もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
336 / 555
番外編:九尾狐は愛を捧げる

⑦もふもふへ愛を込めて

しおりを挟む
 もふもふ教の最初の教会は第二の街に建設することが決まりました。
 デザインなどを細かく指定して建設をお願いしたので、完成が楽しみです。

 唯一残念だったのが、教会の庭に桃の木を植えられなかったこと! 第二の街の規則では、庭に一般的な果樹を植えられないらしいのです……モモさんといえば桃なのにぃ。
 他の街では大丈夫なことが多いらしいので、今後の教会建設時には絶対桃の木を植えますよ!

 そんな決意を固めつつ、もふもふ教クランの管理やレイドイベントに向けた準備をこなし――ついに、もふもふ教が大活躍する日がやって来ました。
 レイドイベントで宗教クランに設定した奥義を使う機会が訪れたのです。私の読みが当たりましたよ!

 巨大なモンスター凶獣イービルディアを見据えます。
 もふもふ可愛いモンスターじゃないので、遠慮なく倒せますね。

 タイムアタックボスへの対処を、モモさんがルトさんたちと相談しているのを聞きながら、拳を握りました。

 モモさんが「王都に早く行きたい」「街防衛も完璧にしたい」と言ったのです。もふもふ神さまの望みを叶えるのは、信者にとっての喜び。私が事前に用意した策は、きっと絶大な効果を発揮してくれるはずです。

 そのために、奥義の仕組みについてもふもふ教の皆さんに周知し、用意を整えておいたのですから。

「――私たちには最強の攻撃があるので、それを使いましょう」
「なにそれ?」

 きょとん、とするモモさんを見て、『あれ?』と思いました。私、肝心なモモさんに奥義の説明をし忘れてましたね? ルトさんやミレイさんも首を傾げてます……十分に周知したというのは私の勘違いでした。

 ということで、遅ればせながら奥義について説明します。

「作戦名は『モモさんは神!』ですよ」

 ふふ、私たちの聖句は最強の攻撃を行うためのキーワードでもあるのです。
 さあ、ここにいる異世界の住人NPCに――いえ、この世界すべての人々に、もふもふ教の素晴らしさを伝えましょう!

 モモさんに奥義についての説明を終えてから、もふもふ教の仲間に目配せします。皆さんからキラキラと輝いた眼差しと力強い頷きが返ってきました。やる気十分ですね。

「もふもふ教の力を見せつけるためにも、皆さんでご唱和ください! 『モモさんは神!』」

 拡声器を通して声を張り上げます。
 すぐさま、皆さんから「「「モモさんは神!」」」と聖句の唱和が返ってきました。ぐんぐんと信仰心ゲージが上がってます! この調子で続けましょう。

「モモさんは神!」
「「「モモさんは神!」」」
「モモさんは神!」
「「「「モモさんは神!」」」」

 続けていると、戸惑っていた異世界の住人NPCも一緒に唱和してくれるようになりました。もふもふ教の素晴らしさが浸透中ですね。

 モモさんはルトさんと何か話していましたが、信仰心ゲージがマックスになりそうになったところで動き始めました。

 ……ニンジン料理を食べてる? お腹が空いたんでしょうか? 食いしん坊なモモさんも可愛いです。
 そう思ったのもつかの間。モモさんの可愛らしい羽が一回り大きくなり、美しさが増しました。

「はぅあっ、神々しいっ……!」

 え、神が降臨してる……? いや、モモさんはそもそも神でした。つまり、神さまレベルアップ中? 神はニンジンで成長する? 桃だけでなく、ニンジンも育てるべきですかね?

 ちょっと混乱中でしたが、モモさんの動きは少しも見逃しません。
 モモさんはふわっと浮かび上がったかと思うと、カウントダウンが0になった途端、きらめくアイドルオーラを放ちました。リアル後光が差している気がします。

「みんな、たくさんの応援ありがとー! みんながくれた力で、敵をやっつけちゃうぞ!」

 ステップを踏んでターンする姿が愛らしい。この可愛さだけで、敵を倒せちゃうんじゃないですかね? それくらいの威力があると思います。

 ビシッと敵を指差す姿は凛々しくて、神々しくて、うっとりと見つめてしまいます。
 私の推しがなんて可愛らしい。まさに神。

「――凶獣イービルディアよ、もふもふ教の力にひれ伏せ~! 奥義【神の威光】!」

 カッコいいッ!
 可愛さと凛々しさを併せ持った神がこの場にいてくれる幸せを全身で感じました。これぞ、神の降臨!

