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8章 新たな地へ
298.飛びます飛びます
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お祭りを楽しんだ後は、カノンさんの家でログアウト。
そして、今日は朝から島の北探索だー! と気合いを入れたところで、通知があることに気がついた。運営さんからだ。
なになに——?
「『近日実装予定のサーバー合流型仮想空間でのイベントのご相談』……?」
タイトルを見てもよくわからない。
首を傾げながら詳細を確認する。
「おっ、各サーバーから合流できる新たな仮想空間か!」
前にお知らせであった気がする。
今は各サーバーごとにプレイヤーが分かれて参加してるけど、サーバー間交流のために新たな仮想空間を作るんだって。
なんで実装前の話が僕に連絡が来たかというと——
「『ライブイベント』……! つまり、僕が歌って踊るのを、違うサーバーの人にも見てもらえるんだ?」
運営さんは、新たな仮想空間の宣伝のために、各サーバーの人に演者側でのイベント参加をお願いしてるんだって。
基本的には歌って踊るライブにするつもりなんだとか。
たくさんの歌手が参加する音楽フェスって感じ。
他のサーバーでも、僕みたいに歌って踊ってる人いるんだねー。このサーバーにも、アイドルをやってるアイリーンがいるし、いろんなタイプのアイドルが出演することになるのかな。
「すっごく楽しそう!」
みんなのパフォーマンスを見て勉強したいな。もっとみんなに楽しんでもらえるパフォーマンスをできるようになりたいし。
予定の日程を確認して、問題はなさそうだったから、早速参加の返事をする。
歌は『もふもふプリティ』がいいかな。でも、新曲があってもいい気がする。
とはいえ、僕が作れるわけでもないから、アイリーンやシェルさんに頼まなきゃいけないんだけど。
「聞いてみよう」
アイリーンに連絡。
するとすぐに返事が来た。『私も参加予定で、新曲制作中だよ! シェルさんと話して、モモさんの曲も作るね!』だって。ありがたーい!
「お願いします、と」
お礼と共に返事を送る。
なんだかとってもワクワクしてきた! 新たな仮想空間でのライブってどんな感じになるのかなー?
主催が運営さんってことは、プレイヤー独自では難しいような演出もしてくれるかも?
「楽しみ~♪」
そうとなれば、本格的に新たなパフォーマンスも考えないとな。
ダンススキルを上げる? アイドルポーズの研究をする? 曲芸的な感じの新技を習得する?
……あとでスラリンたちと相談してみよう!
「今日はひとまず予定通りに万水亀の祠がある泉にレッツゴー」
ルンルンと鼻歌を歌いながら、神の社を出発——の前に、ヒスイを召喚する。
「にゃ(今日は何をするにゃ?)」
「万水亀の祠があるところに行くよー」
「にゃ(北側の領域だと、ヒスイがいても妖怪モンスターたちが襲ってくる可能性があるにゃ)」
「え、そうなの?」
昨日同様、モンスターを避けて森の中を移動できると思ったら、そんなに都合のいい話はなかったらしい。
でも、ヒスイがいれば遭遇率を下げられるんだって。うん、それで十分です。
バトルがあるなら、他の仲間も喚んでおこう。
森での移動がしやすいのは、オギンとショコラ、ナッティかなー。ナッティには、ついでに採集も手伝ってもらおう。
「【召喚】オギン、ショコラ、ナッティ」
時間差で現れた三体に、今日の予定を説明して、いざ出発です!
森の中を駆けて(僕は飛んで)移動。
「ヒスイ、速いね……!」
仙猫はステータスの素早さが高いことは知ってたけど、初めて実際に見るとびっくりする。
森の中の木々を避けてスルスルッと駆けていくんだもん。オギンでも追いつけないよ。見た目もすっごく綺麗だし。
「にゃ(ヒスイは仙猫だからにゃ!)」
当然みたいな言い方をしてるけど、褒められて嬉しそう。
僕もヒスイみたいに滑らかで素早い動きをしたいなぁ。
「飛翔スキルを極めてみようかな?」
これ、パフォーマンスでも使えるのでは?
