261 / 555
7章 世界が広がっていくよ
263.熱いのやだー
しおりを挟む
そこは炎で溢れた空間だった。広々とした岩の空間に溶岩の池がたくさんあって、何度もボワッと火を噴いてる。
「あちちっ!」
ブワッと押し寄せてくる熱い空気に、思わず後ずさった。後ろには壁があったから、ぶつかっちゃって痛い。
「くまま(あれ、なにー?)」
前にいたショコラが、首を傾げてる。なにを指してるかは明白だ。
「……鳥、かな?」
空間の中央に炎を纏った鳥のようなモンスターが佇んでる。見るからに強そう。
——————
【炎獄鳥】
火属性のモンスター。高い攻撃力と素早さが特徴。
——————
情報少ない!
これ、全鑑定スキルのレベルが足りてないのかな? 鍛えた方がいいかもー。
「みんな、攻撃準備! 相手は火属性だから、ペタの水攻撃、頼りにしてるよー」
「くるる(消火ー)」
「なんか違う気がするけど、まぁいいや。周りの溶岩も気をつけてね」
炎獄鳥がギロッと僕たちを睨む。怖い!
内心でヒェッとなりながら、水魔術を用意する。炎獄鳥相手に火魔術を鍛える余裕はないもん。
「くるる(水噴射ー)」
「【水の槍】!」
ペタと僕のスキルが炎獄鳥に直撃した。
でも、体力の減り方少なすぎる!
「えー!? 水が弱点じゃないの?」
びっくりしちゃう。スラリンたちも戦い始めてちょっとだけ余裕ができたから、他の魔術を試してみた。
——結論。一番効くのはやっぱり水魔術だった。炎獄鳥の防御力が高かっただけみたい。
だけって言っても、それが厄介なんだけどねー!
「ひたすら攻撃するしかないか……っ、うわっ!?」
突然、大量の火が降り注いできた。慌てて逃げ惑う。かすったら、結構体力削られちゃったよぉ。
「きゅぴっ(あちちっ!)」
「ぴぅ(回復!)」
体力が半分削れたスラリンを、ユキマルが回復させる。
ペタは向かってきた火に水を噴射して相殺したようだ。ショコラは岩を操作して盾にしてる。
ナッティは——
「……え、ズルくない?」
「きゅーきゅい(私にこのバトルは合わないわ……)」
ショコラの背後に隠れているナッティを、思わずジトッと見ちゃった。僕もそこにいたいー!
でも、今のナッティではまともに戦えない相手なのも事実。
「んー、交代しよっか」
「きゅーきゅい(そうしてちょうだい)」
少し悔しそうに頷いたナッティに、「ここまでありがとー」と声をかけて帰還させる。
オギンとピア、どっちを喚ぼうかなー?
時折放たれる火や凄い勢いで突撃してくる炎獄鳥を回避し、水魔術で攻撃しながら悩む。
「——ピアにしよう!」
暑い空間に氷属性のオギンを喚んだら可哀想な気がした。火属性には弱いはずだし。
「【召喚】ピア」
「もふ~……もふ(ぽかぽか?)」
「そのレベルの暑さじゃなくない?」
楽しそうに宙を浮くピアに苦笑する。
さすが強いモンスターだなぁ。その余裕が羨ましいかも。
「きゅぃー(やだー!)」
「スラリン、危ない!」
叫び声が聞こえて慌てて視線を向けたら、スラリンが火の直撃を受けそうになってた。
「もふっ」
「きゅぃ……? きゅっ(ありがと!)」
僕が水魔術を放つ前に、分裂したピアがスラリンの代わりに火を受け止めた。
おー、すごい! そういう戦い方もできるのかぁ。
「あ、でも、さすがにダメージくらってる……」
ピアの体力が少し削られていた。分裂体が攻撃を受けてもダメージを負うんだね。多少弾き返してるし、防御力が高いから、僕たちほどの影響はないみたいだけど。
「ぴぅ(回復!)」
「もふー(ありがとー)」
ユキマルのおかげですぐさまピアが全快になる。
「炎獄鳥の体力、もうすぐ半分になるよー。もうちょっとがんばろう!」
「くままー」
僕たちが気合いを入れ直したところで、炎獄鳥の様子が少し変わる。纏ってる炎がさらに大きくなってるような……?