 その後、神の威光でフィールドにいるすべてのモンスターを倒せたのは当然のこと。もふもふ神さまのお力ですよ! もちろん、もふもふ教の皆さんのおかげでもあります。

 バッチリ録画したので、これももふもふ神さまの軌跡として会報に載せましょう。あ、教会のステンドグラスのデザインとして残すのもいいですね! また建築ギルドと相談しなくては。

 さぁて、東の鉱山エリアの防衛が完了しましたし、モモさんに頼まれてもいますし、他のエリアの防衛をがんばりましょう。

◇◆◇ 

 レイドイベントはモモさんの古竜エンシェントドラゴン召喚(?)により幕を下ろしました。最後までさすがモモさんでしたねぇ。
 その後はクリスマスライブで大盛り上がり。推しを推せる幸せ! 疲れなんて吹っ飛んじゃいます。

 イベント終了後から、もふもふ教加入希望者が列をなすような状況でした。もふもふ教の素晴らしさが異世界の住人NPCにも広まっているようで、嬉しいですねぇ。

 お正月の集まりや王都ツアーも楽しみ、未知のエリアであるスタ島に向かうモモさんを涙ながらに見送りましたが……モモさんは離れていても私たちと繋がっていました。

「王都神殿近くにもふもふ教の教会……!」

 モモさんが神殿の巫女さまと仲良くなって入手できた素晴らしい成果。これを無駄にするなんて、絶対にありえませんよ。これを機に、王都でももふもふ教の勢力を拡大します!

 はじまりの街と第三の街でも教会建設が進んでいますし、もふもふ教がこの国を手中に収めるのです、ふふふ。

「ああっ、でも、カジノで島入手も目指さないと!」
「タマモはカジノ行かん方がええんちゃう? 全財産なくなるやろ」
「私にはもふもふ神さまのご加護がありますから、大丈夫です」
「これ、本気で言っとんのわかるから、困るわぁ」

 ユリさんが苦笑してます。
 でも、私、何もおかしなこと言ってないですよね?

 実際、モモさんに応援してもらってカジノでは勝てましたし、合流サーバーでのライブイベント抽選も当選しました。
 もふもふ神さまはやはり幸運をもたらしてくれる加護があるに違いありません。



 そして、今、私はライブで全力でファンサをもらってます。
 ウィンクで星が出るの、反則級のアイドルでは? 可愛すぎます! モモさん沼にハマって抜け出せないです。抜け出すつもりもないですけど。

「――モモさんの素晴らしさを今よりもっと多くの人に伝えて、みんなで幸せを目指しましょう!」
「マジ宗教で草」

 ユリさんがボソッと言いますが、ユリさんだってモモさんで癒やされてるじゃないですか。時々モモさんのぬいぐるみを抱きしめてとろけた顔をしてるの知ってるんですからね?

 ちょっぴりツンデレなユリさんはともかく。
 今後のもふもふ教の目標は――他のサーバーにもふもふ教を布教しつつ、カジノで島入手を目指し、王都に教会を建てることです!

「さぁ、まだまだ忙しくなりますよー。楽しく明るく、みんなでモモさんを推しましょうね!」
「はいはい。ウチも手伝うから、タマモはあんまり暴走してモモさんを困らせんようにな」
「モモさんを困らせたことなんてないですよ?」
「わりとたくさんある気がするのはウチだけかな?」

 認識の相違はあるようですが、今日も明日も明後日も、モモさんが私たちの神アイドルである限り、もふもふ教は素晴らしきもふもふへ愛を捧げて突き進みますよ!


******
タマモスピンオフは以上です。
途中、あまりにも長くなりそうだったのでいろいろ端折りました(^_^;)
明日からは新章更新です。
モモともふもふ教の活躍をお楽しみに~。
しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。