今までも飛翔スキルで飛んでライブパフォーマンスをしてたけど、それをより美しくするっていうのは、僕独自の魅力になると思う。
広いステージで小さい僕が最大限にパフォーマンスするためにも、飛翔スキルの見栄えをよくするのは大切だよね。
「ヒスイ、動き方のコツを教えて!」
「にゃ(ヒスイがモモに教えるにゃ? ……にゃふふ、それなら飛んで駆けるのを見せてあげるにゃ)」
ヒスイが楽しそうに言い、ふわっと体を浮かせた。
「えっ、そういう感じで飛べるんだ!?」
「にゃ(疾風の応用にゃー)」
当然のようにそう答えて、ヒスイがシュッと飛んで駆ける。
狭い木々の間も減速することなく、見事なフォームで機敏に動く姿はもはや芸術だ。
「すごいすごい! 僕もそうやって飛びたい!」
「キュオ(私には無理そうね)」
体が大きいオギンは少し残念そう。
森の中で素早く動くのは、体の小ささも必要だよね。
僕はヒスイの後に続く感じで飛んでみる。
素早さはヒスイに及ばないし、狭い木々の間を減速せずに抜けるのは結構難しかった。どうしても勢い余ってぶつかりそうになっちゃうんだよねぇ。
「むむ……予想以上に難しいぞ……」
「にゃ(自分の体の大きさを正確に把握するにゃ。それで、どのルートを行くのか、早めに見定めるにゃ)」
ヒスイのアドバイスを受けながら、飛翔スキルを使ってみる。
飛翔スキルはイメージが重要だ。
どこに行きたいのか。どういうルートで進むのか。イメージが明確なほど、動きの無駄が省かれて、素早く美しく飛べる。
「にゃ(その調子にゃー!)」
しばらくヒスイの後を追って飛んでいたら、褒め言葉をもらった。
地上を進むオギンやナッティ、ショコラからも『上手く風を掴んでるみたいね』『私も飛んでみたーい!』『飛び方が綺麗になったねー』という言葉がかけられる。
僕も上達してる実感があるぞ!
〈行動蓄積によりスキル【飛翔】のレベルが6になりました〉
お、レベルも上がった! やる気が増すぞー。
「よーし、みんなで北の祠まで競争だー」
調子に乗って宣言した途端、ヒスイの姿が消えた。
待って待って、速すぎるよ!
ヒスイと競争しようなんて、僕にはまだ早すぎたみたいです……
そして、今日は朝から島の北探索だー! と気合いを入れたところで、通知があることに気がついた。運営さんからだ。
なになに——?
「『近日実装予定のサーバー合流型仮想空間でのイベントのご相談』……?」
タイトルを見てもよくわからない。
首を傾げながら詳細を確認する。
「おっ、各サーバーから合流できる新たな仮想空間か!」
前にお知らせであった気がする。
今は各サーバーごとにプレイヤーが分かれて参加してるけど、サーバー間交流のために新たな仮想空間を作るんだって。
なんで実装前の話が僕に連絡が来たかというと——
「『ライブイベント』……! つまり、僕が歌って踊るのを、違うサーバーの人にも見てもらえるんだ?」
運営さんは、新たな仮想空間の宣伝のために、各サーバーの人に演者側でのイベント参加をお願いしてるんだって。
基本的には歌って踊るライブにするつもりなんだとか。
たくさんの歌手が参加する音楽フェスって感じ。
他のサーバーでも、僕みたいに歌って踊ってる人いるんだねー。このサーバーにも、アイドルをやってるアイリーンがいるし、いろんなタイプのアイドルが出演することになるのかな。
「すっごく楽しそう!」
みんなのパフォーマンスを見て勉強したいな。もっとみんなに楽しんでもらえるパフォーマンスをできるようになりたいし。
予定の日程を確認して、問題はなさそうだったから、早速参加の返事をする。
歌は『もふもふプリティ』がいいかな。でも、新曲があってもいい気がする。
とはいえ、僕が作れるわけでもないから、アイリーンやシェルさんに頼まなきゃいけないんだけど。
「聞いてみよう」
アイリーンに連絡。
するとすぐに返事が来た。『私も参加予定で、新曲制作中だよ! シェルさんと話して、モモさんの曲も作るね!』だって。ありがたーい!
「お願いします、と」
お礼と共に返事を送る。
なんだかとってもワクワクしてきた! 新たな仮想空間でのライブってどんな感じになるのかなー?
主催が運営さんってことは、プレイヤー独自では難しいような演出もしてくれるかも?