「ギュアーッ!」
「ふぎゃ!?」
炎獄鳥が大きく羽ばたいた瞬間、大量の燃える羽根が勢いよく飛んできた。避けきれないっ!
熱を感じた次の瞬間に、壁の方まで吹き飛ばされる。溶岩に落ちなくて良かったー!
「きゅぃ……」
「ぴぅ、っ(範囲回復)」
僕やスラリン、ユキマルは体力が半分以下になってたけど、なんとか少し回復する。
こんなに攻撃受けたの初めてかも。また同じ攻撃を受けたらヤバい。死に戻りしたくないよぉ。
「ギュアーッ!」
「のわっ」
畳み掛けるように炎獄鳥が火を吹く。さっきと違ってフィールド全体を攻撃したわけじゃなかったから、なんとか避けられた。
「くまま(岩槍ー)」
「くるる(水噴射ー)」
「きゅぃ(岩を発射するよー!)」
「ぴぅ(謎光線)」
それぞれが攻撃を仕掛ける中、僕も水魔術を放つ。
ついでに、回復薬を使い、スラリンたちにも投げた。何度も火が降り注いでくるから、回復を怠ったら負けちゃいそう。
「もふー!」
炎獄鳥の体力が三分の一以下になったところで、僕らを庇って攻撃を受けてくれていたピアが、珍しく怒ったような声を上げる。
「ピア?」
「もっふー(みんなをいじめるなんて、きらいー!)」
ピアからブワッと圧力が溢れた。
これは、もしかして——?
「ギュアー……」
衝撃波を受けた様子で後退した炎獄鳥の姿が、光となって消えていく。
〈〈東の鉱山ダンジョン・火のボス【炎獄鳥】がプレイヤーによって初めて倒されました〉〉
やっぱり即死攻撃だったー! 三分の一まで体力を削ってからスキルを使ったのは、そういう仕様かな?
というか、ワールドアナウンス……これ、騒ぎになってそう。
なにはともあれ——
「ピア、ぐっじょぶ!」
「もふ~」
のほほんとした様子だけを見てたら、つよつよモンスターだとは思えないんだけどねぇ。ほんと、いざという時に頼もしい!
「あちちっ!」
ブワッと押し寄せてくる熱い空気に、思わず後ずさった。後ろには壁があったから、ぶつかっちゃって痛い。
「くまま(あれ、なにー?)」
前にいたショコラが、首を傾げてる。なにを指してるかは明白だ。
「……鳥、かな?」
空間の中央に炎を纏った鳥のようなモンスターが佇んでる。見るからに強そう。
——————
【炎獄鳥】
火属性のモンスター。高い攻撃力と素早さが特徴。
——————
情報少ない!
これ、全鑑定スキルのレベルが足りてないのかな? 鍛えた方がいいかもー。
「みんな、攻撃準備! 相手は火属性だから、ペタの水攻撃、頼りにしてるよー」
「くるる(消火ー)」
「なんか違う気がするけど、まぁいいや。周りの溶岩も気をつけてね」
炎獄鳥がギロッと僕たちを睨む。怖い!
内心でヒェッとなりながら、水魔術を用意する。炎獄鳥相手に火魔術を鍛える余裕はないもん。
「くるる(水噴射ー)」
「【水の槍】!」
ペタと僕のスキルが炎獄鳥に直撃した。
でも、体力の減り方少なすぎる!
「えー!? 水が弱点じゃないの?」
びっくりしちゃう。スラリンたちも戦い始めてちょっとだけ余裕ができたから、他の魔術を試してみた。
——結論。一番効くのはやっぱり水魔術だった。炎獄鳥の防御力が高かっただけみたい。
だけって言っても、それが厄介なんだけどねー!
「ひたすら攻撃するしかないか……っ、うわっ!?」
突然、大量の火が降り注いできた。慌てて逃げ惑う。かすったら、結構体力削られちゃったよぉ。
「きゅぴっ(あちちっ!)」
「ぴぅ(回復!)」
体力が半分削れたスラリンを、ユキマルが回復させる。
ペタは向かってきた火に水を噴射して相殺したようだ。ショコラは岩を操作して盾にしてる。
ナッティは——
「……え、ズルくない?」
「きゅーきゅい(私にこのバトルは合わないわ……)」
ショコラの背後に隠れているナッティを、思わずジトッと見ちゃった。僕もそこにいたいー!
