「もらっていいの?」
「モモのために用意したからな」

 神社でもらえるような刺繍がされたお守り。ピンク色で可愛い。
 ちょっとだけ良いことってどんなのだろう? 楽しみだなぁ。

「ありがとう! 大切にするね」
「おう。また来いよ。薬草はいつでも売りに来ていいからな」
「うん、良い薬草育てるね!」

 アリスちゃんとランドさんとの挨拶が終わって、にゃんちゃんと戯れてから次の場所に移動。

 カミラは今時間がないみたいだし、ルトたちには後で会う予定だから飛ばして、酒場のレストさんやガットさんにご挨拶。

 お土産に虎柄海老タイガーエビのアヒージョやグラタンなど、お酒のツマミになりそうなものを贈った。お返しに生ハムの塊をもらっちゃったよ。生ハム好きー。桃と一緒に食べるのも甘じょっぱくて美味しいんだよ!

 その後に向かうのは錬金術の師匠であるレナードさんだ。

「師匠ー、愛弟子が会いに来たよー」
「自分で愛弟子言うな」

 ちょっと呆れた感じだったけど、いつも通り工房に通された。
 お土産はちょっと貴重な素材で作ったアクセサリーです。

「今年お世話になったお礼に、【匠のブレスレット】を作ってきたんだ。レナードさんなら自分で作って持ってるかもしれないけど、たまに使ってくれたら嬉しいな」

 このブレスレットは器用さが上がる効果があるから、きっとレナードさんの役に立つはず。
 喜んでもらえるか、ちょっと不安になりながら様子を窺った。

「……ほー、良い出来だな。使わせてもらうよ」

 ブレスレットを受け取ったレナードさんは、驚いた表情を笑顔に変えて、優しい声音で褒めてくれた。嬉しくって、自然と笑みがこぼれちゃう。

「むふふー、喜んでもらえたなら良かった!」
「ああ。――代わりと言っちゃあなんだが、これをやるよ」

 レナードさんから巻いてある布を渡された。広げてみると、見慣れた模様と似た柄が現れる。

「これ、錬金布?」
「そうだ。モモの能力なら、そろそろ四種類同時に錬金できるだろ? これを使ってさらに精進しろよ」

 デフォルメされた四角形が描かれた錬金布。僕の成長の証だ。
 レナードさんに錬金術士としての能力を認められてることが伝わってきて、体中に喜びが満ちる。溢れ出しそうな感情を伝えるために、レナードさんにぎゅっと抱きついた。

「うん、がんばる! 僕、もっとすごい錬金術士になるからね!」
「はは、すでにすごいって噂を聞いてるけどな」

 頭を撫でられて、くふくふ笑う。
 レナードさんの弟子になれて、すっごく幸せだよ。

******

本日(12/31)18時にも更新します!
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