「楽しみ~♪」
そうとなれば、本格的に新たなパフォーマンスも考えないとな。
ダンススキルを上げる? アイドルポーズの研究をする? 曲芸的な感じの新技を習得する?
……あとでスラリンたちと相談してみよう!
「今日はひとまず予定通りに万水亀の祠がある泉にレッツゴー」
ルンルンと鼻歌を歌いながら、神の社を出発——の前に、ヒスイを召喚する。
「にゃ(今日は何をするにゃ?)」
「万水亀の祠があるところに行くよー」
「にゃ(北側の領域だと、ヒスイがいても妖怪モンスターたちが襲ってくる可能性があるにゃ)」
「え、そうなの?」
昨日同様、モンスターを避けて森の中を移動できると思ったら、そんなに都合のいい話はなかったらしい。
でも、ヒスイがいれば遭遇率を下げられるんだって。うん、それで十分です。
バトルがあるなら、他の仲間も喚んでおこう。
森での移動がしやすいのは、オギンとショコラ、ナッティかなー。ナッティには、ついでに採集も手伝ってもらおう。
「【召喚】オギン、ショコラ、ナッティ」
時間差で現れた三体に、今日の予定を説明して、いざ出発です!
森の中を駆けて(僕は飛んで)移動。
「ヒスイ、速いね……!」
仙猫はステータスの素早さが高いことは知ってたけど、初めて実際に見るとびっくりする。
森の中の木々を避けてスルスルッと駆けていくんだもん。オギンでも追いつけないよ。見た目もすっごく綺麗だし。
「にゃ(ヒスイは仙猫だからにゃ!)」
当然みたいな言い方をしてるけど、褒められて嬉しそう。
僕もヒスイみたいに滑らかで素早い動きをしたいなぁ。
「飛翔スキルを極めてみようかな?」
これ、パフォーマンスでも使えるのでは?
今までも飛翔スキルで飛んでライブパフォーマンスをしてたけど、それをより美しくするっていうのは、僕独自の魅力になると思う。
広いステージで小さい僕が最大限にパフォーマンスするためにも、飛翔スキルの見栄えをよくするのは大切だよね。
「ヒスイ、動き方のコツを教えて!」
「にゃ(ヒスイがモモに教えるにゃ? ……にゃふふ、それなら飛んで駆けるのを見せてあげるにゃ)」
ヒスイが楽しそうに言い、ふわっと体を浮かせた。
「えっ、そういう感じで飛べるんだ!?」
「にゃ(疾風の応用にゃー)」
当然のようにそう答えて、ヒスイがシュッと飛んで駆ける。
狭い木々の間も減速することなく、見事なフォームで機敏に動く姿はもはや芸術だ。
「すごいすごい! 僕もそうやって飛びたい!」
「キュオ(私には無理そうね)」
体が大きいオギンは少し残念そう。
森の中で素早く動くのは、体の小ささも必要だよね。
僕はヒスイの後に続く感じで飛んでみる。
素早さはヒスイに及ばないし、狭い木々の間を減速せずに抜けるのは結構難しかった。どうしても勢い余ってぶつかりそうになっちゃうんだよねぇ。
「むむ……予想以上に難しいぞ……」
「にゃ(自分の体の大きさを正確に把握するにゃ。それで、どのルートを行くのか、早めに見定めるにゃ)」
ヒスイのアドバイスを受けながら、飛翔スキルを使ってみる。
飛翔スキルはイメージが重要だ。
どこに行きたいのか。どういうルートで進むのか。イメージが明確なほど、動きの無駄が省かれて、素早く美しく飛べる。
「にゃ(その調子にゃー!)」
しばらくヒスイの後を追って飛んでいたら、褒め言葉をもらった。
地上を進むオギンやナッティ、ショコラからも『上手く風を掴んでるみたいね』『私も飛んでみたーい!』『飛び方が綺麗になったねー』という言葉がかけられる。
僕も上達してる実感があるぞ!
〈行動蓄積によりスキル【飛翔】のレベルが6になりました〉
お、レベルも上がった! やる気が増すぞー。
「よーし、みんなで北の祠まで競争だー」
調子に乗って宣言した途端、ヒスイの姿が消えた。
待って待って、速すぎるよ!
ヒスイと競争しようなんて、僕にはまだ早すぎたみたいです……
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