もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
267 / 555
7章 世界が広がっていくよ

267.海でのんびり

しおりを挟む
 ざぶーん、と波が押し寄せる砂浜。そこで僕は砂遊びをしていた。
 さっきまで【破壊のツルハシ】の作成をして、お店に並べるのがんばってたんだ。だから、少しのんびりしてもいいよね。

「ルル、ルルンルー、ルン♪ ——できた!」
「きゅーきゅい?(なぁに、これ)」
「僕の像だよ~」

 横から覗き込んできたナッティに教える。説明しないとわからない? ここが耳で、顔があって、胴体があって……。

「くるる(雪だるまかと思ったー)」
「そんなにずんぐりむっくりじゃないもん!」

 ペタの言葉にしょんぼり。でも、確かにちょっと丸っこすぎたかも?

「きゅぷ(お魚いくよー)」
「あ、どーぞ!」

 海で漁をしてたスラリンが帰ってきて、たくさんの魚介類を吐き出した。ユキマルも一緒に出してるから、砂浜があっという間に魚介類だらけになる。

 すぐさま回収しながらニコニコと笑った。この魚でなにを作るか考えたら自然と気分が上がるんだ。美味しいもの食べちゃうぞ。

「今日もすごいねー」
「ぴぅ(漁、上手くなった!)」

 ユキマルがはしゃいでる。ダンジョンの疲れが吹っ飛んだみたいで良かった。

「キュオ(モモは釣りしないの?)」
「今日はいいや。いろいろあって疲れたし」
「きゅーきゅい(確かに疲れたわ)」

 ナッティと顔を合わせて頷く。オギンが『大変だったのねぇ』と不思議そうにしてた。
 今度ボス戦があったら、絶対にオギンを喚ぶ! オギンも体験したらいいんだ。

「くるる(泳いでくるー)」
「オッケー。攻撃されないようにね」

 ペタが海へ。スラリンとユキマルも再び漁をするつもりらしい。意気揚々と向かう三体を、手を振って見送る。
 ……しばらくは魚介類を追加しに海に来る必要はなさそう。

 寝そべったオギンに寄りかかりながら、再び砂遊び。

 今はたくさんのプレイヤーが東の鉱山ダンジョンに向かってるらしく、この辺りはひと気がない。だから、僕もみんなとのんびりできる。
 可愛がってもらえるのは嬉しいけど、騒がれないで休みたい時もあるんだよ。

「これがナッティ」

 お絵かきをした。なかなか上手く描けた気がする。

「きゅーきゅい(え……)」
「ダメなの? 可愛いと思うんだけど」
「キュオ(私もモモを描いたわよ)」
「うまっ!?」

 オギンが爪先で描いた絵は、僕の特徴をよく捉えてて可愛い。
 もしかしてモンスターAIの美的感覚って、これが基準なの? それならナッティが僕の絵を微妙そうにしたの納得できるかも。レベル高すぎぃ!

 ちょっと悔しくなりながら、砂の絵を消してゴロンと横になった。空が青く澄んでる。夜までまだ時間があるなぁ。

「きゅーきゅい(今日はもう冒険を終わらせるの?)」
「うーん、はじまりの街に来たし、イグニスさんのところに行ってもいいんだけど」

 ラファイエットさんに、創世神の情報を頼まれてるし。早めにシークレットミッションクリアしちゃおうかな?

「きゅーきゅい(イグニス……古竜エンシェントドラゴンだったわよね?)」
「そうだよー。ナッティも会ってみる?」
「きゅーきゅい(そうね。モモの友だちなら会いたいわ)」
「じゃあ、一緒に行こっか」

 イグニスさんは小さい子に優しい(?)ので、ナッティを襲うことはないはず。
 会うならお土産持っていこうかな。情報もらう立場だし、レイドイベントでは随分と助けてもらったし。

古竜エンシェントドラゴンってなにが好きなのかなぁ」

 前回は適当に僕が好きなお菓子を渡したけど、どうせなら喜んでもらえるものを渡したい。
 むむ、と考え込みながら、料理スレを覗く。最近、凝った料理開発をしてる人がいて、見てるだけで楽しいんだよね。作る気にはならないくらい工程が多いけど。

「——辛辛唐揚げ、美味しそう」

 ふと視界に入ったレシピを改めて読み直す。これは工程少なくて作りやすそう。イグニスさんもお肉は好きかも? 見た目は肉食だし。辛いものも好きそう。僕は辛さ控えめのが好き。

「辛さレベルを変えて作ってみよー」

 ということで、青空の下で料理開始です!

「キュオ(あら、やる気が出たのね?)」
「うん、料理楽しいから」

 緩やかに尻尾を振るオギンに答えて、調理器具を取り出す。
 まずはお肉を切ります!

「一口大? イグニスさんは大きいままの方が食べやすいかも」

 鳥型の魔物のお肉を切る。僕たち用は一口サイズに。イグニスさんのは僕の顔くらいのサイズに。
 まぁ、切ると言っても、スキルでするんだけど。

 お肉があっという間にイメージした通りのサイズに変わる。

「これを味付けしまして~」

 レシピ通りのスパイスを振って、衣をつける。あとはこれを揚げるだけ。

「鍋に入れまして——【揚げる】!」

 ピカッと光って、辛辛唐揚げ完成です! 匂いがもう美味しい。
 錬金術スキルと料理スキルがお手軽すぎる~。

〈【錬金術二級】スキルから派生スキル【加工】を習得しました。料理スキルがレベル5になり、【製麺】【型抜き】【炭火焼き】を習得しました〉

——————
【加工】
 錬金術二級スキルから派生した特殊スキル。素材をイメージ通りに加工(切る・潰す・乾燥)できる。

【製麺】
 麺を即座に作る。

【型抜き】
 イメージした形に素材の形を変える。

【炭火焼き】
 素材を炭火焼きする。
——————

 お、久しぶりに生産系のアナウンスを聞いた気がする。しかも、結構良いスキルをゲットできたかも。

 加工スキルを使えば、錬金玉と錬金布を使わなくても、食材を加工できるようになるかな。

 それと、製麺かぁ。……ラーメン食べちゃう? でも、ラーメンはスープが難しいかも。僕、トンコツが好き。味噌もいいよね。
 ……ラーメン修行はまたいつか。

 型抜きは、これまで金属の型を使ってたけど、これからはスキルで作れるの便利! まぁ、うさぎ型はなぜかわざわざ作らなくてもできてることあったけどね?

 炭火焼きもいいよねー。お肉かなぁ。でも、僕はうなぎの蒲焼きがいい——

「あっ、うなぎ釣りたい」
「キュオ(今日は釣りしないんじゃなかったの?)」
「うん、今日じゃなくてもいいんだけど」

 そろそろ最初の目的のものを釣れてもいいと思うんだよねぇ。狙うならサクの川かな。

「きゅぃ(うなぎって、これ?)」
「え……っ」

 漁から帰ってきたスラリンがきゅぷっと獲物を吐いた。その中にニョロッとしたモンスターがいる。
 まさか……

——————
海蛇シースネ
 水属性モンスター。海中で巻き付いて攻撃してくる。淡白な身で、好んで食べる人もいる。
——————

「これはうなぎじゃないー!」

 期待しちゃったじゃん。
 うなぎはまだお預けみたいだ……しょんぼり。

しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。