でも、今のナッティではまともに戦えない相手なのも事実。
「んー、交代しよっか」
「きゅーきゅい(そうしてちょうだい)」
少し悔しそうに頷いたナッティに、「ここまでありがとー」と声をかけて帰還させる。
オギンとピア、どっちを喚ぼうかなー?
時折放たれる火や凄い勢いで突撃してくる炎獄鳥を回避し、水魔術で攻撃しながら悩む。
「——ピアにしよう!」
暑い空間に氷属性のオギンを喚んだら可哀想な気がした。火属性には弱いはずだし。
「【召喚】ピア」
「もふ~……もふ(ぽかぽか?)」
「そのレベルの暑さじゃなくない?」
楽しそうに宙を浮くピアに苦笑する。
さすが強いモンスターだなぁ。その余裕が羨ましいかも。
「きゅぃー(やだー!)」
「スラリン、危ない!」
叫び声が聞こえて慌てて視線を向けたら、スラリンが火の直撃を受けそうになってた。
「もふっ」
「きゅぃ……? きゅっ(ありがと!)」
僕が水魔術を放つ前に、分裂したピアがスラリンの代わりに火を受け止めた。
おー、すごい! そういう戦い方もできるのかぁ。
「あ、でも、さすがにダメージくらってる……」
ピアの体力が少し削られていた。分裂体が攻撃を受けてもダメージを負うんだね。多少弾き返してるし、防御力が高いから、僕たちほどの影響はないみたいだけど。
「ぴぅ(回復!)」
「もふー(ありがとー)」
ユキマルのおかげですぐさまピアが全快になる。
「炎獄鳥の体力、もうすぐ半分になるよー。もうちょっとがんばろう!」
「くままー」
僕たちが気合いを入れ直したところで、炎獄鳥の様子が少し変わる。纏ってる炎がさらに大きくなってるような……?
「ギュアーッ!」
「ふぎゃ!?」
炎獄鳥が大きく羽ばたいた瞬間、大量の燃える羽根が勢いよく飛んできた。避けきれないっ!
熱を感じた次の瞬間に、壁の方まで吹き飛ばされる。溶岩に落ちなくて良かったー!
「きゅぃ……」
「ぴぅ、っ(範囲回復)」
僕やスラリン、ユキマルは体力が半分以下になってたけど、なんとか少し回復する。
こんなに攻撃受けたの初めてかも。また同じ攻撃を受けたらヤバい。死に戻りしたくないよぉ。
「ギュアーッ!」
「のわっ」
畳み掛けるように炎獄鳥が火を吹く。さっきと違ってフィールド全体を攻撃したわけじゃなかったから、なんとか避けられた。
「くまま(岩槍ー)」
「くるる(水噴射ー)」
「きゅぃ(岩を発射するよー!)」
「ぴぅ(謎光線)」
それぞれが攻撃を仕掛ける中、僕も水魔術を放つ。
ついでに、回復薬を使い、スラリンたちにも投げた。何度も火が降り注いでくるから、回復を怠ったら負けちゃいそう。
「もふー!」
炎獄鳥の体力が三分の一以下になったところで、僕らを庇って攻撃を受けてくれていたピアが、珍しく怒ったような声を上げる。
「ピア?」
「もっふー(みんなをいじめるなんて、きらいー!)」
ピアからブワッと圧力が溢れた。
これは、もしかして——?
「ギュアー……」
衝撃波を受けた様子で後退した炎獄鳥の姿が、光となって消えていく。
〈〈東の鉱山ダンジョン・火のボス【炎獄鳥】がプレイヤーによって初めて倒されました〉〉
やっぱり即死攻撃だったー! 三分の一まで体力を削ってからスキルを使ったのは、そういう仕様かな?
というか、ワールドアナウンス……これ、騒ぎになってそう。
なにはともあれ——
「ピア、ぐっじょぶ!」
「もふ~」
のほほんとした様子だけを見てたら、つよつよモンスターだとは思えないんだけどねぇ。ほんと、いざという時に頼もしい!
1,476
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。