もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
301 / 555
8章 新たな地へ

298.飛びます飛びます

しおりを挟む
 お祭りを楽しんだ後は、カノンさんの家でログアウト。

 そして、今日は朝から島の北探索だー! と気合いを入れたところで、通知があることに気がついた。運営さんからだ。
 なになに——?

「『近日実装予定のサーバー合流型仮想空間でのイベントのご相談』……?」

 タイトルを見てもよくわからない。
 首を傾げながら詳細を確認する。

「おっ、各サーバーから合流できる新たな仮想空間か!」

 前にお知らせであった気がする。
 今は各サーバーごとにプレイヤーが分かれて参加してるけど、サーバー間交流のために新たな仮想空間を作るんだって。

 なんで実装前の話が僕に連絡が来たかというと——

「『ライブイベント』……! つまり、僕が歌って踊るのを、違うサーバーの人にも見てもらえるんだ?」

 運営さんは、新たな仮想空間の宣伝のために、各サーバーの人に演者側でのイベント参加をお願いしてるんだって。
 基本的には歌って踊るライブにするつもりなんだとか。

 たくさんの歌手が参加する音楽フェスって感じ。

 他のサーバーでも、僕みたいに歌って踊ってる人いるんだねー。このサーバーにも、アイドルをやってるアイリーンがいるし、いろんなタイプのアイドルが出演することになるのかな。

「すっごく楽しそう!」

 みんなのパフォーマンスを見て勉強したいな。もっとみんなに楽しんでもらえるパフォーマンスをできるようになりたいし。

 予定の日程を確認して、問題はなさそうだったから、早速参加の返事をする。

 歌は『もふもふプリティ』がいいかな。でも、新曲があってもいい気がする。
 とはいえ、僕が作れるわけでもないから、アイリーンやシェルさんに頼まなきゃいけないんだけど。

「聞いてみよう」

 アイリーンに連絡。
 するとすぐに返事が来た。『私も参加予定で、新曲制作中だよ! シェルさんと話して、モモさんの曲も作るね!』だって。ありがたーい!

「お願いします、と」

 お礼と共に返事を送る。
 なんだかとってもワクワクしてきた! 新たな仮想空間でのライブってどんな感じになるのかなー?
 主催が運営さんってことは、プレイヤー独自では難しいような演出もしてくれるかも?

「楽しみ~♪」

 そうとなれば、本格的に新たなパフォーマンスも考えないとな。
 ダンススキルを上げる? アイドルポーズの研究をする? 曲芸的な感じの新技を習得する?

 ……あとでスラリンたちと相談してみよう!

「今日はひとまず予定通りに万水亀フルトガメの祠がある泉にレッツゴー」

 ルンルンと鼻歌を歌いながら、神の社を出発——の前に、ヒスイを召喚する。

「にゃ(今日は何をするにゃ?)」
万水亀フルトガメの祠があるところに行くよー」
「にゃ(北側の領域だと、ヒスイがいても妖怪モンスターたちが襲ってくる可能性があるにゃ)」
「え、そうなの?」

 昨日同様、モンスターを避けて森の中を移動できると思ったら、そんなに都合のいい話はなかったらしい。
 でも、ヒスイがいれば遭遇率を下げられるんだって。うん、それで十分です。

 バトルがあるなら、他の仲間も喚んでおこう。
 森での移動がしやすいのは、オギンとショコラ、ナッティかなー。ナッティには、ついでに採集も手伝ってもらおう。

「【召喚】オギン、ショコラ、ナッティ」

 時間差で現れた三体に、今日の予定を説明して、いざ出発です!

 森の中を駆けて(僕は飛んで)移動。

「ヒスイ、速いね……!」

 仙猫センリはステータスの素早さが高いことは知ってたけど、初めて実際に見るとびっくりする。
 森の中の木々を避けてスルスルッと駆けていくんだもん。オギンでも追いつけないよ。見た目もすっごく綺麗だし。

「にゃ(ヒスイは仙猫センリだからにゃ!)」

 当然みたいな言い方をしてるけど、褒められて嬉しそう。
 僕もヒスイみたいに滑らかで素早い動きをしたいなぁ。

飛翔フライスキルを極めてみようかな?」

 これ、パフォーマンスでも使えるのでは?
 今までも飛翔フライスキルで飛んでライブパフォーマンスをしてたけど、それをより美しくするっていうのは、僕独自の魅力になると思う。

 広いステージで小さい僕が最大限にパフォーマンスするためにも、飛翔フライスキルの見栄えをよくするのは大切だよね。

「ヒスイ、動き方のコツを教えて!」
「にゃ(ヒスイがモモに教えるにゃ? ……にゃふふ、それなら飛んで駆けるのを見せてあげるにゃ)」

 ヒスイが楽しそうに言い、ふわっと体を浮かせた。

「えっ、そういう感じで飛べるんだ!?」
「にゃ(疾風の応用にゃー)」

 当然のようにそう答えて、ヒスイがシュッと飛んで駆ける。
 狭い木々の間も減速することなく、見事なフォームで機敏に動く姿はもはや芸術だ。

「すごいすごい! 僕もそうやって飛びたい!」
「キュオ(私には無理そうね)」

 体が大きいオギンは少し残念そう。
 森の中で素早く動くのは、体の小ささも必要だよね。

 僕はヒスイの後に続く感じで飛んでみる。
 素早さはヒスイに及ばないし、狭い木々の間を減速せずに抜けるのは結構難しかった。どうしても勢い余ってぶつかりそうになっちゃうんだよねぇ。

「むむ……予想以上に難しいぞ……」
「にゃ(自分の体の大きさを正確に把握するにゃ。それで、どのルートを行くのか、早めに見定めるにゃ)」

 ヒスイのアドバイスを受けながら、飛翔フライスキルを使ってみる。

 飛翔フライスキルはイメージが重要だ。
 どこに行きたいのか。どういうルートで進むのか。イメージが明確なほど、動きの無駄が省かれて、素早く美しく飛べる。

「にゃ(その調子にゃー!)」

 しばらくヒスイの後を追って飛んでいたら、褒め言葉をもらった。
 地上を進むオギンやナッティ、ショコラからも『上手く風を掴んでるみたいね』『私も飛んでみたーい!』『飛び方が綺麗になったねー』という言葉がかけられる。

 僕も上達してる実感があるぞ!

〈行動蓄積によりスキル【飛翔フライ】のレベルが6になりました〉

 お、レベルも上がった! やる気が増すぞー。

「よーし、みんなで北の祠まで競争だー」

 調子に乗って宣言した途端、ヒスイの姿が消えた。
 待って待って、速すぎるよ!

 ヒスイと競争しようなんて、僕にはまだ早すぎたみたいです……

しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。